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かい☆ぞう  作者: 真陸
3/15

「知らない天井だな。・・」


 目が覚めると、見慣れない白い天井が目の前にあった。だが独特の空気と薬品の匂いが混じった空間に固いベッドには覚えがあった。


 「おや? 目が覚めましたか?」


 中学の頃、お世話になりっぱなしだった保健室のことを思い出していると、俺の呟きに気付いたのか、話しかけられたら女子がメロメロになりそうなイケメン風の金髪男が椅子に座ったまま声をかけてきた。

 その手には書類らしきものを持っており、俺の顔と書類を見比べており、まるで俺が新種の生物かどうかを図鑑を片手に見比べる学者のようだった。


 「あんた・・誰だ?」


 水鉄砲女がした行動と保健室らしき場所から想像すればおのずと答えは見えるのだがな・・・


 「僕はこの学校の養護教諭をしている渡来と申します。」 


 まぁ予想はつくさ。だが仮にも教師が金髪にしていいのか?と俺が口を開く前に渡来は俺の今の状況を説明し始めた。

 

 水鉄砲女からもらった水圧砲は俺の意識を飛ばすだけにとどまらずに、周囲の人間を騒然とさせたらしい。騒ぎに駆け付けた教師陣は渡来にぶっ倒れてる生徒、つまり俺を保健室まで運び介抱したという。


 「まさか入学式で保健室を使うことになるとは思いませんでしたよ。」

  

 渡来は大袈裟な物言いで苦笑いした。教師であるならば敬語は使わなければならず、慣れない言葉と皮肉を交えて返してみた。

 

 「俺もまさか入学初めに利用した教室が保健室だとは思いませんでしたよ。」


 俺はそう言いながら、横になっていたベッドから起き上がりそのままそのまま腰をかけた。


 渡来は苦笑いを強めて、すぐにその無駄にイケメンそうな顔を引き締めて俺の体調が無事かどうか確認した。


 「吐き気や頭痛はないかな? めまいとかは?」


 顔面がずきずき痛むことと以外でいえば正常だ。俺を丈夫な顔面に産んでくれた母親に感謝を込めなけれななるまい。 

 俺が渡来に思ったことを口にすると満足そうにうなずき、


 「そんな軽口が叩けるなら大丈夫そうですね。」


 渡来は腕をあげ、どこかのブランド品らしき高級そうな腕時計を見ながら安堵した表情になった。

 

 「ちょうど入学式が終わるころですね、自分のクラスは確認しましたか?」


 「いえ、まだです。」


 クラスを知る前に意識がブッ飛ばされたからな、確認しているはずが無かった。


 「一応、確認するね、君は今年の新入生の一人、神庭 勇・・君でいいのかな?」


 「はい。そうです。」


 同姓同名がいないのであれば間違いなく俺のことだろう。俺は渡来に本人であるむねを伝えた。


 「君のことは、騒ぎの近くにいた友人から聞いていますよ、君のことを心配していましたが、入学式は一生のうちにそう何度も経験するものではないですからね。ちゃんと参加してもらいましたよ。」


 俺はその貴重な入学式を逃した訳か


 「君のクラスは1年1組ですね・・・今からいけばそう恥ずかしいものではないと思いますよ。」


 渡来は俺に気を使いながら俺の教室行きを促した。


 確かに・・・いきなり保健室行きのクラスメートは自己紹介でもかなり浮くだろうな、素知らぬ顔で教室に滑り込む以外あるまい。


 「1年の教室は2階の東館です。ようするにこの館の2階ですよ、案内しましょうか?」


 迷うこともあるまい、俺はそう思い、ベッドから立ち上がり渡来に別れを告げた。

 

 「大丈夫です。ご迷惑をおかけしました。」


 ぺこりとあいさつをして、保健室を出ようとすると渡来はその眩きイケメン顔をさらに眩くしながらこう言った。


 「こんな世界だし、保健室はいっぱい生徒がくるよ、でもあまりケガはしないようにね。」


 その通りだな、この改造人間たちが当たり前の世界ではこれが日常なんだ。でも俺は平和な学校生活を送りたいだけなんだよ。

 

 俺は渡来に一礼をし、自分の教室に向かった。


 渡来は超イケメンです。

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