↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【5月1日コミック2巻発売】呪われ王女は魔法植物を研究したい~公爵様が婚約者!?私、呪いで幼女になっているのですが~  作者: かのん
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
66/69

25話

 雨はすぐにやみ、雲に流されて青空がまた広がった。


「方法、見つけました。本当に上手くいくかわかりませんが、やってみる価値はあると思います!」


 私の言葉にレオン様がうなずくと言った。


「シャーロット、では集落へ戻るか」


「はい! 薬を精製し、森の民の呪いをまずは解かなければ!」


「はぁ。ならもうひと踏ん張りだな」


 ルッソはそう言い気合を入れて立ち上がると、地面に横たわっていたお姉様を抱き上げた。


 お姉様は未だに目を開かないけれど、顔色はよく、体に広がっていた文様も消えている。


「リリーは、俺が運んでおく。心配するな」


「ルッソも、無理しないでね」


 私がそう告げると、にっと笑う。


「俺はそんなやわじゃねぇ……と言いたいところだが、集落に着いたら休ませてもらうぞ。ははは。体が辛え! こんなの初めてだ!」


 するとレオン様が言った。


「私が二人まとめてかついでやろうか?」


「やめとけやめとけ。シャーリーがやきもち焼くぞ」


 ルッソの軽口に私は唇を尖らせる。


「もう! からかわないで」


「ははは」


 魔女とルパート様がいなくなったことで、空気がだいぶ軽くなった。


 けれど問題は山積みで、私達は森の民の集落へと急いで向かう。


 集落では、子ども達がせわしなく動き、広場に、呪いに苦しむ人々が横たわっている。


「シャーリー! 症状が出た人はここに集めたよ!」


「綺麗な水と、必要かと思ってこの前と同じ魔法植物も揃えておいた!」


「綺麗な瓶とか鍋とかも! 集めたよ!」


 子ども達には呪いの症状が出ていない様子だ。


 恐らく、魔獣の対処など集落の外に出た人が呪いを受けたのだろう。


 青い炎の薔薇のその効力の恐ろしさを感じる。


 ルッソはリリーお姉様を下ろすと、自らも座り込む。そこでお姉様が頭を押さえながら目を覚ました。


「頭が……痛い……あれ、ここ……は?」


 しゅういをきょろきょろと見回すお姉様。私はほっとしてお姉様の手を取る。


「お姉様、あの、どこまで記憶が残っていますか?」


 メリザンドに乗っ取られていた時の記憶が残っていたらどうしよう。


 私はそう思ったのだけれど、お姉様は少し考えると言った。


「……シャーロットと一緒に布団に入ったところまでは、覚えているのだけど。何かあったの?」


 ほっとした。


 お姉様は知らなくてもいいことだ。


 私は答えた。


「魔女の呪いによってお姉様も危ない所だったの。でもお姉様の解呪は出来たわ! だからもう大丈夫。ただ、今、他にも呪いが広がっているから、それを解呪する薬を作るところよ」


