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【11/1書籍2巻&漫画1巻発売】呪われ王女は魔法植物を研究したい~公爵様が婚約者!?私、呪いで幼女になっているのですが~  作者: かのん
第一章

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39話

 目を覚ますと、そこは森の民の家であった。


 私は起き上がると顔を洗い、身支度を整えてから外へと出た。


 すると森の民の人々が、私に気付くと声をかけてくれた。


「起きたのか。どうだ、体は」


「体調は悪くないか?」


「無事でよかったなぁ」


「レオン殿は今、シャーリー殿に美味しいご飯をと、狩りに向かったんだ」


「そろそろ帰ってくるお思うぞ」


 丁度その時、歓声が聞こえてそちらへと視線を向けると、ジョンとレオン様が巨大なイノシシを背負い、帰って来たようだ。


「シャーリー! 目が覚めたのか!」


「レオン様!」


 レオン様は私の方へと向かって走ってくる。


「体は大丈夫か?」


「はい。大丈夫です。あの、お姉様はどこに?」


「あぁ、ルッソ殿が色々と手配してくれて、メルバ殿の所にいるはずだ」


 そう言われ、私はうなずくとレオン様と一緒にメルバ様の所へと向かった。


 本当はレオン様とも話したいことがたくさんあるのだけれど、今は先にお姉様と話をしなければならない。


 メルバ様の家へと向かうと、中から楽しそうな笑い声が聞こえた。


 家の中へと入ると、布団の上に半身を体を起こし、ルッソさんと話をしているお姉様の姿があった。


 お姉様は私を見て、少し表情を強張らせた。


 メルバ様は、私達を快く招き入れてくれるとお茶の用意をしてくれた。


 それから、二人で話すこともあるでしょうとメルバ様に言われ、二人で話をすることになる。


 ただ、いざ二人きりになってみると何から話をすればいいか分からず、しばらくの間沈黙が訪れる。


 そんな静寂を破ったのはお姉様が先であった。


「シャーロット……元の姿に戻れたのね」


「は……はい。あの、お姉様は、体調は大丈夫ですか?」


 お姉様はうなずいた後、静かに言った。


「……私が、何もしていない間に、貴方が頑張ってくれたのね……本当に、ありがとう。そして……これまで……ごめんなさい」


 大きな瞳から、お姉様は涙をぽたぽたとこぼす。


「お姉様、な、泣かないでください」


「情けなくて……ごめんなさい……」


「いいえ。そんなことないです」


「……私ずっと、ずっと怖かったの。だから、婚約者が決まって、これから幸せになれるかもしれないって幻想を抱いてしまったの……」


 お姉様はうつむき、拳をぎゅっと握っている。


「私も……私もお姉様に幸せになってほしいんです」


「え?」


「……お姉様は、いつもいつも、王族としてとても立派で、私にとっては憧れでした。でも……王族の王女として生まれた以上……私達が進む道は結婚だけだから……だから……どうかお姉様の結婚が幸せでありますようにって……」


「だから……だから、私の代わりに呪いを受けたの?」


「……はい」


「ごめん……なさい。私、あの時、自分のことしか考えていなかった……ごめんなさい」


 泣きながらそう言うお姉様を真っすぐに見つめながら、私は首を横に振る。


「いいんです。でも……でも本当に、色々と大変でしたね」


 私が苦笑を浮かべてそう言うと、お姉様もうなずく。


「えぇ……ふふふ。まさかロマーノ王国についた当日から、地下に幽閉されるなんて、思ってもみなかったわ」


「そう、ですよね」


「えぇ。夢を見ていたのよね。でもシャーロットのおかげで、助かったわ。本当にありがとう。そして、ここに連れてきてくれたことも感謝しているの」


 その言葉に、私は少し安堵する。


「良かった……お姉様にとってはどちらがいいのかと、悩んでいたんです」


 お姉様は顔をあげて涙をぬぐうと言った。


「連れて来てくれてありがとう。さっきメルバ様ともお話させてもらって、ここに置いてもらえることになったの」


「え?」


 その言葉に私が驚くと、お姉様は瞳を輝かせながら言った。


「私、ここで生き直してみようと思うの。一から教わるわ」


 生粋の王族のお姉様がここで一から……一瞬、大丈夫だろうかという考えが過る。


 そんな私の考えを思ってだろう。お姉様が言った。


「どこにも行き場はないし、それに、実は私……森の中で暮らすのが夢だったの」


「え?」


「貴方は魔法植物が好きでしょう? 昔からそう。ずっとね、好きなことを好きだと言える貴方が羨ましかったの。実は」


 お姉様は恥ずかしそうにそう言い、これからはメルバ様と一緒に住まわせてもらうとのことであった。


 その表情は明るくて、今までの中で一番輝いていた。


「ふふふ。お姉様が楽しそうで、ほっとしました」


「えぇ……ありがとう」


 私達は笑い合い、それから、他愛ない会話を繰りかえした。


 今まで、仕舞いらしいことなんて何一つなかった。


 けれど、お互いに王族という枠さえ気にしなければこうも穏やかに喋れるのかと今日初めて知った。


「じゃあ、そろそろ私、行きますね」


「えぇ。あ、でも、またここに来るでしょう?」


「はい。もちろんです」


「ふふふ。良かった」


 明るいお姉様の笑顔に、私はずっとお姉様とこうやって喋りたかったのだと、そう思った。


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