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金色に輝く宝

今日も懲りずに宝探しに出かける。皆が寝静まった深夜に荷物を整える。

「マンデル、今日もよろしくね。」

うちの愛馬、栗毛馬のマンデルに鞍と荷物をつけると、背に飛び乗った。手綱を振るい、合図する。

街道を通ると目立つため、いつも遠回りして、昼でも常に城の真上で光り輝く一番星、蒼星を頼りに廃墟へ向かう。こうすれば厭世部隊に見つからない。

廃街につくと、空や陸からは死角になるところにマンデルを紐で逃げないようにする。

「すぐ終わるからね。」

瓦礫を利用して隠れながら廃城に近づいていく。今までは浅い所しか散策してなかったが、今回は奥深くまで行くつもりだ。

廃城近くまで来るといつもその威圧さに圧倒される。元々立派な城だったんだろうなーと。

いつもはすぐ城に入っていたが、今回は周りを散策することにした。

「崩壊が酷くて近づかなかったけど、この建物、何かしら。」

崩壊していてあまり分からなかったが、想像するに、この建物は城と同じくらい大きい。いや、それ以上か?松明を準備し、中に入ってみると、天井には大きな風穴が空いていた。

「わぁ。」

仕切り……というか部屋がある。馬小屋みたいな。でも1部屋がとても大きい。一部屋で一軒家位の大きさはある。この建物が大きな厩舎のようだ。城の人は凄いわね。こんな大きな生き物を飼っていたなんて、食費はどうしてたのかしら。昔は今ほど貧乏じゃないのかな。ワイバーンとかリントヴルムとか飼ってたりして。

『ドラゴンの背に跨ったライダーがいたらしいんだ!』

「そんなのありえない。」

辺りを見回しながらしばらく歩く。すると、何かを踏んづけた。最初は石ころかと思ったが、足を退けると、何かキラキラとしたものを踏んでいた。

「何これ。」

ペンダントのようだ。紐も切れてるし、少し欠けてる。網目状の模様をした銀の玉を何か生き物の鉤爪が掴んでいる。

「綺麗。誰かが身につけてたのかな?」

大事なものっぽいけどさすがに持ち主はもう亡くなっているだろう。

しばらく歩くと、地下に続く道を見つけた。この道も広くて大きい。混み合うほどに人が行き交っていたのかな。地下も上と同じ大きな馬小屋のようになっていた。すると、数人しか通れないような道があった。

「ここ、もう城の地下?あまり崩壊してない。」

新しい宝探し場を見つけ、ルンルン気分で散策した。

なぜ地下なのに窓があるのだろう?土しか見えない。何か用途があったのか。にしても色んな部屋があるな。

「エリート……フロア?何それ。」

試しに入ってみた。暖炉や噴水らしきものの残骸がある。ここも中々に豪華な部屋をしている。そしてさらに部屋が別れていた。

「……赤龍、青龍、金龍、銀龍、黒龍、白龍。色ごとに部屋が別れてるのね。」

1番近い金龍の部屋に入ってみた。

「集合住宅みたい。」

金という名だけなのもあって、金の装飾が沢山あった。いくつか持ち帰る。

小さな部屋がいくつかある。2、3人は入れそうだ。入ってみると、ベッドや机等生活の跡があった。

「1部屋1部屋で暮らしていたのかな。本で読んだ寮みたいに。」

ここで暮らしていた者はきっと楽しく過ごしていただろうと手に取るように分かった。

なぜここまで崩壊してしまったのだろう。誰が、何がこんなことをしたのか。

『廃城、元は1番強くて歴史ある王国だった。』

「1番強い王国なのに。」

もう一部屋にも入ってみた。黒龍の方だ。こちらも黒と名がついているためか、全体的に黒い。

「これは?」

何か落ちていた。写真立て?ガラスが割れている。写真の中の人は黒い鎧を着ていて、皆笑顔だった。

「この人……。」

真ん中にいる人。少々呆れながらも笑顔を見せる人は鎧も少し派手だ。リーダーだろうか。空よりも深い蒼い瞳が2つに黒い髪、見覚えある。というかつい昨日……いや、似てるだけか。だってこの城、100年前のものなのだろう?生きてるはずない。でも、ママが言ってたな。青い目を持つ人が生まれるのは極稀であると。特に……蒼色は。

