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かい☆ぞう  作者: 真陸
8/15

6.5

 今回のお話は、前回で爆発的に活躍した鉄 桜花のお話です。

 物語にはあまり関係ありませんが、桜花の内面を知る上では重要な話になります。

 

 夜風を肩が肩で切る。この気持ちよさは勤労を終えた人間にしかわかるまいと、バイトが終ったその体で腕を大きくのばし、疲れた体に染みる夜風を感じていた。


 「うーん、疲れたーっと、急にシフト入るんだもん!!まいちゃった。」


 桜花は誰に対して呟いている訳でもない愚痴をこぼした。愚痴や弱音を吐くのは誰もいない時だけだと自らを律しっているからだ。


 「今日のバトルは中々だったわね。まさか私の{ 鉱物を爆破させる能力 }を使って平気な奴がいるなんて思わなかった。」


 正確に言うと勇は桜花が走り去ったあとに地面に倒れたのだから、まったくの平気と言うわけではないのだが・・・桜花がそのことを知るよしもなかった。


 「どうにかしてあの男の、盾?みたいな能力を破れないかな・・・」

 

 桜花にとって強くなると言うことは理由でもあり手段でもあった。だからこそ、今まで相手を一撃で仕留めてきた能力が全く効かなかったことが悔しかった。


 「もしかして無意識に力を制御していたのかな?・・・ねぇお父さん・・・」


 桜花は呟きながらそっと胸元のネックレスに触れる。ネックレスは中央に大粒のルビーははめ込まれており不思議なイメージを感じるデザインだった。


 桜花の力は学生の身ながら制限がかけられておりそれはランクでいえばC並みであった。彼女の本来の力があれば10分で町は炎と瓦礫にまみれた荒野と変貌するだろう。その本来の力を縛るのは彼女の首にかっているネックレスだった。


 それは桜花の10歳の誕生日に、大好きな父親にもらった大切な形見だった。父親は能力者専門の警察官であり優秀な人物だったのだが、桜花の誕生日の次の日に能力者によって殉職した。


 父親が死に、悲しみと父親を殺した能力者に深い憎悪を抱いた桜花は母親にも心を開かなくなり、荒んでいった。


 そんな日々が続いたある日、桜花の因子が覚醒し、桜花は生まれて初めて能力を使用した。


 能力を手に入れた彼女は、狂喜し、父親の敵をとるために力と戦いを求めた。しかし、能力の使いすぎは彼女の精神や肉体に支障をきたしたのか、ある日、彼女の能力が暴走を始めた。周囲の鉱物を際限なく爆発させ、全てのものを破壊しようとした。だがしかしその時、彼女の持つネックレスが赤く光輝いた。


 赤く光るネックレスは彼女の周囲を包みこみ。能力の発動は抑え込まれた。彼女の能力を危惧した父親が用意したそれは娘の危険に反応しその力を抑え込むものためのものだった。


 父が護ってくれた・・・その父の思いに気付いた桜花は変わり始めた。


 父を失って、女手一つで自分を育てくれる母のために家事をやり、母が学校の心配をしない程度にバイトを始めた。今の自分があるのは父の思いだった。そのことに毎日、感謝していた。


 しかし、いまだ父を殺した犯人は捕まっておらず、桜花は自分の能力を正しく使い犯人を捕まえた後、父の墓前で土下座させることを誓い、そのために強くなることを望んだ。今度は殺すためではなく懲らしめるために。


 「まずはあいつから倒さなきゃね!!」


 桜花はひとまずの目標を定め、ふと今日戦った男について考えた。


 「名前、なんて言ったけ?・・・確か・・・神庭 勇だっけ」


 桜花は曖昧ながらもその男のことを思い出そうとしていた。勝利を手にするには相手の情報は多いほうがいいからだ。


 「仮に力を抑えていたとしても・・・始めて・・よね。防がれたの・・・」


 彼女の爆発で人が死んだことは無いが、受けたほとんどのものがボロボロになる威力で、避けたとしても爆風によってダメージを受けるのである。その攻撃に無傷で立っていた男は勇が初めてだった。


 「まぁいいわ。今度あったら爆発的にボコボコにしてやるんだから。」


 そう言って彼女は走る。闇の中に自分の走る道が見えるようにまっすぐに、


 だが桜花はまだ気づいていなかった。父親が死んでからまったく他人に興味を示さなかった自分が初めて他人に興味を持ったことに・・・


 

 

桜花の過去&強さを求める根本を書いてみました。

彼女は純粋で素直なのですが直情的なのがたまにキズ、

 

 そんな彼女の心に勇が気付くはこの後の展開次第です・・・(笑)

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