12
次の日、学校に行くと、半壊状態になっていた坂道が元に戻っていた。妖精のおかげなんだが・・・
すごいな・・・本当に元通りだ。
「噂には聞いてたけどすごいな・・・」
「何がすごいんだ?」
先ほど会った星川が何のことかわからずに聞いてきた。
お前にはわからんだろうな。今やこの坂道は俺の高校生活で一番印象に残っている場所になってることに・・・
「いや・・別になんでもない。」
不思議そうな星川を放っておいて歩く。
隣で何やら話かける星川に適当に相槌を打ちながら学校に着く。
校門の前に流が立っていた。何してんだ?
「あっ神庭君、星川君、おはよー。」
「おはよー流ちゃん。」
「・・・オハヨー・・・」
「ちょっと神庭君に話があって・・・ちょっといいかな?」
「・・・ああ・・」たぶん昨日のことだろう。
「俺は~?」
あまり他人には知られたくないな・・・
「ごめんね。星川君にはあまり知られたくない内容なの。先に教室に行ってて」
その言い方だと語弊を招きそうなんだが・・・
「・・・ま・まさか!?お前らがもうそんな関係になっていただなんて・・・」
ほら・・・な・・馬鹿だから・・・
「え?そんな関係?」
「いや」
星川は流が口を開こうとする前に、それを手で制する。
「いいんだ。俺は勇と流ちゃんのこと応援してるよ・・・ごゆっっくぅぅりーーーー」
そう言うと星川は教室に走り去って行った。
「・・・え?・・・なんで?」
呆然とする流に俺は嘆息をつき、流に話を促した。
「とりあえず保健室にいくか?渡来もいるかもしれんし・・」
「ん・・・ううんこっち来て」
手招きして歩き出す流・・・付いていくしかあるまい。
「ここでいいでしょ。座って」
着いた先は食堂近くにあるベンチだった。確かにこんな朝早くに食堂に用事がある奴などいないだろう。俺はベンチに座る
流も俺の隣に座る。
「静かで良い所だな。」
「そうでしょ最近見つけた私の穴場スポットなのよ。」
「そうか・・・」
「うん・・・」
中々本題に入らない流・・・俺が振った方がいいのか?
「・・・」
黙って俯く流・・・仕方ない俺から話かけるか・・と思い話しかけようとすると・・
「あのね!!」
「・・お!おう!?」
「嫌いにならないでね・・・」
はい?
「なんのことだ?」
「私、中学の頃、自分の能力の暴走で友達をキズつけたことがあるの・・・それからちょっと怖いイメージ持たれて友達いなかったんだ・・・」
「・・・」
「だから・・・昨日の私をみて神庭君が私のこと嫌いになっちゃったらどうしようかなって思って・・」
「そんなことない!!」
流は驚き少し泣き顔になっていた。
「別に流を嫌いになったりしない。だから安心しろ。」
「・・・うん!!ありがとう神庭君。」
流は俺に顔を見られないように顔を背け、立ちあがる。
「わ・私先に教室行くね。またあとで・・・」
そう言うと流は東館の校舎に走っていく。
俺は自分の中学の頃の事を思い出していた。
能力を持っていなかった自分のことを・・