 私がそうつがえると、ルッソや他の皆もうなずく。


 お姉様はハッとしたように周囲を見回してから言った。


「なら、私も手伝うわ」


「でも、お姉様、無理はしないで」


「大丈夫。お願い、手伝わせて」


 私はそんなお姉様の言葉にうなずいた。


「シャーロット。何かあと必要な物があれば、言ってくれ」


「僕も手伝うよ」


 レオン様とロムア様の言葉に私は少し考えると答えた。


「レオン様にお願いがあります。離宮からいくつか必要な魔道具をこちらに持ってきてくれませんか?」


「もちろんだ」


「ロムア様には魔力をお借りしたいのです。結構……必要になるかもしれません……大丈夫でしょうか」


 ロムア様は優しく微笑む。


「あぁ。大丈夫。青い鳥のおかげで、今は魔力がすごく穏やかで使いやすいのがわかる」


 青い鳥とはクラーク家にとってはなくてはならないものだったのだろう。


 ロムア様の表情が以前会った時とは全く違う。


 私は今度はお姉様や子ども達に向きなると言った。


「皆にもお願い。これから、もっとたくさんの魔法植物が必要になるわ。手伝ってもらえるからしら」


「「「「「もちろん!」」」」」


 私はうなずくと、一人の子が前へと出て、円陣を組むように他の子に伝える。


 円陣。私は驚きながらもその輪に入る。


 レオン様とお姉様、ロムア様も流れで輪に加わると、皆がこちらをキラキラした瞳で見つめてくる。


 私はハッとして、大きく息を吸うと、今まで出したことのない大きな声で言った。


「皆で頑張るぞー!!!!」


「「「「「「「おー!!!!」」」」」」」


 そこから私はレオン様に必要な魔道具をお願いし、子ども達には必要な魔法植物を採取してきてもらえるように伝えた。


「小さな妖精さん。一体何をするつもりなんだい?」


 ロムア様は私がエプロンを付けて準備し始めたのを覗き込みながらそう尋ねてきた。


 私は準備をしながら答えていく。


「まず、大量に薬を作り上げたいと思います。ルピタ魔法薬草の魔力を排出するという効力を使います。ロムア様の魔力を注入してもらうことで、体内に入った魔女の呪いが自ら逃げ出す道を作るイメージです。ただ、魔法植物には毒素が含まれるので、それを中和するために、ジグ魔法植物の根を使います。そして魔法植物同士の属性にて反発し合う効果を減少させる効果のあるシーヴア魔法植物の木の実を潰して絞り、そこに加えていきます」


「……なる、ほど?」


 早口で喋りすぎたかなと思いながらも、私は洋服の袖をまくり上げると、子ども達と一緒に魔法植物の下処理から行っていく。


「ちなみに今、採って来た魔法植物を、同じものなのにどうして仕分けしているのだ?」


「え?」


 私は子ども達が持ってきた魔法植物を一つ一つ自分の目で確かめていき、使えるものと使えないものに分けている。


 見ればわかると思っていたのだけれど、近くにいた子どももロムア様と同じようにいった。


「私も気になってたー。なんで?」


「うん。見た目おんなじなのに、前の時もシャーリーがこっちはダメって言っててなんでかなぁ? って思ってた」


 私はそれを聞いて、ハッとして伝える。


「たしかに、何がダメか伝えていなかったわ。ごめんなさい。あのね、ダメなのは魔法植物の成育歴が足りなかったり、葉に元気がなかったり、根が短かったり、あと匂いで栄養不足が分かったりするから」


