27話
夢を見た。
子どものころの夢だ。
お姉様にも嫌われて、結局一人な自分の夢。
侍女達は私のことを世話をするだけで、深くかかわろうと言う人は一人もいなかった。
誰かに話を聞いてもらえることも、一緒に過ごしてもらえることもなく、私はいつも一人だった。
ずっと。ずっと。
城の中で、私が行ってもいい場所は限られており、外に出ると言っても、王城の中庭くらいなものだった。
曇天を見上げながら、誕生日の日すら、誰にも祝われることなく終わっていく私の日常。
王女らしくあろうと頑張った勉強。けれど、いくら学んでも自分の心が埋まることはなかった。
そらからポツリポツリと雨が降ってくる。
これは、夢だと分かっている夢であり、私は曇天の空を見上げながら雨を受けていた。
その時、傘が開かれ、私に降り注いでいた冷たい雨が防がれる。
横を向くと、レオン様が立っていた。
「レオン様」
夢の中のレオン様は、返事をしてくれるわけではない。
ただ、私の横に立って、降り注ぐ雨から傘で守ってくれた。
「ありがとうございます」
曇天が晴れ渡り、そしてレオン様が傘を閉じると、青空に虹がかかっていた。
「きれい」
夢の中のその景色の美しさに私が見とれていると、優しい声が聞こえた。
「おはよう」
「え? ……」
私は目を瞬かせた。
レオン様がそこにはいて、私に腕枕をしてくれていた。
「へ?」
驚いて固まっている私に、レオン様が苦笑を浮かべる。
「昨日のこと、覚えているか?」
「え? えーっと……えっと、宴が終わる、少し前までは……記憶にあるのですが」
そう告げると、レオン様が何とも言えない表情を浮かべる。
「やっぱりか」
「えっと、えっと……ごめんなさい」
「いや、予想していたから大丈夫だ」
レオン様はそういうと、私の髪の毛を指ですくい口づけを落としながら言った。
「でも少し寂しいな。抱っこしてほしいと言った君は、とても可愛らしかったから」
「だっ……こ……!?」
「あと、洋服を脱がせたのは私じゃないぞ。君が酔って自ら脱いだんだ」
「ふわぁぁぁぁぁぁぁ」
私は悲鳴を上げると、毛布にぐるぐる巻きになった。
「みみみみみみ見て、なななないですよね!?」
「……さて、支度をするか」
「レオン様!?」
レオン様は笑い声をあげると私の頭を優しく撫でる。
「さて、どっちだろうな?」
意地悪気な笑みを浮かべられ、私は顔が真っ赤になっていたと思う。
「さて、ちょっとメルバ殿に話があるから行ってくる」
「あ、は、はい」
レオン様を見送ると私は部屋の中で大きくため息をついた。それから昨日自分が脱ぎ捨てたであろう洋服をもう一度来た。
屋敷に戻ったら着替えなければと思いつつ、ふと、ドレスの背中の紐が切れていることに気がついた。
「え? ……どうして? どうしよう……まぁ、飾りの紐だから、着るのには支障はないけれど」
どこかに引っ掛けたのだろうかと思いながら、私は着替えを済ませそれから顔を洗い身支度を整えていったのであった。
それから外へと出ると、ジョンが外に待機しており、私が出てくると尻尾をブンブンと振った。
「主、おはよう」
「おはようございます。ジョン。まだ、メルバ様とレオン様は話しをしているのね」
メルバ様の家の前で、レオン様とメルバ様が話をしているのが見えた。
「あぁ。そうだ。主、主の欲しいと言っていた材料は妖精の力も借りて全てそろえてあるぞ」「え!? わぁぁ。ありがとうございます」
私は袋にまとめられているそれを見つめた。
「これで、無効化する薬を作ることができます」
私は気合を入れると、材料が新鮮なうちに早く作らなければと気合を入れる。
「一度住まいに戻ってもいいですか?」
「あぁ。じゃあ送って行こう」
私はレオン様の所に向かうと言った。
「一度薬を作りに帰りたいんです」
「あぁ、そうか。……少し気になることがあってな。私はそちらを調べてくる。ジョン殿と二人で大丈夫か?」
「はい!」
「わかった。ではまた後程」
私はジョンに背中に乗せてもらうと、一旦薬を作りに温室へと帰ったのであった。
「さて、やりますか!」
私はエプロンを付けて準備をすると、薬を作り始めたのであった。







