蒼
エラゴンに影響を受けた作品です。
第一章が未読でも楽しめる作品となっております。
誤字、脱字などございましたら、お教えいただけますと幸いです。
「ゴラァ!!あんたまた勝手に村を抜け出して呪われた街に行ったんか!!」
「い、行ってない…。」
「じゃあなんだい?これは!」
そう言うとうちの袋を放り投げる。中から色んな物が出てきた。無言を貫いた。
「いいかい?私はあんたが大事だから言ってるんだ。何かあったらと思うと母さん、心配で心配で。」
「はぁーいママ。」
そう言うと袋を持って逃げるようにして自室に戻った。
「はぁ。」
「また廃城に行ったのかい?」
「えぇそうよ。なんでダメなの?」
「危険だからだよ。廃城近辺には厭世部隊がうじゃうじゃいるからね。」
「見つからなければ安全よ!ねぇ見てこれ!凄くない!?これ全部売ったらいくらになるかな!」
「廃城の物は商人も買い取ってくれないと思うよ。」
「ちぇ。」
「アデラ!アデラ!降りてきなさい!!」
「げ、パパ。仕事から帰ってきたんだ。お兄ちゃん助けて!」
「えぇ?観念して行ってきたら?案外違う理由かもよ?」
「いつもパパのことになると助けてくれないよね!」
「あはは。」
結局父の前に出た。
「何?」
「何?じゃない。また城に行ったのか?母さんが言ってたぞ?」
「まぁ。うん。だってうちら貧乏じゃん?全部売ったらいくらになるかなーって。」
「城の物は買い取ってくれんぞ。」
「それお兄ちゃんも言ってた。」
「城の物は全て黒魔術によって汚染されているからな。……捨ててきなさい。」
「えぇ?黒魔術なんてそんなの昔の話じゃん。」
「厭世部隊が乗りこなしている存在は黒魔術の塊だぞ。」
「はぁ、ハイハイ分かりましたよーだ。」
袋を持ち、近くの森の中に向かった。森は2種類ある。一つは普通の森。もう一つはウィケルの森だ。ウィケルの森には絶対に近づくなと言われてる。厭世部隊、元いジュンブレス王国の領土であるからと。お気に入りの物だけを厳選し、残りは地面に埋めて捨てた。
「また、会えるかな〜。」
懐から一センチ程の赤い石を見ながら呟いた。
「ママー?パパー?お兄ちゃんー?どこー?」
突然霧が森中を包み込む。何も見えない。うちは泣きながら家族を探していた。幼少期の頃、狩りの練習をしていた時だった。そして、霧の中から大きな影が姿を見せた。
「だれ?」
赤い瞳がまっすぐうちを見つめる。瞳というより……宝石だった。宝石が瞳に見える。その瞳の正体は山竜や蛇竜に似た生き物だった。翼も動かさずに、ふよふよと浮遊するその生き物は体を光らせると、赤い石を生み出し、うちに渡した。
「まって!」
と同時に、霧とともに消え去った。
「さてと、帰りますかね。」
森を抜けて少し歩くと、故郷の派手な装飾が施されたピク村が見えてきた。
「おじさん、お煎餅一箱ちょうだい。」
「おぉアデラか!また大きくなったか?」
「そうかな?」
「どうぞ。」
「ありがと。」
「あ、そうそう、今飲み屋に旅人が来ているぞ?」
「ほんとに!?おじさんまたね!」
「おう!気をつけてな!」
走って飲み屋に向かった。うちはこの村の外を出て、旅をするのが夢だった。いつも行く森と、近くの廃城にしか行かないから。
飲み屋に着くと、その席に見たことの無い人が座っていた。フード付きの焦げ茶色のマントを身に纏っている。フードを深々と被っているせいか顔はよく見えなかった。うちは思わずその人に声をかけた。
「ねぇ!」
何も反応してくれない。
「ねぇってば!そこのマント来た旅人さん!」
「……なんだ。」
旅人は振り向きもせずに言った。
「あなたはどこから来たの?うち、外の世界に憧れてて。でもママとパパがダメって言うから誰かに聞くしか無くて。」
旅人は何も応えてくれなかった。すると、何かが降り立った音が聞こえた。……もうこの時期なのか。音のする方を見ると、煙のような大きな生き物に乗った厭世部隊の一人がいた。
「そこのお前!来い!」
指されたのは村長の知人の知人のハンブラムさんだ。
「お願いします!まだ私には家族が!」
「知ったこっちゃねぇ!抵抗するならその家族諸共ぶち殺すぞ!」
誰も助けようとしない。いつもの事だ。選ばれたら諦めるしかない。皆自分と家族が大事だから。厭世部隊は定期的に村の中から一人男を指名して連れていく。何をされるのかなんて誰も知らない。命の保証が無いこと以外は。すると、あの旅人が騒ぎに紛れてこの村を離れようとするのを横目に見た。
「あ、ちょっと!」
いつの間に厭世部隊は飛び去っていた。
「ねぇ待ってよ!どこ行くの!」
旅人はいつも行く森に向かっていた。歩くのが早い。しかも足音も聞こえなかった。思わず走ってマントを掴んだ。その途端、振り払われた。
「やめろ。」
「うちも連れてって。」
「……は?」
「うちも村の外に出て旅がしたい。うち、この世界を見てみたい!だから、お願い……お願いします!」
顔だけこちらに向けていた旅人は体も向けてくれた。フードの奥には鈍く蒼い瞳が片目だけ光っていた。
「断る。」
「どうして。」
「一つ、俺は旅人じゃない。2つ、お前は弱すぎる。3つ、家族に心配かけるな。」
俺って言ってるけどこの旅人、女……っぽい?
