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【11/1書籍2巻&漫画1巻発売】呪われ王女は魔法植物を研究したい~公爵様が婚約者!?私、呪いで幼女になっているのですが~  作者: かのん
第二章

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18話

 集落を捨てる?


 私はとにかく何が起こっているのかを確認したくて、高台の梯子に手をかけると、それを上った。


「シャーリー!」


「メルバ様は皆に指示を! 私はジョンの加護を受けています! 何かあれば自分で身を隠しますから!」


「くっ、何かあればすぐに逃げるのだぞ!」


「はい!」


 風にあおられながら私は高台を登っていく。


 強く吹き抜けていく風は、炎の匂いを纏っていた。


 高台に登った私は、森を見つめると、魔獣が木々よりも高く飛び上がり雄たけびを上げた。


 その姿を見て、私は目を丸くする。


「青い……炎の薔薇が……背中に咲いている」


 そして苦しそうに暴れまわっており、ジョンの姿も見える。


 暴れまわる魔獣相手に戦っており、その周りに金色の光が飛び回っているのが見える。


「何が起こっているの……」


 三時の方向へと今度は視線を移すと、そちらでは他の魔獣同士が争っているようであった。


 ただ、遠すぎて良く見えない。


 私は、はしごを降りると、レオン様と合流しようとメルバ様の家へと走った。


「あっ!」


 途中踏み外して転んでしまうけれど、私はすぐに立ちあがる。


 スカートについた土を自分で払い、力いっぱい走る。


 私に出来ることがあるとすれば、魔法植物を調合して作った薬を有効活用することだけだ。


「レオン様! リリーお姉様! いますか!?」


 扉を勢いよく開けたが、中に二人の姿はなかった。


 私は呼吸を整えながら、額の汗をぬぐい、それからレオン様が置いておいてくれたカートを手に取った。


「行かなくちゃ」


 私はそのカートをもって走る。


 レオン様かルッソにこの薬を伝えたい。


 ただ、子どもの姿はどうにも走りにくくて、すぐ疲れてしまう。


「はぁ、はぁ、はぁ。どこに向えばいいの」


 周囲をきょろきょろと見回すけれど、シャーロットはどこへ運べばいいのか分からない。


「どうしたらいいの。どうしたら」


――――――スン。


 青い炎の薔薇の強い香りが鼻をかすめていく。


「こっちだ……こっちから、強い香りがする!」


 私は匂いを追いかけるように走る。


 そして走って行った先に、人影が見えた。


 レオン様だ!


 そう思った私は、レオン様の名前を呼ぼうとする。


「レ……」


 けれど、私はそれを飲み込むと、その場で立ち止まり、木の陰に隠れる。


 思わず、隠れてしまった。


 私は木の陰からのぞき見ると、そこには、リリーお姉様を担いだ状態で魔獣を薙ぎ倒すレオン様の姿があった。


「きゃっ! レオン様!」


「リリー嬢。大丈夫か」


「は、はい」


 レオン様は魔獣を倒すと剣を鞘へと納めてからリリーお姉様を地面へと降ろした。


 私は、その姿を見つめ、拳をぎゅっと握る。


「怖かった」


 リリーお姉様が、レオン様に突然ぎゅっと抱き着いた。


 その姿を見た私は胸が痛む。けれどその一方で、お似合いだなと、そう思ってしまう。


 王族の色を強く受け継いだリリーお姉様。そしてカーライル公爵家の当主であるレオン様。



 紛い物と呼ばれる私が、レオン様の婚約者で本当にいいのか。


 その思いはずっと胸の中にある。


 レオン様はすっとリリーお姉様のことを引き離すと笑顔で言った。


「ご無事でよかった。とにかく、一度引き返そう」


「で、でも。怖くて……」


 距離が近い……。


 その姿を見て、私は勇気を振り絞る。


 心の中で未だに私が婚約者でいいのかという答えは出ていない。けれどそれでも今、レオン様の婚約は、私だ。


 どれほどお似合いだと思っても、私がレオン様の婚約者なのだ。


 私は気合を入れると立ち上がり、そして二人に向かって声を上げた。


「ふ、二人とも! 距離が近いです! 離れてください!」


 レオン様の婚約者は私だから、そんなに近いのはだめだとそう言おうと思った。


 なのに、なぜか空気感が違う。


「いやだ……。レオン様。どうして避けるの?」


「ははは。シャーロットの姉君だから甘く対処していたというのにな」


 リリーお姉様の周囲に青い炎の薔薇が咲き誇り、レオン様が瞬時に距離を取ると、身構えていた。


 そして二人が私の方をハッとしたように見る。


「シャーロット!?」


「あら、シャーロット」


 私は先程とは違うその雰囲気に、リリーお姉様とレオン様とを視線をいったりきたりする。


「えっと、あの……」


 リリーお姉様がにっと笑って言った。


「あら。さっき、距離が近いって言った? ふふふ。やきもち?」


 私はどういう状況なのかよくわからないながら、慌てて言った。


「え、え、えっと、えっと……やきもちでは……」


 ないわけではない。


 やきもちでは……ある。


 私は恥ずかしくなってきて、どうしようかと思っているとレオン様が言った。


「シャーロット! リリー嬢の様子がおかしいのだ! こちらへ!」


「レオン様ったら、そんなこと言わないで」


 リリーお姉様がレオン様との距離を詰めると、その首に腕を回す。


「どうしてだか分からないけれど、レオン様と引っ付いていたいの」


 今にもキスしてしまいそうなほどの距離。


「そんなにち近づいたらだめですー!」


 私の叫び声に、レオン様がこちらに視線を向けて驚いたような顔を浮かべている。


 その時、大地を駆ける音がし、地面をける。宙を舞ったルッソがリリーお姉様の首筋に手刀を落とした。


「うっ……」


 気を失うお姉様をレオン様が抱き留めると、先ほどまで咲き誇っていた青い炎の薔薇が姿を消した。


 ルッソはお姉様をひょいとレオン様から引き離し抱きかかえる。


「はぁぁ。大変なことになったな」


 ひょうひょうとした様子でそう言うルッソに私は声を上げた。


「お姉様は大丈夫なの!?」


「気を失わせただけだ。リリーの周りに青い炎の薔薇が咲いているのが見えただろう。向こう側で対処していた魔獣も同じように薔薇を咲かせていた。倒したら薔薇は消えた。だからリリーも一度気を失わせてみたが、正解だったようだな」


 その言葉に私はルッソに慌てて言った。


「え? え? 根拠はなかったの? あの、お姉様、本当に大丈夫なのよね?」


「大丈夫だろ。気を失わせただけだ。とにかく、ここじゃあぶねぇ。一度下がるぞ。集落を取り囲むように魔獣達が暴れまわっているんだ。くそ……」


 私はその言葉に、持っていたカートをルッソに見せた。


「これ! 青い瓶が青い炎の薔薇を普通の魔法植物に戻す薬。青い瓶が魔女の魔力を体外へと出す薬よ。試験的に作ってみて、小瓶ごとに精製方法を変えているから、どれが本当に効くのかは……まだ、定かではない試作品なのだけれど……」


 私の言葉にルッソはニッと歯を見せて笑った。


「さすがシャーリー! よっしゃ。じゃあ一度リリーを運んでから作戦立てていくか。レオンも一緒に来てくれるか」


「もちろんだ」


「よーし! じゃあ行くぞ」


 その言葉に私達はうなずいたのであった。

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