12話
魔法植物とは、大気の中にある魔力を吸収した魔力を有する不思議な植物である。
様々な種類があり、まだまだ把握されていない植物も多い。
あの不思議な魔道具の扉を通って行った先では、そんな魔法植物ばかりが生えており、私の心は踊った。
「わぁぁ。これも、図鑑でしか見たことのない魔法植物だわ!」
私の周囲を飛び回る、三色の妖精達は、私の為に可愛らしい籠を編んでくれた。そこに私は魔法植物を
採取していく。
「不思議な子ねぇ」
「そんなの、採って面白いの?」
「まぁでも、そのおかげで、ジョン……ぷぷぷ。ジョンが助かったからいいけど」
「「「ジョン! ぷぷぷ」」」
妖精達が笑うと、近くに座っていたジョンは頭をぐっと上げて妖精を睨みつける。
「我が名はジョン! 素晴らしき名だ」
「「「素晴らしき名! ふはははは!」」」
妖精達は笑い声をあげながらジョンの周りを飛び回る。
それを眺めていた私は、ふと尋ねた。
「ねぇ、三人の名前も教えてくれないかしら?」
すると、三人は動きを止めた。それから三人で集まってこそこそと話を始める。
「名前?」
「必要ないから考えたこともなかった」
「え、名前どうする?」
こそこそとはしているが、その会話は丸聞こえである。
私は面白いなと思いながら、魔法植物の根についた土を綺麗に落として籠にいれると、立ち上がって大きく背伸びをする。
小さな体であっても、腰は痛くなるものなのだな。
すると、三人が私のところへ飛んできて胸を張っていった。
「私はアカ!」
「私はキイ!」
「私はアオ!」
「「「さっき決めたわ! 呼び捨てで気軽に読んで!」」」
見た目そのままの名前だなと思いながら、私は笑顔で一礼した。
「私の名前は、シャーロット。でも、その、シャーリーって呼んでくれると嬉しいわ」
またいつレオン様が来るか分からない。そう思い告げると、嬉しそうに三人は飛び回る。
「シャーリーって、ちびっこね」
「でも、とってもきれい」
「ふふふ。不思議な人間ね」
言っている意味はたまによくわからないけれど、三人とも楽しそうなのでまあいいかと思う。
ジョンが起き上がり、私のすぐ横に来ると言った。
「シャーリー。魔法植物の採取はどうだ?」
「とってもたくさん採れました! 一度持って帰って仕分けて来ますね!」
「あぁ。それは良かった」
温かな眼差しで見守られ、なんだか不思議な気持ちだった。
数か月間、ずっと離宮で一人で過ごしていた私は、開放感と共に寂しさも感じていた。
ただ、レオン様と出会いここに来るまでには寂しかったのだとは気づいてはいなかった。
「ふふふ。ジョン、アカ、キイ、アオ。出会ってくれてありがとう。じゃあ一度帰って来るわ」
私は皆に見守られて籠をもって扉から戻る。
戻った途端に、とても静かになるから、私は小さく息をついてから、植物の仕分けに入った。
この温室では、個々の魔法植物に対して適切な生育環境が作られるように魔道具が反応するらしい。
不思議なものだと思いながら、私は植え替える物と、そうでないものを別の籠に分ける。
植え替えを手早く終えていく。それから別の籠五分けていた分は乾燥させるために紐で括り、つるしていく。
こうやって暮らすのもだいぶ板についてきた。
王城で王女として暮らしていた頃がまるで夢だったかのようだ。
こうやって暮らしていると、自分は元々、王女には向いていなかったのだろうなと思う。
「よし、良い感じ」
その時、温室の扉が開かれた。
「やあ。今日も朝から生が出るね」
「あ、レオン様! おはようございます」
「おはよう。これ、お見舞いの品だ」
あれから、レオン様は二日と置かずに会いに来てくれるようになった。
シャーロット王女様は体調を崩して会えないと告げると、早く良くなりますようにと手土産をもって来てくれるようになった。
今更正直に自分がシャーロットですとは言えないので、申し訳ないながら頂戴する。
「シャーロット王女殿下は、何か好きなものはあるだろうか」
私が魔法植物を乾燥させるために紐で括っているのを、レオン様は流れる動作で手伝い始めると、そう口にする。
最近こうやって過ごすことが多くなり、なんだか不思議な気持ちだ。
「好きな物、ですか?」
「あぁ。婚約者であるし……好きな物をプレゼントしたいのだ」
そう言えばと思い出す。
レオン様が初めて来た翌日に、もう一度来てくれたのだけど、その時に渡しそびれたのだと言ってプレゼントをもらった。
華やかな色合いのお面のであり、今は私の部屋に飾ってある。
「以前いただいたお面を、喜んでました。初めてもらったプレゼントでしたし、素敵なデザインで、私も可愛いと思いました」
「初めて?」
「はい……あ、えっと、王女様がそうおっしゃってました」
自分のことなのに、王女様が言っていたとし話すのがいつもややこしくなる。間違えないように気を付けなければ。
「王女殿下であれば、たくさん、プレゼントをもらう機会があるのでは?」
そう尋ねられ、私は自嘲気味に微笑む。
「あ……えっと、その……私はよく……わかりませんが、初めてと言っていました」
私は、両親からも、誰からも、プレゼントをもらったことはない。
だからこそ、レオン様からのプレゼントはとても嬉しくて、毎日眺めてはにやついている。
「……そう、なのか。初めてか……私も女性へのプレゼントは初めてだったんだ。だから、喜んでもらえた
ならば、嬉しい」
優しく微笑まれ、私はレオン様も初めてだったのだなと微笑み返す。
そう言えば、あれ以来私は聞きそびれていたのだが、魔力抑制の試験薬を作ってほしいと言っていたが、今日やっとその試験薬が完成した。
私は棚から持ってくると、レオン様に言った。
「あの、以前言っていた試験薬が出来たんですが……何に使うんですか?」
持ってきた小瓶を見せると、レオン様が、それを見つめながら、静かに口を開いた。
「すまない。ちゃんと事情をまだ説明していなかったな」
「はい……」
レオン様は少しばかり言いにくそうな様子で、小さく息をつく。
もしかしたら、あれ以来この話題を出さなかったのにも理由があるのかもしれない。
「実は……伝えておかなければならないことがあるんだ」
「大事なことでしょうか?」
「あぁ……」
そう言うと、レオン様は静かに口を開いた。
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飛び上がって喜びます。ぴょんぴょーん。
毎日お昼何を食べようか考えてます。
少し前はウイナーと目玉焼きばかり食べてたんですけれど……。
この前はピザトーストをしてうまうまでした。
さて、今日のお昼はなんでしょう。最近、健康にいいもの食べなきゃとは思うんですけれどね。
なかなか難しい。
多分、明太子とご飯ですね。昨日お米を炊きすぎました。
健康を考えるのは明日からにします(´∀`*)ウフフ







