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【11/1書籍2巻&漫画1巻発売】呪われ王女は魔法植物を研究したい~公爵様が婚約者!?私、呪いで幼女になっているのですが~  作者: かのん
第一章

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17話

 私は自分の考えを振り払うように言った。


「桶を! 片づけてきます! このお水も、無害ですから、流しても大丈夫ですし」


「私が片づけよう」


 そう言って、レオン様は私に代わってすぐにおけを持ち上げてくれる。


 ルッソさんに尋ねて片付けに行くレオン様の背中は大きくて、私はその背を見つめながら小さく息をつく。


「主、本当に助かった。ルピタ魔法薬草も先ほど見てきたが、異常状態から通常へと戻ってきていた。呪いの根源がなくなったからだろう」


「それは良かったです。あの、あのルピタ魔法薬草は、特別なのですか?」


「ん? あぁそうだな。あれは特別なもので、この森の中心に生えているのだ。通常はあれの吐き出す清涼な魔力にこの森の民が暮らす集落は魔物や害獣から守られているのだ。自然の結界のようなものだな」


「そんな役割があったのですね……」


 魔法植物にはまだまだ解明されていないことがたくさんあるのだなとそう思った。


 片付けを終えたレオン様が返ってくる。


 大事にならなくてよかったけれど、あのネックレスに仕掛けられた呪いを思い出すと背筋がぞわりとする。


 メルバ様は小さく息をつくとジョンに向かって言った。


「あのネックレスは、ローレン王国からの友好の証に頂戴したもの……聖獣様、もしやローレン王国は森の民を亡ぼすつもりなのでしょうか……」


「ローレン王国の誰からもらったのだ」


「ルパート・ローレン王子殿下でございます」


 その言葉に、私はひゅっと息を呑んだ。


 視線をレオン様に向けると、レオン様は眉間にしわを寄せて口元に手を当て考え込んでいる。


 そして、ゆっくりと口を開いた。


「……聖獣殿、メルバ殿、この森は、ローレン王国とフォーサイス王国の狭間にある聖域の森で合っているだろうか」


 ジョンがその言葉に首を傾げながらうなずく。


「なんだ。まさか、知らないでここにいたのか? その通りだ。ただし、ルパート王国側寄りに、この森の民の集落はある」


「……なるほど……」


 レオン様が私の方をちらりと見る。


 私は何も言えずにいると、ジョンが口を開く。


「諍いは生まない方がいいが……ふむ。我もまたローレン王国を調べてみるか」


 メルバ様はうなずき口を開く。


「ありがとうございます。私達も少し、関係を見直さねばなりませんね……」


 頭の中で、私は表情には出さないようにしながらも混乱していた。


 魔法植物は種類によって独特な香りがある。そしてあのネックレスからも、お姉様の婚約発表会の舞踏会の日の夜も、同じ魔法植物の香りがしたのだ。


 これは、偶然なのだろうか。


 お姉様の手を引き走っていく様の姿が脳裏を過っていく。


 杞憂であってほしい。お姉様には、幸せになってほしいから。


 その時、雨がぽつりぽつりと地面を濡らし始めた。それは土砂降りになり、私とレオン様は屋根のある家メルバ様の家へと一度雨宿りをさせてもらう。


 ここに来るまでの間にすでに濡れてしまっており、髪の毛からぽたぽたと雫が落ちる。


 雨音が大きく鳴り響いている中、私は小さく息をついた。


 メルバ様はジョンと共に他の森の民の方々と話に出かけ、その場には私とレオン様二人きりである。


 私の横に座るレオン様はハンカチをポケットから取り出すと、私の髪の毛のしずくをふき取りながら、静かな口調で言った。


「……ローレン王国が、何やら画策しているのかもしれないな」


「……あの、シャーロット様に呪いをかけたのは、誰だったのでしょうか」


 逃げていく男の姿を思い出しながら呟くと、レオン様が言った。


「今の所は掴めていないようだが……いずれは捕まるだろう」

「リリー王女殿下のご婚約は、大丈夫でしょうか」


「シャーリー」


「え?」


 私の両手を優しくレオン様はご自身の両手で包み込むと言った。


「いいかい。今、多分色々と不安だと思う。けれど、無暗に怖がったり不安になったりすることは得策ではないよ。私も戻った後調べてみよう。君にもちゃんと教えるから、だから、そんなに悲しそうな顔はしないでおくれ」


「レオン様……」


 雨の音が次第に弱まり始める。


 それに耳を傾け、レオン様は立ちあがる。


「雨が止んだから戻ろうか」


「はい」


 外に出てみると、雨があがり、空はからっと晴れ渡っていた。


 ジョンがこちらへとくると、ぶるりと体の水滴を飛ばす。


「この森は雨が良くふるのだ。だがすぐにやむ。さて、そろそろ主帰るか?」


 尋ねられ私はうなずく。


 森の民の人達は私達に深々と頭を下げて見送ってくれた。


 もっとこの森についても知りたいとそう思ったけれど、瞼がどんどんと重たくなってくる。


 ジョンの背に乗って、レオン様に支えられながら帰路を辿る中、どっと疲れがきたのかもしれない。


「シャーリー?」


 名前を呼ばれた気がしたけれど、私の意識は夢の中へと落ちていった。


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