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【11/1書籍2巻&漫画1巻発売】呪われ王女は魔法植物を研究したい~公爵様が婚約者!?私、呪いで幼女になっているのですが~  作者: かのん
第二章

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21話

 私とレオン様は薬づくりの準備を始めたのだけれど、私は空き家の奥に、もう一つ部屋があることに気が付いた。


「あら、ここ……」


 そこには、かつて薬づくりをしていた痕跡があった。


「もしかしたら、客人というのは……エレニカ・フォーサイス様?」


 ここで何をしていたのだろう。


 エレニカ様は一体どういう人だったのだろう。


 そういう想いもあるが、今、ここに様々な道具があることがありがたい。


「ほこりをかぶっているけれど、使えそうだわ。レオン様! こちらへ来て下さい!」


「どうした? ここは……?」


「わかりません。でも、使えそうな道具が色々と置いてあるんです! よかった。これなら作れそうです」


 ただし、最終的に最も必要な物がたりない。


 魔法植物的には、揃えられる。ただし、青い炎の薔薇を対処するのに必要なものは、おそらくそこにロムア様の魔力を混ぜ合わせたもの……。


 ただ、扉がロムア様の元へとつながるかは、分からない。


「レオン様、薬を作った後、お願いがあります」


「なんだ」


「ロムア様の元へと薬を持って行き、薬全てにロムア様の魔力を注いでほしいのです」


「わかった。ロムアには私が頼む。またロムア自身が扉を通れるかは分からないが……通れた場合は連れて来てもいいだろうか。クラーク家の悲願を果たさせてやりたい」


「もちろんです」


 かつて魔女討伐を命じられたクラーク家。魔女に致命傷を負わせ、あと一歩のところで逃げられた。


 そして、レオン様が持ってきてくださった資料によれば、クラーク家はあるものを魔女に奪われた。


 それは、魔力を安定させる魔道具【青い鳥】。


 古い魔道具であり、クラーク家の先祖が自家の魔力が不安定なため生み出したものだと資料には書かれていた。


 私はロムア様の姿を思い出す。


 レオン様のように魔力過多症ではなく、自身の魔力が制御できない為に起る魔力暴走。それをかつては、青い鳥を使って制御していたのだろう。


「魔女に奪われた青い鳥、ロムア様に返してあげたいですね」


「あぁ。まぁ……こちらの情報は渡してある。故に聖域の森の近くまでは来ている可能性があるがな……」


「ロムア様に無事に会えたらいいのですが……」


「あぁ」


 とにかく今は薬を作るしかない。


 その後は、森の民の皆と一緒に私は薬づくりへと移っていく。前回のことがあったので皆手際よく手伝ってくれる。


 そして結構な数の薬は出来た。


 ただ、これは最終的にロムア様の魔力がなければ効き目はない。


「はぁ……レオン様。やることはやったので、私お姉様の様子を見てきます」


「何かあるといけない。私もついて行こう」


「ありがとうございます」


 私とレオン様は手伝ってくれた森の民の皆にお礼を言った後に、メルバ様の家へと向かった。


 お姉様は目が覚めただろうか。


 そう思い扉を開こうとしたタイミングで、メルバ様の家の扉が開いた。


「レオン様……やっと来てくれたの?」


 そう言いながらお姉様が現れ、レオン様に抱き着いた。


 レオン様は驚きながらもお姉様を抱き留める。


「リリー嬢?」


「お姉様?」


 その体には、魔女の呪いが広がっている。


 私は急いでお姉様に薬を飲ませなければと思ったのだけれど、私のことを、お姉様が片腕で突き飛ばした。


「はぁ。邪魔しないで」


「え?」


 私はしりもちをつき、その場に座り込む。


 お姉様はレオン様へと視線を戻すと懇願するように言った。


「レオン様。お願いです。傍にいてください。私に触れて。お願いです」


「リリー嬢、とにかく落ち着いて。シャーロット。大丈夫か!」


 お姉様を手で制し、レオン様が私を抱き起そうとするのだが、それをお姉様がまた邪魔をしてくる。


「ダメ。シャーロット。子どもは遊んできなさい。レオン様。レオン様はリリーと一緒にいてください」


 その様子に、レオン様は眉間にしわを寄せる。


「どうなっているんだ」


「お姉様……」


 その時、ルッソがこちらの騒動に気付いて走ってくると、リリーを睨みつけて言った。


「やっぱり。おかしいと思ってたんだ」


「ルッソ……」


