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かい☆ぞう  作者: 真陸
10/15


 放課後、みんな明後日の選抜試験に向けて話をしている。夢や未来のために頑張るのは俺には出来そうもなかった。平和が一番だ。


 俺はさっさと放課後なのにいつまでも残って試験対策をしているクラスメートとおさらばして教室を出ようとする。


 「ちょっと待って神庭君。」


 ん?俺をよびとめる女の声が聞こえ振り返る。


 そこにいたのは帰り支度を終えた流だった。


 「レイちゃん先生が今日のHRで、あぶない人がいるから1人で帰っちゃダメって言ってたでしょ。一緒に帰りましょ。」

 

 断る理由も無いので俺は2つ返事で返す。


 「あぁ いいぜ。」


 「じゃあ行きましょ、ねぇ帰りにどっかよらない?」

 

 俺と流は適当に話をしながら西日が強く照らされる通学路の坂道を降りる。坂道は長く高台をぐるっと一周回ることでふもとに着く。この坂道の長さだけは慣れることはないだろう。


 まだ4月の後半にさしかかったばかりの季節にしてはやたらと強い日差しで、俺はこの状況と同級生の女の子との登下校に少し青春ぽさを感じていた。もし中学に入った頃の俺が今の平和っぷりを見たら腰を抜かすかもしれんな。


 駅前のクレープ屋がすごい人気だとかの話をしている流を横に俺は適当に返事をしながらそんなことを考えていた。


 その適当な返事に不満を感じたのか、流は話を切り、とんでもないことを言い出した。


 「もしかして、神庭君は私と帰るのがご不満なのかしら?」


 ロリ顔でヘタをすると小学生にしか見えない流が無理して大人っぽい声と言動で俺に不満をもらした。西日のせいか少し顔が紅潮している。

 

 そんな流の言動でさらに流を意識していたが、顔には出さずにからかうことに決めた。


 「不満と言うより恐怖だな、いつ俺に小学生誘拐の逮捕令状がでるのかびくびくしてるんだよ。」


 「もう!!小学生扱しないでってば!!」


 「悪い、悪い」と俺


 初めて流と会ってもうすぐ3週間ぐらいだがかなり気の良い奴なのですぐに仲良くなった。向こうも俺のことが気にいってくれているのか、毎回こんな感じの会話になっているので一種のあいさつみたいになっている。


 それでも流は機嫌を損ねることなく話をする。


 「もう!!それで・・・どうなの誘拐犯さん?」


 「いや、ちょっと青春ぽいなーって思ってただけだ。」


 「ふふ。確かにそうね。すごく青春ぽいわね。」


 この平和な状況に俺は安心しきっていたのかもしれない。だからこそ坂道を上ってくる人間の接近に気付くのが遅れてしまった。


 「やっーと見つけた。爆発的にすごいぞ私!!」


 その人間は昨日、俺に襲いかかってきた鉄 桜花と名乗る少女だった。


 しまったあの女の射程圏内に入ってる!!


 桜花は手に小さい石を持っており今にも攻撃を開始しそうだった。


 「誰あの子?知り合い?」


 少し怒った表情になった流の質問に答える前に俺は流の手を掴み、全力疾走で逃げ出そうとする。しかし、俺の後方の道は桜花が放った爆弾で爆破されとても走れる状況じゃなかった。


 「今日は逃がさないよ。バイトも休みもらったし、決着つけましょ。」


 「待て!!こいつは関係ない。戦うならまずこいつだけは安全な場所まで送らせろ。」俺は流を指し桜花に言った。


 俺に手を握られながらも流は桜花が爆弾を放ったことで最近の襲撃者を思い出したのか、桜花に敵意を向ける。


 桜花は流を一瞥し、少し俺に何か言いたそうな目を向けたが、すぐに戦意をむき出し流に離れろと告げる。


 「私の今のターゲットはこの男だけ、あんたも強そうだけどこの場は逃がしてあげる。」


 俺の手を離し前に立つ流、その物言いに流は冷静に返す。


 「どこの誰かもしれない相手の言うことを聞く義理はないわ。私たち今から駅前のクレープ屋に行かなきゃいけないの、そこどいてくれない?」


 あれ?なぜクレープ屋に行く話になってんだ?


 どうも桜花は相手の挑発に乗りやすいタイプらしくすぐに激怒の表情になった。


 「あんたケンカ売ってんの?私はあんたが邪魔って言ったんだけど・・・爆発的に爆ぜる?」


 「出来るものならどうぞ、泣いてもしりませんが・・・」


 一触即発の空気が流れる。

 

 桜花は手に大量の石を持ちすぐに投げれる体勢をとる。一方、流は手を銃に見立、まるで刑事ドラマの銃の持ち方に構えた。


 先ほどまでの強い西日は夕焼けと変わりつつあった。俺はこの雰囲気にのまれていた。


 「爆ぜろぉぉぉぉ!!」と石を流に投げる桜花


 「泣いてもしらないんだからぁぁぁ!!」手銃を構え、指の先からとても水とは思えない水弾を飛ばす流


 両者の攻撃はぶつかり合い流が発砲した水弾は石が爆発したことにより勢いを失い、桜花には当たらなかった。


 こうして、なぜか水弾対爆弾の戦いが始まった。

女の戦いですね。

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