 その言葉を聞いて、皆が驚いた様子できょとんとしている。


 私は自分の説明不足に反省する。


 するとロムア様がふむと言って子ども達に尋ねた。


「今ので、分かる?」


「え? いや……」


「ごめんね。シャーリー。わからないや」


 その言葉に、ロムア様もうなずいた後に言った。


「うーん。手練れの研究者ならば分かるのかな。とにかく、今は君にしか出来ないことだと分かったよ」


 私はそれを聞き少し衝撃を受ける。


 あまり気にしたことがなかったからだ。


 ただ、とにかく今は薬づくりに集中しなければ。


 仕分けた植物は、子ども達に丁寧に綺麗な水で洗ってもらう。ロムア様も手伝って下さり、準備はどんどんと進んでいく。


 そこに魔道具を取りに行ってくれたレオン様も帰ってくる。


「レオン様ありがとうございます! あの、もう一つお願いがあるのですが、シュート魔法植物を森で採取してきてほしいのです。分かりますか?」


「あぁ。君が呼んでいた魔法植物の図鑑で見たことがある。分かると思う」


「ありがとうございます」


 レオン様の記憶力はすごい。


 レオン様はすぐに森の中へと駆けて行った。


 私は魔道具も使いながら薬を生成していき、そして森の民にお願いをして一番大きな巨釜を使わせてもらう。


 小分けして小瓶に入れた残りは全て巨釜へ。


「ロムア様、出来上がった薬に、魔力を一定量だけ流しいれてくれますか?」


「あぁ」


 出来上がった薬は青白く輝き、少し瓶が冷たくなっている。


「ありがとうございます! さぁ、これを森の民の皆に飲ませて。すぐに体調が回復するはずよ。文様が消えなかったらすぐに言ってね」


「はい!」


 メルバ様が森の民の皆に、事前に呪われたら文様が出るように対処していてくれたおかげで処置がしやすい。


 森の民の皆は、薬を飲むと、顔色が良くなっていく。


 私はほっとしたけれど、森の中からは魔獣の叫び声が響いて聞こえてくる。


 魔女がいなくなっても、森全域に広がった青い炎の薔薇が消えるわけではないのだ。


「早くしなくちゃ……」


 あとはレオン様にお願いした魔法植物があれば、とそう思った時、レオン様が森の中から帰って来た。


「レオン様!」


「お待たせ」


 その時、レオン様の背後から巨大あ魔獣が姿を現し、レオン様めがけて大きな爪を振り下ろそうとする。


「危ない! 後ろ!」


 私はとっさに駆けだそうとするが、レオン様は何の問題もないように一瞬で剣を引き抜くと、後ろにいた魔獣を一撃で倒す。


 そして地面に倒れた魔獣の背中に生えていた青い炎の薔薇を、ロムア様が自らの魔力を込めたナイフを投げ打ち消した。


「レ……レオン様。よかった」


 私の言葉に、レオン様は剣を鞘へと戻し、採ってきてくれた魔法植物を見せてくれる。


「お待たせ。取って来た」


 私はレオン様に抱き着く。


「ご、ご無事でよかったです」


 先ほどは本当に怖かった。


 レオン様は私を抱き上げ、優しく背中を撫でてくれた。


「心配させてしまったかな。だが、シャーロット。私はそんなにやわではないから、安心してくれ」


「はい……でも、心配しました」


 そんな私の言葉にロムア様が言った。


「王国一強い男を心配するなんて、君くらいだろうね」


「え? レオン様、そんなにお強いんですか?」


 レオン様が優しく微笑むと私の頭を撫でる。


「どうかな。さぁ、シャーロット、次はどうしたらいい?」


 私はうなずくと、レオン様からもらった薬草を水で丁寧に洗いに行く。


 葉を一枚一枚洗い、そして一枚ずつ契ると用意は完了だ。


 その時、リリーお姉様が声を上げた。


「シャーロット! 集落の中にも青い炎の花が増えて来たわ!」


 青い炎の薔薇の増殖能力の高さに私はゴクリを息を呑む。


 早く対処しなければ、森全体が飲み込まれてしまうだろう。


 私は巨釜の前へと行くと、ロムア様にお願いをする。


「私がお願いをしたら、魔力を注いでくださいますか?」


「あぁ。いつでも」


「ありがとうございます!」


 レオン様が私をひょいと抱き上げてくれる。


 私は踏み台があるのだけれどなとちょっと恥ずかしく思いながらも、巨釜の上でシュート魔法植物の葉を手のひらでくるりくるりともみ込みそれから勢いよく巨釜へと居れた。


「ロムア様! お願いします」


「了解」


 ロムア様が魔力を流し込んだその瞬間、ドカンという衝撃音と共に空高くまで白い雲が立ち上った。


 そしてそれは空高くで広がり、ゆっくりと森上空の空を覆いつくしていく。


 太陽を隠し空が真っ暗になった。


「何……怖い」


「シャーリー。これ、大丈夫?」


「真っ暗だ……」


 子ども達が寄り添い合いながらそう呟く。私はそんな皆に笑顔で告げた。


「大丈夫! 大成功だと思う。ほら、見て」


 空から、ふわりふわりと白い雪が降り始めた。


「雪?」


「でも、今は雪の季節じゃないのに」


 私はじっと生えていた青い炎の薔薇へと視線を向ける。


 すると、青い炎の薔薇に雪が触れた瞬間、まるで悲鳴のような音を立てて炎の青い薔薇が消え、元の普通の魔法植物へと戻る。


 青い炎の薔薇は次々に消えていく。


 それを見て私は喜びの声を上げた。


「やった! 成功です!」


 私の声に、皆が驚いた表情を浮かべ、そして、やっとハッと気づいたのか歓声を上げていく。


「よかったな! シャーロット!」


「シャーリー! ありがとう!」


「やったね!」


 子ども達も大喜びではしゃぎまわっている。そして森の民の皆も、次々に体調が戻っていく。


 リリーお姉様はルッソの元へと行き、起き上がるルッソに抱き着いた。


「良かった! 大丈夫?」


「いってぇ。飛びつくな。大丈夫だから」


「あ……ご、ごめんなさい。えっと、えぇ……ならいいの」


 お姉様の元気な様子にほっとする。


 そして森の方から聞こえてきていた魔獣達の声も落ち着き始める。


 先ほどまでの恐ろしい雰囲気は消え、森に風が吹き抜けていく。


「よかった」


 私はほっとしてその場に座り込んでしまう。


「本当に、よかった」


 そんな私をひょいとレオン様は抱き上げると言った。


「シャーロット、疲れただろう。少し、休むといい」


「えっと、そう……ですね」


 たしかに、もうふらふらであった。


 様々なことがありすぎて、心も体も疲れている。


 ロムア様がそんな私に言った。


「小さな妖精さん。ゆっくり休んで。青い炎がちゃんと枯れたかどうかは、僕とレオンで確かめて来るよ」


「本当ですか。ありがとう……ございます」


 そう告げながらも、瞼がどんどんと重たくなっていく。


 私はそのまま眠りに落ちてしまったのであった。




いよいよ11月1日、コミック1巻と書籍2巻が発売となります(●´ω`●)

皆様どうぞよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪われ王女は魔法植物を研究したい~公爵様が婚約者!?私、呪いで幼女になっているのですが~ 書籍1巻

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
コミック1巻

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
コミック2巻

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。