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【11/1書籍2巻&漫画1巻発売】呪われ王女は魔法植物を研究したい~公爵様が婚約者!?私、呪いで幼女になっているのですが~  作者: かのん
第一章

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30話

予約投降ミスしていました(´;ω;`)ウッ…申し訳ありません!

慌てて投稿しています!

 冷ややかな床の冷たさと固さを感じ、私は、ゆっくりと瞼を開いた。


 最初に見えたのは、石造りの壁と、床をかけていくネズミの姿であり、私は驚いて飛び上おきた。


「いったぁ……」


 けれど、起き上がった瞬間に、体の痛みに顔を顰める。


 床の上に寝ていたせいだろう。体のいたるところが痛い。


「ここは……どこだろう……」


 痛みに耐えながら私は起き上がると、体を伸ばし、ほぐしてから周囲を見回す。


 どうやら牢の中のようで、私は鉄格子に触れた。


「誰か、誰か、いますか」


 何の音もせず、返事も帰って来ない。


 ここは一体どこなのだろう。不安に思うけれど、ここにいたところで解決することはない。


 私はどうにか逃げだす方法はないかと、牢の中を歩き回ったり、鉄格子の間から外に出れないか試したりしていると、小さな呟きが聞こえた。


「うるさいわ」


「へっ!?」


 人がいるとは思ってもいなかった私は、心臓がバクバクとしてしばらく身動きが取れない。


 けれど、少しずつ落ち着いて冷静になってくると、先ほどの声に、私は聞き覚えがあった。


「……もしかして……お……リリー王女殿下ですか?」


 私にとってリリーお姉様は唯一かかわりのある王族だ。そして王族だけでなく人とほとんど交流することがなかった私にとって、その声だけは忘れえない。


 そう思い声をかけると、しばらくしてから返事が返って来る。


「……シャーロット?」


 ドキリとした。


 お姉様が、私だと気づくだなんて思っていなかった。


「は、はい。そうです」


「……どうして……? だって……あなたは、離宮にいるはずでしょう?」


「あ、えっと、説明すると長くなるんですけれど、簡単に言うと、私に呪いをかけたグレイっていう男に、誘拐されたんです」


「そんなっ!? ……そんな……」


 しばらくの間無言が続き、私はどうしたのだろうかと思いながらお姉様に尋ねた。


「お姉様? あの、それよりお姉様はどうしてこんなところに……ここがどこか分かりますか?」


 そう思い尋ねると、リリーお姉様は声を固くしながら答えた。


「ここは……ローレン王国よ」


「ローレン王国。でも、お姉様の輿入れはまだ先では?」


「……貴方が……呪いを、かけられたでしょう? その騒動があって、早めにローレン王国に出立した方がいいのではないかという話になったの。……それで、結婚前にローレン王国へ来て、この国で、二か月後に式を挙げる予定……よ」


「二ヶ月後に……でも……」


「えぇ。ふふふ。バカみたいでしょ。結婚に浮かれて、楽しみにここへ来たのに……現実はこんな……地下牢に入れられているんだから」


 表情は見えないけれど、お姉様の声が震えていて、辛い思いをしているのだなということが、伝わって来た。


「……罰が当たったのよ……」


「え?」


 どういう意味だろうかと思っていると、お姉様は小さな声で呟く。


「……私のこと……怨んでいるでしょうね」


「怨む?」


「……ざまぁみろって、思っているんでしょう?」



「え、ちょっと待ってください」


「いい気味だって思っているのでしょう?」


 声が震えている。


 お姉様は、私がそんな風に思っていると……考えていたのか。


 やるせないなぁと、私はそう思いながら首を横に振り、両手で顔を覆う。


「そんなこと、思ってません」


「嘘よ。そんなわけない」


 お姉様の中で、私は、そういう人間なのか。


 私はゆっくりと息を吐くと、うつむくのをやめ、顔をあげた。


 このままじゃ駄目だと思ったから。


「私、呪いを受けました。でも私は……お姉様に呪いがかからなくて良かったと、心の底から思いました。だって、私……お姉様には幸せになってほしかったんです」


「え?」


「お姉様は、お優しい人だもの」


「な……」


 私は昔のことを思い出す。


 お姉様は、本当は私と一緒に授業など受けなくてもよかったはずだ。一言、私のような王族の紛い物とは一緒に居たくないと言えばよかっただけ。


 けれど、お姉様はずっと、授業を一緒に受けさせてくださった。


 きっとお姉様と一緒でなければ、私はあれほどちゃんと学ばせてもらえなかっただろう。


 そして、私が褒められた時、マイヤー先生を諫め辞めさせた。


 今なら、どうしてか分かる。


 その時、歩く音が聞こえて私は牢屋の奥の方へと身を潜めた。すると、聞こえてきたのは楽しそうな声色であった。



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