「リリーの体に入り込んだてめぇは誰だ」


「何言っているの? 私はリリーよ。レオン様、お願い。お願いだから離れないで」


 レオン様の腕にしがみつくリリーお姉様。


 そんなリリーお姉様にルッソは大きくため息をつくと、その腕を抑え、それから地面へと座らせる。


「放しなさい!」


「はぁ。黙ってろ。シャーロット、薬飲ませるのだろう?」


「あ、うん! ちょっと待って」


 私はカートから薬を取り出すとお姉様へと持って行く。


「お姉様、これは魔女の魔力を体外へと出す薬よ。飲んで」


「必要ないわ。私を見て、元気よ。何の問題もないの。だから手を放しなさい!」


 どうして先ほどからレオン様に必要に触れようとするのだろうか。


 そう思っていた時、レオン様がふらりとよろめく。


「レオン様!?」


「な……すまない。なんだ……?」


 どうにか踏みとどまったレオン様は自身も驚いた様子だったが、ハッと顔をあげると言った。


「シャーロット。分かった。リリー嬢は……私から魔力を得ようとしているのだ」


「え?」


「魔力? レオンの魔力をってことか?」


「ああ」


 急いで薬を飲ませなければ。お姉様も、森の魔獣のように魔女に操られているのだろう。


 私は薬を持つと、お姉様の口元へと持って行く。


「お姉様、飲んでください!」


「ねぇ、シャーロット落ち着いて。私、普通よ?」


「いいえ。お姉様、お姉様は呪いによって、苦しめられているんです」


「はぁ……紛い物。手を放しなさい」


「お姉様!」


「汚らわしい! 私に触れるな!」


 そう声を荒げるお姉様の口へと、私は薬を流しいれた。


「お姉様! 飲み込んでください!」


 ルッソがお姉様の口元を抑え、しっかりと飲み下すのを見届ける。そして呑み込んだその瞬間、お姉様は叫び声をあげた。


「あぁぁぁぁぁ」


「お姉様! お姉様!」


「痛い。痛い。苦しい……あぁぁ」


 薬が体の中で魔女の魔力を外へと追い出そうとしてるのだろう。


 私はお姉様をぎゅっと抱きしめた。


「お姉様!」


 大丈夫。薬が全て体に回ればきっとお姉様は。


 そう、思っていたのに……。


「はぁ。本当に、言うことを聞かないんだから。でも残念。魔力が体に定着した今、そんな薬飲ませてもだめよ」


「お姉様」


 お姉様が潤んだ瞳で叫ぶ。


「私がやっぱり憎いのね。そうよね……紛い物にとって本物は眩しくてしょうがないでしょうから」


 放たれた言葉の刃に、私は、何を言われているのか理解することが出来ずに、動きを止めた。


「おねえ……さま……?」


 お姉様の全身に、魔女の呪いが広がっていく。


 どうして? 薬を飲ませたのに……。どうして効かないの? 失敗だったということ?


 ドクンドクンと脈打つ自分の心臓の音が聞こえるようだった。


「……本当は、私を憎んでいたのね」


「お姉様、しっかり。今は呪いのせいで」


「黙って。あぁ、そうだわ。レオン様を取られると思って、毒を飲ませたのね?」


 お姉様はこんなことを言うような人ではない。


「レオン様と私の方がお似合いだものね」


 嘲笑うような笑み。


「リリー落ち着け。お前、今、おかしくなっているんだ」


「そうかしら?」


 次の瞬間、お姉様が腕を振ると同時に、地中から青い炎の薔薇が咲き始め、そのツルにルッソや私やレオン様の足はからめとられる。


「これはっ!?」


「なんだ! 突然!」


「お姉様! お姉様しっかりして!」


 私は叫び声をあげるが、こちらを睨みつけると、レオン様にリリーお姉様は後ろから抱き着くと言った。


「本当にバカねぇ」


「え?」


「うっ……」


 レオン様が苦しそうに息を吐き、お姉様の表情は恍惚に変わっていく。


「やめてください! レオン様が苦しんでいます!」


「じゃあ……私が苦しい思いをしてもいいのね? 酷い妹」


「ちが……お姉様」



「シャーロット! 話を聞くな! もうすでに」


「あははは。気づくのが遅かったわねぇ」


 同時に、その銀色の美しい瞳の色が、青い炎の薔薇と同じ色へと変容していく。


「あぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ」


 青い炎の薔薇がその場にいく輪も咲き誇り、そしてお姉様の姿を巨大な薔薇が包み込む。


 目の前で何が起こっているのかわからずにいると、青い炎の薔薇の中から、青い大きな翼と美しい髪を持った魔女が姿がを現した。


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