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次の日、授業時間の少し前に教室に着く。教室に入る時に注目を浴びた気がするが、気のせいか?
不思議に感じながらも席に座る。すると俺より先に登校していた星川が話かけてきた。
「よう神庭!昨日は大変だったみたいだな。すげぇ噂になってんぞ。」
そのせいかなのかクラスの女子の大半が俺に対して侮蔑の視線を向けてくる。対して男子はなぜか羨望と憎悪のこもった視線を与えている。
噂?昨日のことなら俺は完全に被害者だぜ?なのになぜ俺はこんな悪意ある感情しか向けられていないんだ? 同情や悲壮ならわかるが?
俺は噂の内情を知り、さらにこの状況を把握しているであろう星川に聞くことにした。だが事情を知る星川は俺が質問する前に先制パンチを打ってきた。
「なんせお前、能力使って美少女を手籠にしようとしてたんだろ。なんて羨ま・・・ゴホン・・・けしからんことをしているんだ。」
ちょっと待て・・・もう一度言え
「しかも他校の生徒を・・・俺ももう親友やめるわ・・・ぷぷ・・」
星川のニヤケ顔はいつもどうりで真面目に話しているとは思えない。だが嘘を言っているとも思えない。なぜならクラスメートの視線が証明しているからな。
「神庭君・・・本当にそんなことしたの?」
俺の隣の席に座る流は入学式の騒動以来、クラスの中では比較的仲の良い女子なので、俺がそんな度胸のある人間とは思ってはいないのだろう。その目には疑惑的に満ちていた。
なぜ昨日の今日でこんなに噂になっているだとか、噂の発信源も気にはなったが、まず先に目の前の流と星川の誤解を解くために俺は昨日のあらまし&その後を語った。
あの後、警官からはたっぷり説教を受けた。曰く、学生は能力を自由に使っていいのは先人たちの研究のたまもので、因子が覚醒した能力者が能力を使いこなすには約5年の年月がかかり、その大切な時期に能力を制限されてはせっかくの才能を将来に影響を与えるとかで、それを利用して近隣住民に迷惑をかけるのは先人達の偉大な功績を無にする行為だとか、そんな内容だった。
どうも街中を爆破したのは俺だと思われているらしい。
もちろん俺は爆弾女からの攻撃から避けていただけだ。、実際に壊していったのは爆弾女であるのだが、俺は弁解する元気もなく早く終わってくれと願い続けていた。
そんなことは知らない警官は交番の中で俺の保護者の名前と連絡先を聞いてきた。なぜなら引き取り人が必要だからだ。
だがしかし困ったことに俺の暫定保護者である叔母は現在、海外に出張中であり、当分もどってくる予定はない。おそらく電話しても今の時間じゃ向こうは深夜だし寝ているだろう。
困った俺は警官に事情を説明し学校の担任である田中に急遽、外回りをお願いすることにした。
数分後、学校から割と近い交番だったので田中はすぐに交番にやってきた。
警官に事情を聞き、身分証明と調書を取った後、田中は警官に礼をいい。俺を連れて交番を後にした。俺はというと田中が来た後は終始無言を貫いていた。
やっと交番から解放されたと喜んでいたが、交番が見えなくなるほど離れた頃、田中はこう切り出した。
「で、本当は何したんですかぁ~?」
こいつは驚いた。さすがは腹黒、俺の妙な態度と警官の言い分で何か気付いたのか?
