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砂漠の国

うちらはウィケルを避けるため、大回りしてレイ砂漠に向かった。空いた時間にステラ姉に稽古をつけてもらった。陸上での戦闘にも慣れるため、ドラゴンたちの休憩がてら、近距離武器の回避や対処法を練習した。

「レイビン王国で色々と調べる。あそこは古くからダヴィンレイズ王国と同盟だ。それに、ウィケルが隣にあるから、城を見つけ出す方法を知っているかもしれない。望み薄だがな。」

「望み薄なの?どうして?」

「奴らに一矢報いるためなら協力的な彼らだ。知っているなら既に教えてくれているはずだ。」

「確かに。」

「まぁ、聞くだけ聞いてみよう。」

砂漠に着く頃にはもう辺りは暗くなり始めていた。王国があるオアシスまでまだかかる。

「さ、さむぅ!なんで砂漠ってこんな冷えるのよ。」

「砂は熱を簡単に放出する。太陽の熱が無くなる夜は、放出する熱が無いから冷える。あと乾燥しているからだな。」

「ふーん。」

そういえばそんなことお兄ちゃんが言ってたな。ほとんど聞いてなかったけど。

「ってライダーなら高いところに居ても寒さ感じないんじゃないの?」

「夜の砂漠の方が気温は低いぞ。」

「ふーん。にしてはステラ姉は平気そうね?」

「いや寒い。これでも炎魔法で温まってる。」

「え!?ステラ姉ずるい!」

通りで少し手元が光ってるなと思ったら。

正直めちゃくちゃ寒かった。これから更に寒くなる。何とか保温するため体を縮こませた。すると、ステラ姉が速度を下げて、斜め前に並んだ。何事かと思ったら、身につけていたあのフード付きのマントを脱ぐと、回転しながら上昇し、上下逆さまになったタイミングでうちたちの頭上に来ると、そのマントを落とした。

「えっ……と?」

「使え。」

「え、いいの?」

「早く使わないと冷たくなるぞ。」

言われるがままマントを身につけた。フードもあるおかげで顔や頭も保温できた。

「ありがとう……温かい。グランツは大丈夫?」

寒いよ?

え、寒いの?

うん。でもなんだかちょっとひんやりするくらいで、平気なんだよね。

それやばくない?

もしかしたら、アデラが乗ってくれてるおかげかも。あったかいから平気なんだ〜。

なら良いんだけど。

うちはマントを身につけていないステラ姉をまじまじと見つめた。よく見ると、顔の表面だけでなく、横も傷だらけだった。というか、片耳が無い。あの傷跡、戦闘でできたものに見えない……まるで、無理に引きちぎられたような。すると、視線に気づいたのかうちの方を見た。うちは思わず顔を逸らした。

「……そろそろ着くぞ。いいか、王族以外の者とは関わるなよ。絶対に。」

「え、えぇ。」

前方をよく見ると、街の明かりが見えてきた。

街を囲う城壁の近くに着くと、一旦ドラゴンを待たせた。

「一緒に行けないのね。」

「念の為だ。」

入口には見張りがおり、街に入ると真っ先に巨大な泉が顔を出した。その奥には大きなピラミッド状の城が覗いていた。街は夜なのにとても賑やかだった。それに砂漠の夜なのにそこまで寒くない。炎が灯された大きな松明が街道を照らし、街の中心には大きな焚き火が炊かれていた。

「……何だこのワイアーム種は。」

「ニャトナーラね。グランツと同じくらいの大きさしかなくて、大人しい性格なの。猫みたいな耳が着いていて、耳がとても良いのよ。それに食べるのは基本的にサソリやサボテンだから、危険も少ないの。」

