1/15
世界平和のために
序章
春らしい陽気な日差しと冬の名残りを感じる冷たい風を感じながら神庭 勇はこれから3年間、自身の通う通学路をまるで初めてオモチャ売り場に来た子供のように周りをキョロキョロしながら歩いていた。
斜め上前方を見上げれば、体全体がまるで飛行機のごとく腕を広げ滑空する男子生徒が見え、横隣を見れば、頭に犬のような耳と尻尾をつけた女子生徒が猿のような腕と足の女子生徒と一緒に話しながら歩いており、話の内容を察するに意中の男子生徒の話らしく、平和っぽいその光景は勇を意味もなく安堵させた。
勇にとっては今日は入学式であり、無事に平和な高校生活が送れるかが決まるかもしれない大事な日だたのだが、勇にとっての平和な高校生活はある人間によって破壊されることになってしまうのを、この時のの勇は知るよしもなかった。