29話
すみません! 予約間違えて明日に設定していたの今気づいて!
慌てて投稿しています( ノД`)シクシク…ごめんなさい。
その後、私は魔法植物を採り始める。
魔法植物はどれも不思議な物ばかりだ。
風に揺れるその魔法植物は宝石のような花が美しく咲いている。
「きれい」
そう、思った時であった。
ジョンが顔上げ、それから鼻を鳴らす。
「……なんだ、この、匂い」
「匂い?」
私はジョンと同じように、鼻をスンスンと鳴らした後、ハッと気づく。
「吸い込んではダメです! 催眠効果のある魔法植物がどこかで燻されているいるのだと思います! 風上へ行きましょう!」
それを吸い込まないように私は鼻にハンカチを当てる。
「わかった! 背中に乗るのだ!」
「はい!」
一体何が起こっているのだろうか。
私達は風上に向かって匂いの原因を探すために走った。
「あ、あそこ!」
私が指さした方向に、人の影が見える。
「あれかっ!」
ジョンは森の中を飛び、そして、その人達を蹴散らす。
「うわぁっ!」
「聖獣だ!」
「逃げろ!」
黒い服に身を包んだ男達はマスクをつけており、地面に穴をあけて、その穴の中で催眠効果のある魔法植物を燻している。
そんな男達を、ジョンがなぎ倒していく。
私はジョンの体から振り落とされないようにしがみついていると、ジョンの鳴き声が響き渡った。
「おおおおおおん!」
「ジョン!?」
「くっ。何かを足に射られた。毒付きだな! はっ。そんなもの私に効くとでも!? 聖獣を舐めるな! 人間ごときがぁ!」
牙をむき出しにしたジョンが雄々しく雄たけびを上げた時、一人の男が一歩前へと歩み出て、マスクを
取って、それから顔を隠していたフードを取った。
その男の瞳を見て、私は背筋がぞっとしていく。
「さすが聖獣だなぁ。だが聖獣さんよぉ。お前が守って来た森の民を、失ってもいいのか?」
私をこんな姿に変えた男が、そこにいた。
楽しそうに笑うその男の目の前に、ルッソさんが、縛られた状態で地面へと転がされる。
「うぐぅぅ……せ、聖獣、様……」
傷だらけのルッソさんに私は声をあげた。
「ルッソさん!」
「……うぅぅ」
私の存在に、その男は眉間にしわを寄せる。
「……背中に子ども? っは。まぁいい。聖獣よ。大人しくすることだ。現在森の民は我々の手の内にある」
「貴様、何者だ」
「俺は、ただの魔法植物の研究者。名をグレイという。だがまぁ、その研究に当たって、この森が必要不可欠でな、だから……奪いに来た」
一体どうして、私とジョンが出かけている間に何があったのか。
「この森は、フォーサイス王国とローレン王国との間の不可侵の聖域。この森を占拠すればどうなるか、分かっているのですか!?」
そう私が声をあげると、グレイが笑い声をたてる。
「あはははは。そりゃあ分かっているさ。だが大丈夫。秘密裏に動いているからな。フォーサイス王国側には気づかれないだろうよ」
ということは、ローレン王国側からの侵入者ということになる。
この人は、お姉様を狙っていた。だからフォーサイス王国の人間だと思っていたのだ。
けれど、違うのか。
「……ということは、ローレン王国の人間ということ?」
するとグレイはにやっと笑う。
「元フォーサイス王国の人間さ。だが今はローレン王国にいる。俺はな、ルパート王子に命じられてここ
にいるのさ」
ジョンがうなり声をあげる。
「ローレン王国め……ただで済むと思うなよ」
「おいおい。聖獣さん。こっちには人質がいるんだぞ。それとも? 聖獣さんは森の民を見殺しにするの
かなぁ?」
「ぐぬぬぬぬ」
一体どうしたらいいのだろうか。そう思った時、音一つなく、空からレオン様が降り立つと、グレイとの距離を一気に詰めて切りかかる。
グレイは驚いた表情で後ろに飛びのくと、レオン様に向かって何かを投げつけた。
それは地面で弾け、爆発する。
レオン様はそれ避けるとジョンの横に立ち言った。
「森の民を避難させてきた。残りはルッソ殿だけだ」
その声にグレイが目を丸くすると声をあげた。
「なんだと!? どういうことだ!」
「森に催眠薬を撒かれたせいで、一時は森の民の集落を掌握されたが、体勢を立て直してから奪い返した。ルッソ殿は敵を引き付ける役を果たしてくれたのだ」
「なっ!? くそ……はぁ。でもまぁいいさ」