俺は自分でわかる限りの事を話した。いきなり他校の生徒に襲われたこと、壁や道路を壊したのはその生徒であり自分では無いとか知る限り全部話した。
「なるほどぉ~」と田中
「それはもしかしたら最近、私たちの生徒を狙う輩と同一犯かもしれませんねぇ~」
そう言えば入学式で流がそんなことを言っていたな。選抜に残り優秀そうな奴を狙っているって
「学校周辺の警備を強化しなければなりませんねぇ~」全くする気の無さそうな声で言う田中
「で、俺はなんかお咎めありますか?」
正直、それ以外に興味が無かった。もう爆弾女とは会うこともないだろうしな、と言うより会いたくない。平和万歳
「明日までにゆっくり考えてきますぅ~。」
「いや、できればあんまり重い罰は勘弁して欲しいんだが・・・」
被害者である俺がさらに被害を被るのはごめんだ。
「なら軽い罰ゲームでもしましょう。明日が楽しみですねぇ~」と学校に戻る田中・・・
俺はもういいのかと聞く前に歩いていったので、俺も学校に向かう道とは逆に家に帰る道を歩き出した。
その後、俺は疲れた体を休めるべき、飯食って風呂に入ってさっさと就寝した。
以上を簡単にまとめ、特に俺が他校の女子を手籠にしようとしていたのは真実では無く、如何に俺が清廉潔白な身であるかを重視して2人に話した。
「ふーん そんなことだろうと思ったわ。神庭君にそんな度胸があるとは思えないもの」
「俺は信じていたぜ―・・・親友ー!!」
都合のいいことを言う親友だな、某ジャイアンかお前は・・・そして流・・・お前の中での俺の評価がずいぶん低く設定されていやしないか?
俺がそう突っ込もうと思っていると、田中がHRにやってきた。
「はーい皆さんおはようございますぅ~。」
はいはいおはようおはよう。
「今日は皆さんに2つお知らせがありますぅ~。1つは良い話でもう1つは悪いお知らせですぅ~。」
ふむ?例の警備強化の話か?
「まず悪い方からですねぇ~ 最近、うちの学校の生徒が能力者に襲われる事件が多発していますぅ~。本日よりなるべく登下校の際は1人で帰らずに2人以上で帰ってくださいねぇ~」
やっぱりその話か、だが2人いたところでどうしようもないと思うのだが・・・
俺がそう思っているのを知ってか知らずか田中の話は続く。
「もし怪しい人を見かけたり、襲われそうになったら先生に連絡してくださいねぇ~」
襲われてる時に連絡できるとも思えんがな。昨日の俺は訳がわからず、逃げるだけで精いっぱいだった。
「次は良い方ですねぇ~」
「入学式にお話しましたが、明後日に選抜試験を開始したいと思いますぅ~。」
皆、顔が真剣になる。まぁこの試験の合否で能力ランクが大きく左右されるのだから仕方が無いとは思う。
「試験の合格者は一年生で最大で15人なっていますぅ~。他校の試合や競技はさらに搾り込みますが、残りは控えメンバーのようなものですねぇ~。」
一年生の在学数が約150人ぐらいだから合格率は約10%かずいぶん狭き門だな・・・
「一次試験は全員に受けてもらい、一次試験を合格した者は後日、面談と簡単な筆記試験を受けてもらいますぅ~。その後、選抜合格メンバーを発表したいと思いますぅ~。」
げ!?、一次試験は強制参加か・・・まぁ適当にやるか・・・
「お知らせは以上ですぅ~。ではでは授業に入りますねぇ~」
よっしゃー俺はやるぜー! 絶対に合格してみえるんだから!!ガヤガヤ
教室は授業などどこ吹く風と言わんばかりに熱気に包まれていた。教室の人間たちは皆やる気に満ち溢れており星川や流も選抜試験に活き込んでいるようだっだ。
その場の俺だけが違っていた。俺には俺の平和があってそれを護れればそれでよかった。
俺にとってはそれこそが全てであり、それこそが平和だった。
今回、実は一度書きあげたものを再構築して出来たものです。
前の文は書きあげて一息ついたあとデータ保存しないまま消してしまいました。
万が一と思い残ったデータが無いかを探しましたが、残っていませんでした。
自分自身に腹が立った私はもう一度書くことにしました。さらに話を煮詰め読者の皆さんが読みやすいよう改良したものとなっております。
かい☆ぞくはまだまだ続く予定です。応援よろしくお願いします。