「うちに家族なんかいない!」
「……4つ、嘘をつくような奴とは共に行動したくない。」
なんで嘘だと分かるの?言ってないのに。
「ほ、本当よ!」
「お前、相当ポンコツだな。」
「は?なによ!」
「自分で言った言葉を忘れたのか?」
「え?何が?」
ハッと思い出した。そうだ、何を言ったのかあまり考えてなかった。飲み屋で言っていたじゃないか。
「……ごめんなさい。でも、本当に旅がしたいの。」
「お前も馬鹿じゃないだろ。今の世の中、誰も護ってくれる人はいない。昔ほど外に出歩くことも出来ない。諦めろ。」
なんだかムカつく……でも、旅人から何か、どこか寂しげな感じがした。
そして旅人は歩き出した。
「待ってよ!」
うちは焦って思いっきりマントを引っ張ってしまった。すると、フードから顔が見えた。一つ結びの黒い髪に、一等星のような蒼い瞳。左眼には眼帯をし、傷だらけだった。
「やめろ!!」
旅人は焦っていた。すると、黒い影が頭上を通り過ぎていった。厭世部隊だ。さっきのやつとは別っぽい。旅人は何かに怯えるようにして再びフードを深々と被った。厭世部隊がいなくなると、旅人は深呼吸した。
「どうしたの?」
「あいつらには見つかりたくないんだ。」
「ふーん。あなた、変わった見た目をしているのね。初めて見た。」
「俺の容姿については何も言うな。」
「俺俺って、あなた女でしょ?」
「女でも俺を使うやつくらいいるだろ。この話はもう終いだ。俺はお前と行動する気は無い。旅がしたいなら勝手にしてろ。俺を巻き込むな。」
「でも!」
突然風が起こった。思わず目を瞑り、腕で防ごうとする。風が止み、目を開けるとそこにはもう、旅人の姿はなかった。
「そんな。」
とぼとぼと家に戻ってきた。
「遅かったじゃないか。」
「お煎餅買ってた。あと、厭世部隊がハンブラムさん連れてってた。」
「そうかい。残念ね〜いい人だったんだけど。」
そして自室に戻った。
「あまり母さんに心配かけちゃダメだよ。」
「分かってるわよ。」
うちの兄、エイダン。オレンジ色の瞳に茶色い髪。うちら家族は血が繋がってない。うちと兄は養子だ。ママが子供を産めない体だったから。うちは赤ちゃんの時に拾われたから本当の両親がどんな人か分からない。兄は本当の両親と5歳くらいまで暮らしてたけど、育てられないほどに貧乏ということで、売ったという。
「ねぇアデラ。ドラゴンって知ってる?」
「そんなの誰でも知ってるでしょ。急になに?」
「ドラゴンは人の言葉を喋るんだって。そしてワイバーンよりもずっとずっと速くに飛べる。魔法も扱えるんだよ?」
さすが生物オタクのお兄ちゃんだ。語り出すと止まらない。
「ぷっ。魔法なんてどこのファンタジー作品よ。杖でも使うの?あの作品みたいに。」
「あの作品にもドラゴンは出てくるだろ。って、あの作品を貶すなんて許さないからね?」
「別に貶してなんてないわよ。非現実的すぎるってだけ。それに、あの作品はうちだって読み倒してるんだからね。でドラゴンがどうしたのよ。」
「そのドラゴンが、ここグラダリウス大陸に実在していた可能性が高いんだよ!」
「寝言は寝てから言いなさいよ。第一さっきも言ったように魔法なんて非現実的すぎるわ。」
「あの廃城、元は一番強くて歴史ある王国だったらしくて、その理由がドラゴンの背に跨ったライダーがいたらしいんだ!」
「そう。」
お兄ちゃん、歴史オタクでもあったな。やばい、止まらなくなってきた。
「でも……およそ百年前に滅んだみたいなんだ。」
「百年前の歴史って普通残ってない?」
「普通ならね。でも何故かどこにもないんだ。」
「ならその情報どこから仕入れてきたのよ。」
「この前お煎餅屋さんで、店員さんから聞いたんだ。ドラゴン騎士団っていうみたいだよ。あまり詳しくは聞けなかったんだけど……見てみたかったな、ドラゴン。」
ドラゴン……私にはどうでもいいかな。ファンタジーは好きだけど、そんなの空想の物語にすぎないし。
お待たせいたしました!
ついにドラゴン騎士団第二章の連載開始です!
ぜひ楽しんでください!
普段はドラゴンの絵を描いております。
X(旧Twitter)アカウント名→@KaVouivre




