表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【11/1書籍2巻&漫画1巻発売】呪われ王女は魔法植物を研究したい~公爵様が婚約者!?私、呪いで幼女になっているのですが~  作者: かのん
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/68

23話

 私は叫び声をあげた時、その声に反応するかのように、ジョンと妖精達が姿を現した。


 ジョンは魔女に飛び掛かり、その突然の攻撃に魔女はルパート様を地面へと落とした。


「うわぁぁぁぁっ」


「もう! 邪魔しないで!」


「がるるるる! 何が邪魔しないでだ! 魔女よ! 我が森に害をなしておいてただで逃げられると思うな!」


 妖精達は、私の元に籠に入れた薬を運んできてくれた。


「シャーリー! 無事!?」


「これ、いるんでしょう?」


「持ってきてあげたよー!」


 私はうなずくと言った。


「ありがとう! 助かるわ!」


 この薬にロムア様の魔力を注いでもらわなくては!


 そう、思った時、私達の周りにも青い炎の薔薇が次々に咲き誇り始める。


「熱い……」


 妖精達は飛び上がり、声を上げた。


「熱すぎて、だめ!」


「翅がこげちゃう!」


「焼けちゃうよー!」


 私は妖精達に告げた。


「森の民の皆に危険を知らせて! 魔獣がまたやってくるかもしれないから!」


「わかった!」


「薬がないとでも倒せないんじゃないの!?」


「知らせたら戻ってきたらいい!?」


 妖精達の言葉に私はうなずく。


「うん! お願い!」


「「「了解!」」」


 妖精達は飛び去り、私は薬をもってロムア様の元を目指す。


 ジョン、ロムア様、レオン様に取り囲まれた魔女は、焦りを見せながらも攻撃を軽やかにかわしていた。


 集落の中は騒がしくなり、緊急事態の鐘が鳴り響く。


「小型の魔物が出現! 対処に当たれ!」


 声が響いて聞こえ、私は振り返るとそこには小型の魔獣が確かにいた。


 その背中には青い炎の薔薇が咲いている。


 ルッソは弓を構えると、一匹、また一匹と仕留めていく。


 被害が広がる前に、薬をと思い私はロムア様の元へと走るが、その途中で腕を掴まれた。


「シャーロット」


「ルパート様!?」


「はぁ。痛かった。落ちるとは思わなかった」


 私は体を抱き上げられると、首筋にナイフを押し当てられる。


「さぁ、君を人質に逃げようかな」


「ルパート様! こんなことをして何になるのですか!」


 すると、楽しそうにルパート様は言った。


「あははは。何になるのだろうね。だが、なんだか楽しいよ」


「え?」


「今までは王国のことを第一に考えていた。いかなる時も。王国の益を考えて生きてきた! だが王国が私を……俺を要らないっていうなら、俺から捨ててやるんだ。そしたらすごく自由になった。なぁ、シャーロット。君だって、国から捨てられただろう? 紛い物の姫君なんてさ、最低な二つ名じゃないか」


「っ!?」


「一緒に行こう。自由になろう」


 私は首を横に振る。


 ルパート様は私のことをじっと見つめる。その瞳はぞっとするような色をしていて私は怖くなった。


「何故? 俺達は同じような境遇じゃないか」


「ち、ちが」


「違わない。呪われて、離宮に幽閉されて、一人きり。そこで仮初の自由を得たんだろう? だが君はまだ離宮に捕らわれている。一緒に行けば、完全なる自由だぞ。君は本当は何がしたい? 自由に魔法植物を育て研究したいのだろう。だが、今の状況で研究して何になる? 誰が君のその能力を認める? 宝の持ち腐れだ。俺と共に行こう。君のその魔法植物に対する知識があれば、世界を動かすことだって可能だ!」


 世界を動かす?


「何を……私にそんな力は」


「ある! グレイもそうだったが……普通の人間には魔法植物で薬を生成するなんてこと出来ないんだよ。そもそも入手も困難。君が思っている以上に魔法植物からの薬の精製は難しいものだ。それを簡単にやっている君は、自分がいかに希有な存在かわかっていないのだ」