生物の知識が唯一ステラ姉に得意気な顔をできることだった。お兄ちゃんがうるさいくらい生物について語り出してくれるおかげで、無駄に知識がある。

「いや、種族を聞きたいんじゃなくて、100年前こいつらは街にいなかったぞ?」

「ふーん。」

ちぇ、釣れないなぁ。

城の前まで来た。そこにも城壁があり、見張りが立っていた。

「何者だ?要件を言え。」

「ドラゴンライダーだ。国王と話がしたい。」

見張りは驚いた表情を見せると、城壁上にもいる見張りに対して手で合図した。すると、その見張りはあのピラミッドの城へと入っていった。

「しばし待て。」

しばらくすると城から兵士が出てきて、見張りと知らない言語で少し話をすると、こちらに顔を向け、穏やかな表情を見せた。

「陛下がぜひ話をしたいそうです。どうぞこちらへ。」

その兵士が言い、手でうちらを城に招き入れてくれた。

「すまないな。」

「構いませんよ。ところで、ドラゴンは街の外にいらっしゃるのでは?砂漠の夜は冷えるので、ぜひ彼らも中に入れてください。」

移動しながら言う。

「大きいのに大丈夫なのか?」

「えぇ。ドラゴン達も中に入って貰いたいと大きな厩舎を建造したのですよ。今はラトゥラの厩舎になっていますがね。」

「ニャトナーラじゃないの?」

「お嬢さん、我らの言語でラトゥラなんですよ。」

「そうなのね。」

「なぜラトゥラが?100年前はいなかったはずだが。」

「陛下がダヴィンレイズ王国に習って何か生き物と共に暮らすことを決めたのです。そこで、大人しいラトゥラを仲間にしたのです。」

「なるほど。」

大きな扉の前に来ると、両脇にいる見張りが扉を開けてくれた。

「失礼します。」

玉座に王……女王が座っていた。兵士が女王に平伏した。

「ドラゴンライダーをお連れしました。」

「ご苦労。下がりなさい。」

「はっ。」

兵士が居なくなると、女王が一気に表情を柔らかくし、満面の笑みでうちらに近づいた。女王はステラ姉よりも背が高かった。

「シリウス殿!久しいなぁ!まだ生きていて我は嬉しいぞ!」

「あー……どこかで?」

「覚えておらぬか?」

「……ん?レトーラ王女?」

「そう!相変わらず男にしては小さいなぁ!立ち話もなんだ、そろそろ夕食の時間だから共に食事をしてくれ。」

「え?ステ…」

ステラ姉は女じゃ?と言いかけると、ステラ姉に小突かれた。なぜ隠す必要が?

玉座の間から出て、歩きながら話し始めた。

「大きくなられたな。レトーラ女王陛下。」

「レトーラでよいぞ!昔遊んでくれた仲だ。そんなにかしこまらなくてよい。」

「……分かった。ところで、跡を継いだのか。前王は?」

「御父上は、ダヴィンレイズ王国が滅んだことを知り、ショックで亡くなられた。もう随分歳だったからなぁ。ところで、何か用があって来たのでは無いか?」

「あぁ。話したいことがあってな。」

「そうか。まぁそれは食事中にでも聞こう。あぁあと、疲れてるだろう?空き部屋があったはずだから、そこを使ってくれ。」

「色々とありがとうな。」

「お安い御用だ。ところで、その片目と片耳はどうした?」

「100年前に……ちょっとな。」

「……そうか、大変だったろう。よく生存できたな。あの1件から天空にドラゴンは見えなくなった。いや、ドラゴンだけでない。ワイバーンさえも空を飛ぼうとしなくなった。」

「レトーラ。ここに、他のライダーは来たか?」

「残念だが、1人も訪れていない。王国が廃墟になった後、少数部隊を派遣したんだ。なんとか生存者を救えないかとな。だが、誰もいなかったと。あったのは山のような死体の数だけだったと。ドラゴンも、含めてな。」

「……。」

ステラ姉……その中にはきっと、ステラ姉が育てたライダーや育ててくれたライダー、友達もいたかもしれない。

「着いたぞ。暗い話をしてすまない。食事で気が紛れるといいのだが。」

大きな縦長の机の上には、見たこともないご馳走が沢山広がっていた。

「あぁ。大丈夫だ。」

召使いが椅子を引き、そこに座る。うちの向かいにステラ姉が座った。少々豪華な椅子にはレトーラ女王が座り、その他の椅子には貴族らしき人が座った。

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