エリートフロアを出て、またしばらく地下を散策する。すると、1つの部屋に辿り着いた。壁には何か絵が飾られていた。

「これ、城の地図?しかもグラダリウス大陸全体の地図もある!これは凄い発見よ!」

大陸の全体図は書き残されていない。城の人々はどうやって大陸の全体図を書き残したのだろう?しかもこんな綺麗な状態で残ってるとは。

「いつか、いつか旅に出た時に役立つかもしれない。」

慎重に地図を壁から取り外すと、丸めて袋に詰めた。念のため城の地図もいただく。兄が喜ぶかもしれない。

「で、この部屋はなんて言う部屋なのかしら?……えーっとなになに?ド……士団…帥。んー文字がかすれて全部読めない。でも帥ってことは何かを率いてたのかな?」

とりあえず入ってみた。ここもボロボロだ。でもなんだか落ち着く。書斎とかそんな感じ。仕事にはもってこいの場所かも。

一つだけある机の上に目を向けた。何か資料らしきものがある。やっぱりかすれている。

「何とか騎士団なんとか司令官。かな?騎士団の今までの司令官がまとめてあるのね。」

日付と名前らしきものが書いてあるが、ほとんど分からない。でも日付が新しい……と言ってもおよそ100年前。のところはインクが新しいからなのかかろうじて全部読める。1人しか分からないけど。

『黒龍部隊長司令官 ステラ 女性 グレイヴ 雄 1番強い配色』

「黒龍部隊長司令官がステラで女性なのね。で、グレイヴって何かしら?雄って。まるで人を獣か何かみたいに。配色も何なの?」

いや、本当に獣なのか?ここに来るまで、というか廃城に初めて来てからずっと、ドラゴンに関する紋様が沢山あった。さらにいくつもあった部屋。全て龍と書かれていた。そして巨大な厩舎。

しばらく見回すと、鍵のかかった引き出しがあった。でも、すぐ出せた。壊れていたのか。また資料があった。資料というより、メモ?日記?保管されていたのかまだ綺麗で読める。

「何……これ。」

なにか計画のようなものだった。ここを破壊するため、そしてその後の目的。

「酷い。帥は率いる人を意味してる。リーダーでありながらスパイだったってこと?国を滅ぼすための計画だったけど、それが返って国を守ることだった。だから誰もこいつを疑わなかった。なんて頭がいいの?」

「だろ?」

その声にサーっと血の気が引いた。

「あっ……え。」

顔を上げると、そこには厭世部隊の1人がいた。

「ダメじゃないかお嬢ちゃん、こんなところに来ちゃ。ほらおいで、怖くないから。安全なところに移動しよう。」

すっごい嘘。めちゃんこ優しい顔してるけどすっごい嘘。こいつから感じるのは殺意しかない。うちは背中にある弓に手をかけた。変なことしたらすぐにでもその脳天にぶち込むつもりだ。大丈夫。こんなやつワイバーンなんかより全然弱い。

奴はじりじりと近寄ってきた。裏に武器を持ってるようだ。私は矢を2本取り出し、1本構えた。

「ふん、たかが弓ごときで俺を殺せると思ってんのか?」

弓矢を舐めてもらっちゃ困る。うちは1本放った。すると、奴は緑色の炎のようなもので防いだ。あれが黒魔術か。だが、ここまでは想定の範囲内。

「そんなしょぼい攻撃、舐めんじゃねぇ!」

「舐めてんのはそっちの方だ!」

「何!?」

うちはバレないようあらかじめ上に投げていたもう一本の矢をジャンプして蹴飛ばした。脳天に命中。奴は地面に倒れた。恐る恐る近づき、体を蹴る。動かない。さすがに死んだようだ。

「黒魔術……ここには長居できないわ。もう少し散策したかったんだけどな。」

すぐに部屋を出て離れた。

うちは幼い頃から弓の扱いに長けていた。今から2年ほど前に、村を襲ったワイバーンを仕留めた程だ。

更に歩き続ける。また部屋だ。珍しく煉瓦造りの。

「はぁ、なんか疲れたからここで最後にしよ。」

中は鍛冶場っぽい。武器の残骸や、ハンマー等が沢山ころがっている。

特にめぼしいものは無い。朽ちた武器なんか売れないだろうし。

「ん?」

横目でキラッと光るものが見えた。奥の方だ。

「よく見たら別の部屋に繋がってる。」

光ったものはその部屋にあった。だが、部屋全体が瓦礫で埋もれててよく分からない。でも、瓦礫の奥に金色に光る何かがあった。近くにある瓦礫の棒で、テコの要領で退かす。

「何これ!」

瓦礫から顔を出したのは、金色に輝く楕円形の大きな石だった。もしかしたら金龍の部屋にあったみたいに本物の金の塊かもしれない。凄いお宝だ。

「こんな塊、売ったらいくらになるんだろう!」

さっそく大きな石を袋の中に詰め込み、城を出た。

「マンデルおまたせ!さ、帰りましょ!」

まだ暗い。今回はバレずに帰って来れそうだ。

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