 ルパート様は周囲を見回すと私を抱えたまま森の中を走り出した。


「放してください!」


「あははは。とにかく俺さえ逃げ切れば勝ちだ」


「魔女を置いて逃げるの!?」


「はは。勘違いをしているな」


「え?」


 一体どういう意味なのだろうか。


「シャーロット! ここは任せたぞ! 私はシャーロットを追う」


 レオン様の声が聞こえ私は声を上げた。


「レオン様!」


 必死に走るルパート様だが、レオン様はすぐに追いつくと剣を構える。


「シャーロットを渡せ」


 ルパート様は私の首筋に剣を押し当てて言った。


「ははは。嫌だね。今ならこの女の価値が分かる。妖精や聖獣に好かれ、その上、魔法植物で薬を作れる。しかもその薬は世に出ていない摩訶不思議な物ばかり。あはははは。この女は金のなる木だ」


「その煩い口を閉じろ。彼女を返せ」


「嫌だね。おっと、一歩でも近づいてみろ。お前に捕まるくらいなら、この女の首を切りすてる」


 冷たい剣の切っ先が、喉に突き立てられる。


 痛みが走り、ぷつっと音がした。


「いっ……」


「やめろ!」


「あははは。じゃあ、黙ってろ」


 ぞっとするような声でルパート様がそう呟く。


 以前までとは雰囲気が変わった。


 青い炎の薔薇がレオン様を取り囲み、そして囂々と音を立てる。


 私はその時、ルパート様から青い魔力の糸のようなものが伸びていることに気が付いた。


 先ほどのルパート様の言葉を思い出し私はある可能性に気が付いた。


 とにかく、この子どもの姿では、意図も容易く私はルパート様に連れ去られてしまう。どうにか逃げなければ。


 そこで私はハッと気づいた。


 ときめけば私は大人の姿に戻れるはずだ。


 トキメキ……。


 羞恥心を捨てろ! 私!


 私は気合を入れると、これまでのレオン様との思い出を振り返る。


 私を、ひょいと軽々と抱き上げるレオン様。


 その腕や体は、しっかりと鍛えあげられており、抱きしめられると心地よい安定感があった。


 私をすぐに甘やかそうとして、子どもだと思って軽々しく触れる。


 けれどたまに、こちらを見る瞳から、愛おしいと言う思いが、伝わって……伝わってきて!


 私は次の瞬間、ボフンっと大人の姿へと戻った。


「なっ!?」


 ルパート様が一瞬の隙を見せたその時、レオン様が間合いを詰めてレオン様のナイフを剣ではじき飛ばし、私の腰を抱くと、飛びのいた。


「くそっ!」


 ルパート様が駆けだして逃げていくが、私には確かに細い魔力の糸が見えた。


「レオン様! ここを剣で切って下さい!」


「わかった!」


 私が行ったことに対して、レオン様は何の迷いもなく剣を振り下ろす。


―――――プツン……。


 その瞬間、魔女の悲鳴が森に響き渡る。


 それと同時に、走り去っていくルパート様の方から声が響いて聞こえた。


「クソ! なんで! なんで! なんで! ルパート戻りなさい!」


「突然どうして! だが、このまま戻って大丈夫か!?」


「魔力を繋げれば大丈夫よ! 青い鳥を回収しなくちゃ!」


 ルパート様の肩には小さな青い炎の薔薇が咲いている。


 私はその言葉に、レオン様に言った。


「リリーの所に急いで連れて言ってくれますか!?」


「もちろん!」


 私を担ぎ、レオン様は走ると、すぐにリリーの所へと戻る。


 先ほどまではメリザンドの姿で暴れまわっていた魔女。だが今はリリーの姿に戻り、意思を持たず暴走するように暴れまわっている。


 その姿に、ジョンやルッソやロムア様は距離を取った。


「突然どういうことだ!?」


 ルッソの言葉に、私は声を上げた。


「魔女メリザンドの本体は、ルパート様の肩よ! お姉様を操っていた魔力の糸が切れて、お姉様は暴走しているの! ジョン! ルッソ! ルパート様を妨害して! ロムア様! お願いがあります!


 ロムア様がこちらへとやってくると、私は薬を差し出した。


「この薬に、ロムア様の魔力を注入してほしいのです。お願いします!」


「魔力を? というか……君は、誰だ」


 しまった。


 今の私の姿は、大人の姿だった。そう思った時、私の姿がボフンっと子どもの姿へと変わってしまう。


 ロムア様は目を丸くした。


「妖精さん!?」


「お願いします! お姉様を助けたいんです!」


 私の願いに、ロムア様は驚きながらも、うなずきかえしてくれたのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪われ王女は魔法植物を研究したい~公爵様が婚約者!?私、呪いで幼女になっているのですが~ 書籍1巻

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
書籍2巻

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
コミック1巻

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