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山脈の国

結局、ステラ姉がレトーラの部屋に来ることは無かった。まだ寝ていたのかと思ったが、厩舎に来ていた。

「ステラ姉、具合はどう?」

「割とマシにはなったがまだ動くのが少ししんどいな。」

「目は大丈夫?」

「あぁ。アデラは?」

「もう大丈夫。」

「そうか、よかった。」

少し口角を上げて言った。

「レトーラに挨拶しに行ってくる。すぐ出発できるよう準備しておけ。」

城内に入っていくステラ姉を見届けると、グランツの元に行った。

「え、えぇ。」

グランツ、もう大丈夫?

うん!見て見て!ジャンプもできちゃう!

悪化するよ?まぁ、でも良かった。

しばらくすると、ステラ姉とレトーラが出てきた。

「寂しくなるな。」

「あぁ。そうだな。」

「良い報告を楽しみにしているよ。次はお兄さんも連れて来な。歓迎しよう。」

「ありがとう。」

ステラ姉がグレイヴに乗ると、うちもグランツに乗った。

「ドラゴン達も達者でな!」

ステラ姉がフードを深々と被り、レトーラに軽く会釈した。うちも同じようにした。

「では。」

そして、うちらは一緒に飛び立ち、レイビン王国を後にした。

「あ、レトーラがデイサルディン王国に手紙を寄越してくれたって。」

「本当か。こりゃまた借りを返さないとな。」

ステラ姉、最初に会った頃より少し明るくなった気がする。

しばらく飛び続けると、沢山の山々が見えてきた。ここがデイサル山脈。

「そろそろ着くぞ。」

「え、はや!」

「隣の国だからな。山道が見えるだろ?ここからは徒歩で行く。」

「分かった。」

地上に降りると歩き出した。長い道のりだった。

疲れたよ〜。

きっともう少しよ。

さらに歩き続けると、遠くの方に城が見えてきた。山に面した城は圧巻だった。だが、城から煙が出ている。なにかあったのだろうか。

「アデラ。」

「うん?何?」

「今更言うのもなんだが、引き返すのは今のうちだぞ。」

「え、なんで?」

「もう知っていると思うが、彼らはライダーを酷く嫌っている。俺は王と面識があるからある程度は平気かもしれんが……王国が滅んだ今、最悪の事態になりかねない。」

「でも、レトーラが手紙を寄越してくれたよ?」

「王はまだいいんだ、あそこは王以外にも決まった範囲を仕切る長がいる。彼らがまずいんだ。」

「いや、うちも行く。これはうちの事だから。」

「……分かった。」

また更に歩き続けた。もう城は目の前だ。ここからはドラゴン無しで行くという。念の為、荷物をドラゴンに預けた。理由は盗まれる可能性が高いかららしい。

門の前まで来た。あぁは言ったものの、いざ目の前に来ると、とても不安に駆られた。深呼吸をし、門を潜ろうと1歩足を出した。しかし、突然ステラ姉が、ガバッとうちに覆いかぶさった。その瞬間、矢の雨が降ってきた。

「え……。」

「武器を捨てろ。」

「わ、分かった。」

うちは弓矢を捨てた。ステラ姉も、持っていたナイフを捨てた。そうすると、矢の雨が止まった。

「いたた。」

「な、なんなの?ステラ姉……大丈夫?えっと、ありがとう。」

ステラ姉は矢を抜きながら言った。

「毒が塗られてないだけマシか。今回は酷いな……歓迎されないことは何度かあったが、攻撃してきたのは初めてだ。」

「ひどい!うちら何もしてないのに!」

これがデイサル人なのか?皆が皆、攻撃してくるような人ばかりじゃなければいいんだけど。

「頼むから喧嘩するのだけはやめてくれよ。」

「わ、分かった。」

城の門に入ると、デイサルディン王国のデイサル人が武器をこちらに向けて”歓迎”してくれた。デイサル人はうちよりも背が低い。ステラ姉が膝をつくのを見ると、うちも同じようにする。

「突然の訪問による無礼を、許して欲しい。王と話があって来た。話が終わったら、すぐ帰るので通して欲しい。」

すると、少し派手なデイサル人が現れた。王?いや、違うっぽい。

「俺が代わりに伝言してやるよ。」

「ジュンブレス王国の入り方を知っているなら、教えて欲しい。」

「……お前ら、やっぱりアイツらの仲間なんじゃねぇか?」

「違います。彼女のお兄さんを助け出すために潜入がしたい。」

ステラ姉が顔をうちに向けながら説明した。

「ふーん?待て、お前に見覚えがある。」

長?はステラ姉に近づくと、じっと観察した。何周かステラ姉の周りをうろつく。

「あ〜……なるほど。」

長がステラ姉の肩に飛び乗った。ステラ姉は重そうな表情をしていたが、耐えていた。すると、長がナイフを取り出した。

「え、ちょ…」

言いかけると、ステラ姉が何もするなと言わんばかりの目をうちに向けた。そして、長がステラ姉の束ねられていた髪を切り落とした。

「おぉ、これだこれだ。」

長はステラ姉から離れると、持っていた髪の束を近くの焚き火に放り投げた。なんで……あんな酷いことができるの?

