6話
皆が私達を受け入れるのは当たり前というように食事の席を用意してくれていた。
私の横にはメルバ様がおり、私は挨拶を済ませると尋ねた。
「あの、突然来て食事まで、申し訳ありません」
すると、それを聞いたメルバ様は驚いた表情を浮かべた後に、大きな声で笑い声をあげた。
「はっはっは。聖獣殿の主様。いやいや、シャーリー。もうそなたは我らの友だ」
「え?」
「レオン殿も。友だ」
レオン様も驚いた表情でメルバ様を見る。
メルバ様は、皆に聞こえるように杯を掲げた。
「森の民よ。皆に問う。シャーリーとレオン殿、この二人は森の民の友だろうか。同意ならば杯を掲げよ」
すると、皆が杯を掲げた。
私とレオン様が驚いていると、メルバ様が言う。
「この森を救ってくれた友よ。これからも仲良くしてくれ」
「は、はい!」
「ありがとうございます。こちらこそ、仲良くしてもらえたらと思います」
こんな風に、友とたくさんの人に思ってもらえる日が来るなんて思ってもみなかった。
「さぁ、友よ、共に杯を掲げよう」
私とレオン様も皆と同じように杯を掲げる。
「友に」
「「「「「「「友に!」」」」」」」
一気に杯に入っていた飲み物を私たちは飲み切る。
中に入っていたのは甘い果実のジュースだった。
甘くて美味しい。
それからは楽しい昼食のひと時を過ごした。以前よりも森の民の人達が近くに感じる。
私とレオン様は昼食を食べ終えると片づけを手伝い、それから二人で森の中へと魔法植物の散策へと向かった。
「シャーロット、手を繋ごう」
「え?」
手を差し伸べられた私は、レオン様を見上げた。
「レオン様、私、子どもではありませんわ」
「それは……わかっている」
「一人で歩けます」
私は、レオン様の婚約者だ。
ちゃんと婚約者として見てほしいのに、また小さくなってしまった。
溜め息をつきそうになったところで、私は石ころに躓いて倒れそうになる。
「きゃっ」
「あぶない」
レオン様にひょいと抱きとめ、私は転ばなくてすんだ。
「シャーロット」
「子どもじゃないんです。だから……」
「あぁ」
レオン様は私の目の前に跪くと、手を差し出した。
「私は、別に子ども扱いをしているわけではないよ」
「でも……」
「婚約者として、エスコートさせてくれると嬉しい」
「レオン様」
私はわがままを言うのをやめて、その手を取る。
意地を張ってしまっていたのだ。
子ども扱いされるのが嫌で。
「レオン様、ごめんなさい」
手を繋いで歩きながら私がそう呟くと、レオン様がくすっと笑い声を立てた。
「いや、可愛らしいと思う」
「私、レオン様にちゃんと私のこと、婚約者として見てほしいんです」
「え?」
「子どもじゃないです」
「……」
レオン様は足を止めると、その場にしゃがみ、それから一度私から手を離すと両手で顔を覆った。
「レオン様?」
「その……あまり、可愛らしいことを言わないでくれ」
「え?」
私が首を傾げると、レオン様がちらりと指の隙間からこちらを見て、それから片手で胸を抑えた。
「う……」
「どうしたのです?」
「なんでもない。自分でも、よくわからないのだ」
レオン様はゆっくりと深呼吸をすると顔をあげた。
「……なんだろうな。君といると、すごく幸せな気持ちになる。先ほどの森の民に友と認められていたこともそうだが、これまで、私の知らなかった世界を、君と出会ってから見ることができるんだ」
「え?」
レオン様も、同じように思っていたのか。
「私は、魔力の多さから普通に人と関わることが出来なかった。だが、今は違う。以前までは魔力を枯渇させた状態だからなのかと持っていたが、どうやら違うかもしれない」
「それは、どういうことですか?」
レオン様は真面目な表情で私の両手を取ると言った。
「シャーロットに頼みたいことがあるのだ」
「なんでしょうか」
「私の魔力に、威圧感や嫌悪感を感じるかどうか、試させてほしいのだ。詳しくはちゃんと座って説明させてもらえると助かる」
「わかりました。では、魔法植物を採取したら屋敷へ帰りましょうか」
「あぁ。ありがとう」
一体どういうことなのだろうか。私は気になりながらも、レオン様の薬を作る為にも魔法植物を早く採取しなければなと、気合を入れて歩き出した。
「シャーロット」
そんな私の手を、レオン様が優しく握る。
笑顔を向けられて、私は、心臓がドキドキと高鳴る。
……レオン様に私だけがドキドキとさせられていてずるい気がする。
そう思いながらも、私はぎゅっと、手を握り返したのであった。







