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かい☆ぞう  作者: 真陸
7/15


  

  入学式も終り、学校に行く通学路にも目新しさがなくなってきた頃。俺は部活には入らずに星川や流と一緒に放課後に遊んだりして過ごしていた。その平和な生活のおかげで選抜や他校の襲撃者のことなどすっかり忘れていた。


 だから俺は学校帰りの通学路で小型の爆弾を投げてくるキチガイ女のことが理解不能だった。


 なぜ俺がこんな目に遭わなければならないのだとか考えながらも俺は爆弾を投げる女から全力疾走で逃げ続けていた。


 「待てって言ってるでしょう!!私と戦いなさいよー爆発的に!!!」


 待てと言われても待てば爆弾直撃なので、俺は返事をする余裕もなくただひたすら爆弾女が投げてくる爆撃を避けていた。


 しかしいつまでも体力がもつはずが無く、俺は次第に息が切れ切れになっていった。爆弾女はチャンスと見たのか、俺の走る前方を小規模な爆発で爆破し俺の逃走を防いだ。


 「いいかげんにしな!!あんたそれでも男かよ!!」


 俺の背後に回り、普通の男でもビビるであろう怒声を轟かせた。俺はゆくっり振り返り俺に襲いかかる女と対峙することになった。


 その女は燃え盛る炎のような赤く長い髪をひと括りにまとめ、ポニーテールのようになっていた。制服がうちの学校とは別であることから他校の人間なんだろう。見たことが無い女だった。

 

 その目は肉食獣が獲物を捕食しようとする目のようだった。とりあえず俺は俺が狙われる理由が知りたかった。初対面で爆弾を投げられるようなことをした覚えが無かった。


 「ちょ・ちょっと待て!!お前は誰だ?いきなりなんなんだ!?」


 「私?私はくろがね 桜花おうか良い名前でしょ!爆発的に!!!」


 鉄 桜花・・・やはり見たことも聞いたこともない。


 「鉄さんとやら、何故、俺が爆弾を投げられなきゃならんのか聞きたいんだが?」


 「私、向こうの緑地が丘高校の人間なんだけどさ、選抜メンバーの一人なの、だからお隣さんのあんたらの高校に強い奴がいないか探してた訳。」


 なぜ俺んとこ来た?お世辞にも強そうではないだろうに。


 「そしたら、ちょうど良さそうなやつがいたから腕試し程度にボコボコにしようと思ってさ、爆発的に!!!」


 「ってことは何か?特に理由なく俺に襲いかかったってわけか・・・」


 「まあ、私の爆発的勘ではあんたが強そうだと思ったけど・・・はずれたみたいだ。強い奴が逃げ出すわけないからな。」

 

 いきなり爆弾投げられたりゃ誰だって逃げるだろうが。


 「ヘタな挑発だな・・・そんな挑発じゃ小学生しか相手にしてくれないぜ。」


 「ふん!何言っても戦いは始めるよ、私は強くなりたいんだ。弱そうなあんたでも手加減はしない。」

 

 そう言って、桜花は制服のポケットから何かを取り出し勇に投げつけた。


 勇の眼前にあるそれは大きな石の塊のようだった。勇がそれを認識すると同時に石は凝縮し、爆発しようとする。

 

 「弾けて、爆じけろ!!」


 桜花の怒声と同時に石は爆発した。


 刹那、勇の因子に能力の発動が起きる。それは一瞬の出来事。


 勇の周辺は爆発によって出来た衝撃で吹き飛ばされる。


 「よし!!爆発的にすごいぞ私!!・・・あれ?」


 爆発の影響でまき上がった硝煙が風にのって空に舞う。桜花の目には信じられないものが映っていた。

 そこには傷1つ無く平気な顔で立っている男の姿があった。


 「はぁ~・・・平和な生活が台無しだ。」


 「な・なんで無事なのよあんた!!。」


 勇の耳には少女の声など聞こえていなかった。どうやってこの状況を逃れるかで精いっぱいだった。


 「しかたない。使うかこの力を・・・」


 「ち、なんなのあんた?」


 「俺は神庭 勇 悪いが速効で終わらせてもらうぜ。」


 「できるもんならやってみなさいよー」


 桜花は勇の周囲にある瓦礫を見渡しそれらを一斉に爆発させた。爆発は炎の壁となり、勇は逃げ場を失う。

 

 「運よく避けられたからってなめないでよね。こ・これでも・・くらえー」


 桜花は先ほどの爆発で割れた重く大きいコンクリートの塊を勇に向かって投げつけた。


 「どう?これなら確実に命中するわ。」

 

 投げつけられたコンクリートは凝縮し、爆発しようとする。桜花は勝利を確信した。


 しかし勇の周囲を纏っていた炎の壁の一部がかき消された。そして勇は消された炎を飛び出し前方のコンクリートに目を向ける。


 「悪いな、その程度の爆発じゃ俺の平和を爆破することは出来ないんだ。」


 どうやって炎を消したのかはわからないが、まだ先ほど投げたコンクリートが残っている。まだ桜花の勝利は揺るがない。


 「護ってやるさ、俺の平和をな、」


 勇は手の平を投げられたコンクリートの方に向ける。


 「爆ぜろぉぉぉぉ!!!」コンクリートは大爆発を起こす。桜花の怒声が響く。


 「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」勇の手の平に光輝く盾が出現する。


 炎と衝撃が頭上を抜ける。肩口は熱く焼ける感覚がある。同時にすさまじい爆発音と衝撃が両者の間に走る。


 勇は無事に立っており制服が少し焦げていること以外は無事だった。


 「生きてるな俺・・・」


 勇は桜花に目を向ける。


 「な・・・・」


 爆発があったといえど遠くに離れていた桜花は傷1つなかったが、その目は驚愕と畏怖に包まれていた。

 

 そりゃそうだろうな・・・勇は思った。


 自分の攻撃で傷を負わなかった人間などみたことが無かったんだろうな。


 勇は茫然自失な桜花に自身の勝利を宣言した。


 「俺の・・・勝ちだ。」


 その一言で桜花は覚醒した。


 「くっ! まだよ!!まだ私の攻撃は残っている。」


 しかし、そう言う桜花の携帯が急に鳴り響いた。


 「え?ちょ・ちょっと待ってて」


 勇は待つつもりもなく逃げ出したかったのだが、先ほどの全力疾走が今頃になって効いてきたらしく立っているのがやっとだった。 


 「は、はい。わかりました。すぐ行きます。」


 桜花は携帯を閉じ、勇の方を向く。もう戦闘かと勇は身構えるが少女の言葉は意外すぎる言葉だった。


 「ごめーん。バイトに急なシフトはいちゃった。今日のところはこれまでにしましょ。」


 は?

 

 「ちょっと待て!!お前そりゃねんじゃね!!」


 「ごめんってばー私急がなきゃ・・・遅刻しちゃう~」


 走り去ろうとする桜花、だが少し立ち止まり勇に向かって叫ぶ。


 「楽しかったよーまた爆発的にバトろうねー」


 走り去る桜花、それもボロボロの体で見送る勇、勇は最後の力を振り絞って叫んだ。


 「絶対にい・や・だぁぁぁぁ!!!」


 勇は力を使い果たし騒ぎに駆け付けた警官に保護され、散々な説教を受けたのであった。おそらく流もこんなやるせない気持ちだったのだろうと思い。流にあったら優しくすることを誓った勇であった。

  



 バトルはしんどいですね。

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