「俺の部下が世話になったな、シリウス君?で、助けて欲しいそいつは新しい部下か?つまり、前のあいつは死んだのか?」

「……あぁ。」

「はっ!いい気味だ!だが、まだ代償は返されてないな。俺言ったよな?次来たら指を貰うと。お前が代わりにくれるのか?それとも、新しい部下の指をくれるのか?」

「あの時の件は、本当に申し訳なく思っている。もっと早くに気づいて、止めることができていれば。」

すると、上から一際大きな矢がステラ姉の背中に直撃した。服から血が滲んで来ていたが、ステラ姉がじっと耐えていた。

「もう手遅れだ。俺に感謝しろよ?指だけで済むんだからな。本当はバラバラにしてもいいんだぞ?」

「ねぇ待ってよ!ど、どうしてそんなに嫌うの?あいつら……ジュンブレス王国の奴らが敵なら、共通の敵でしょ?なら協力した方がいいんじゃないの?」

うちは立ち上がって訴えた。

「なんだ?やっぱりライダーってのは全員常にイライラしてるんじゃないか。俺達の歓迎にずっと文句言ってやがる。」

「そりゃ、矢で攻撃なんかされたら誰だってそうなる……」

突然、腕を引っ張られた。見ると、さっきまでうちがいたところに大きな矢が刺さっていた。腕を引っ張ったのはステラ姉だった。

「俺の歓迎を避けるとはな。」

矢を撃ち込むのを歓迎ですって?そう言いたくなったが、すぐにステラ姉が言った。

「彼女はついこの前ライダーになったばかりで我々とは関係ない。だから、彼女には手を出さないで欲しい。」

「ふん。」

「なんの騒ぎだ?」

王冠を被ったデイサル人が城から出てきた。多分この人が王だ。

「あぁシリウス。レトーラ女王からは聞いている。我が弟の無礼を許して欲しい。さぁ、部屋に案内しよう。」

「おい、兄貴。こいつがしたことを忘れたのか?」

「あの件については彼と関係ない。」

「部下の過ちは上司が責任を負うもんだろうが。」

「……そうだが、やり過ぎだ。ダヴィンレイズ王国に対して未だに敵意を持っているのはお前くらいだぞ。」

「いいや違うね。」

それ以降長は何か文句を言っていたが、王はそれを無視してうちらを本当の意味で歓迎してくれた。ステラ姉が矢を抜くと、言った。

「すまない。何か礼をさせて欲しい。」

「別に構わんよ。お前さんには随分と助けられたからな。」

「ねぇ王様、どうして仲が悪いの?」

「それに関しては、長い歴史を話さねばならん。100年前のあの騒動でやっと確信した。ダヴィンレイズ王国とデイサルディン王国の仲が悪いのは、全てダレスのせいだとな。」

「どういうことだ?」

「数万年前だったか、その時はお互いの国は仲が良かった。だが、1人のライダーが尋ねてきた。名をダレスと言った。」

偽名を使ってない。というか、そんなに長く生きていたの?

「彼のドラゴン、ガドルは今まで会ってきたどのドラゴンよりも巨大で、恐ろしかった。当時彼は司令官で、沢山助けられたんだ。」

「良い人だったの?」

「いや、偽りの顔だろう。」

「その通り。彼は我々を沢山助けてくれた。そのお礼として、当時の王はダレスに何でもした。それが計画の一部であることを気づかずに。……そんなある時、ダレスから手紙を渡された。ダヴィンレイズ王国からだった。デイサルディン王国で採れる鉱石や鉱物の数々が全て偽物であるとな。」

「え、なんで?」

「その歴史を父上から聞いた時、私も耳を疑った。そうして、戦争が始まった。その手紙が偽物かどうかを誰も疑わなかった。お互いの国は全く異なる主張をして、争いを続けた。そして……戦える者が前線に赴いている間、悲劇が襲った。」

王が一息ついて続けた。

「ダレスが、戦えぬ者の身を案じて城に来た。その時も彼は手を差し伸べた。そうして、ダレスが去った数分後、今まで見たこともない蒼色に燃え盛る怪物が現れた。怪物は、あっという間に城を焼き尽くした。あの炎は、今も尚城を燃やし続けている。消火することはできなかった。」

王の弟による1件で、あまり見ていなかったけれど、通りで城の3分の1が大きく崩れ、灰になっていたわけだ。それに、遠くから見えた煙も、その炎が原因か。

「それ以来、戦争が終わった後も関係値は最悪。そんな関係は、私の代で終わらせたいと思っている。」

「全部、ダレスが……。」

「さぁ、着いたぞ。この部屋を自由に使ってくれ。」

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