グレイはそう告げると、魔法植物を燻していた穴に向かって丸い団子のようなものを投げ入れた。
それはすぐにパチパチと音を立てて燃え上った。
「何をした」
レオン様の問いかけにグレイは笑いながら答える。
「早く消した方がいいぞ?」
一瞬で別の穴の魔法植物へと炎が移っていく。
私は鼻を鳴らし、ハッと気づくと、ジョンから飛び降り、炎を消そうと声をあげた。
「ダメです! これは、絶対に広げちゃいけません! 消してください!」
ジョンとレオン様は私の声にすぐに従うように動く。
ジョンは前足を使って炎を叩き、レオン様も上着を脱ぐと炎を消そうと動き始める。
「絶対に消し止めなきゃ! これが毒素を含む魔法植物に触れたら巨大な爆発を起こします! だから、絶対に食い止めなくちゃだめです!」
「わかった!」
「了解!」
レオン様やジョンと共に私は炎を消そうと動いた時、グレイが森の奥の方へと別の玉を投げた。
レオン様がグレイへと剣を向けようとしたが、私が声をあげる。
「炎を先に防がなきゃ、大変なことになります!」
「くっ。分かった! 君は安全な所へ逃げろ!」
「主! 背に乗れ!」
「はい!」
私がジョンの背中に乗ろうとした時であった。先ほどの炎が恐ろしい程の勢いで立ち上り、私達のいる間にも火の手が伸びる。
「きゃっ!」
私が悲鳴を上げた時、腰をグイっと引かれ、私は担ぎ上げられる。
一体誰がと思い身をよじると、グレイの声が聞こえた。
「お前、何者だ……なんで魔法植物に詳しい?」
「は、離してください!」
「っは。離す分けねぇだろうが。おい。聖獣とそこの男。いうことを聞かなかったらこのガキの命はないと思え」
炎の勢いが激しくなり、レオン様とジョンが炎の壁によって姿が上手く見えない。
そう、思った時だった。
「嘘だろ」
炎が、真っ二つに切られ、壁となっていた炎の間からレオン様が怒りの形相でこちらへとやってくると、剣を構え低い声で言った。
「離せ」
グレイは顔をひきつらせたながら、私の首にナイフを突きつけた。
「化け物かよ。来るなよ」
「……もう一度言うぞ。離せ」
レオン様の周囲がぐにゃりと歪み、魔力が体外へと漏れ出しているのが分かる。
その時、空から雨がぽつぽつと降り始めた。
そしてそれは一気に大地を濡らし炎を鎮火させていく。
「くそっ。一旦引くぞ!」
グレイはそう声をあげた瞬間、仲間が馬を連れてやってきて、その馬に私を連れて飛び乗った。
「シャーリー!」
「レオン様!」
馬は早く、私とレオン様の距離が一気に開く。
「レオン……様……」
怖くなり、私は唇を噛む。
けれど、大きな力強い足音がどんどんとこちらに迫ってくる。
「ジョン! レオン様!」
ジョンの背中に乗ってレオン様がこちらに向かって駆けてくる。それが見えて私は一瞬安堵した。
けれど、雨が滝のようになり、視界が閉ざされていく。
すぐ近くにいるはずなのに、その姿が見えないのだ。
「レオン様! ジョン!」
名前を必死に呼ぶけれど、雨の音にかき消されて声が届かない。
「ははは。天気がこっちの味方をしたな! 仕上げだ」
そう言うと、グレイが地面にいくつかの種をばらまくのが見えた。
それを見た瞬間、私は声をあげた。
「逃げてーーーーーーー!!!!!!」
「むだむだ」
魔法植物とは、未だに解明されていないことが多い。
そしてそれが手に入る場所も限られている為、それを活用することも難しい。
だが、このグレイという男の人とは違う。
魔法植物を、争いの為に、扱うことを考えているのだ。
土砂降りによって濡れた大地に、種が落ちた瞬間、それらは発芽する。
発芽と同時にそのツタはうねりをあげてその場にいるもの全てを呑み込む。
「こんな……こんなことの為に……魔法植物は使う者ではないのに……」
悔しさが込み上げて涙が零れ落ちる。
レオン様とジョンの無事を願うしかない。
どんどんと遠ざかっていく。
「レオン様、ジョン!」
叫ぶ私に舌打ちする音が聞こえる。
「うるせえな。寝とけ」
次の瞬間、口に布が当てられる。
この香りは、催眠効果のある魔法植物だと私はそう思った。それと同時に、意識は遠ざかっていく。
魔法植物は、こんなことに使うためにあるものではないのに……。
そう思いながら私は意識を、手放してしまったのである。
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