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【856】課題

ちょっと前にかいたものですけども、またしても輸入ものです

こ、これでも精一杯更新してるんだから! 感謝しなs(ry

「このゴミ屋敷から作品を作れと仰るのか……」

 目の前に高々と積み重ねられたポリ袋の山。しかもひどい悪臭を伴う。

 巷では以前から噂になっているというが、これほどキツイものだとは考えられなかった。実物を見るのも、まして訪問することになったのも今が始めてだ。

 ……無茶な課題だ。

 なんでも通っている美大で講師を務める人の中に、この家の主と知り合いの人物がいるらしい。その人の差し金で、秋季コンクールに向けた課題制作に行き詰まっていた僕は思わぬ救いの手に拾われたと言う訳だ。

 ゴミ袋に埋め尽くされそうになった表札には「志村」と読める字がある。

 志村?

「え……知り合いじゃなくてこれは、さ……」

 嫌な想像が、電気回路のように脳裏を駆け巡った。そして瞬時に事態を把握できた。——そうだ、端からおかしいとは思っていたのだ。

 突如、家の玄関が開いた。びくっとした僕に向かって、来たかね、と舌足らずな濁声が降り掛かる。

 やや禿げかかった丸頭に、黴臭い丸眼鏡をかけた志村克人先生。

「こんにちわ志村先生」

 大変ご立派な御屋敷ですねぇ! などと皮肉の一つでも言ってやりたい気分になったが、やめておいた。これこそまさに、呆れて物も言えない状態と言わずしてなんとする。

「びっくりしただろう。無理もない、この有様を目の当たりにし卒倒した学生、数知れずだからな」

「そして自らネタになろうと招き入れる先生の魂胆が、申し訳ないけど悪趣味ですよ」

「まぁ言うな。さて、ネタと言えば、さぁ好きな物を持っていくといいぞ」

「このゴミの中からですか!?」

「生活感に溢れる良い素材じゃないかね? 現代アートには絶好の物ばかりに思えなければ、芸術家を名乗るには程遠いぞ」

 先生から滔々と語られる言葉の数々——と耐え難い悪臭——に僕は涙すら浮かべた。

 ゴミを漁る、ということを考えただけで身の毛のよだつ思いだ。いくら僕が美大生とは考えられないほどの潔癖性と噂されているとはいえ、この仕打ちを画策した人は本当にひどい。

「どっちにしたって、提出期限は明後日だぞ? 今更大掛かりな作品は無理だろう。君は妥協と言うものに対して妙に抵抗があるようだから、荒療治なのは勘弁してくれたまえ」

 成る程。

 悔しさと、若干の清々しさに苦笑を浮かべた僕がふと手に取った物は——

「——ほう、そのペットボトルか。なかなか目のつけどころが良いじゃないか」

短い……

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