後輩におすすめの生徒をお勧めされた子はめちゃくちゃ俺のタイプだった
俺の名前は、五十嵐 葵。最近14歳になった中学2年生だ。
東京のど真ん中にあるお金持ち学校、私立晴ノ空学園中等部に通う、父親が病院経営者、母親がデザイナーのごく普通の一般人だ。小学生までは都内ではなく、関西の近くにあるエレベーター式の私立の小学校に通っていたが、周りと何故か馬が合わず、母親が東京に服屋を出店する事に便乗して、親のコネを使って、この学校に入学してきた。この学校に通い始めて一年、最初は東京という未開の地になれなかったが、徐々に都民の生活にも慣れてきた。しかし、一つだけ問題があった…それは、
一度も青春らしい事を経験していないという事だ。14年間彼女の一人もできたことがないのだ。この学校に通ってから、それなりに友人関係は築けているはずだ…周りは、同じ学校の生徒同士でカップルが成立しているのに、俺に関することで恋愛関係の噂はおそらく一個も耳に入ってきたことはない。
俺の感性がおかしいのか…?特に美人じゃないと恋愛対象ではないというわけではない。強いて言うなら、ボブで、童顔、年下、俺の話をちゃんと聞いてくれる奴がタイプだが、そんな奴は一生現れないのだろうか…
少しがっかりしながら、次の教室までの廊下を歩いていると、目の前には最近まで友達同士だったクラスメイトが恋人繋ぎをしながら、にこにこして歩いている。6月に入ってから1年の頃よりもカップルが増えている感じがする。マジでリア充爆破しろって感じだな…と思いため息をついていると、すぐに目的の教室についてしまった。
この学校には、毎週水曜日の6、7限は選択した先生の元で勉強ができるという制度がある。俺は真面目に勉強する気なんてさらさらないため、いつも穴場である美術の先生を取って、適当に課題をしているのだが…今までは同級生と課題をしていたが、ついに俺にも後輩という存在(ちなみに女子)ができた。そして、後輩(たしか深瀬 美玲という)はなんと毎回俺に話しかけてくれる。もしかしたら、このままタイプの後輩女子紹介してくれるんじゃね…?そのまま付き合って…そんな事を考えていると、その後輩が俺の方に近づいてきた。
「ねぇ、ここ座ってもいい?」
「べつにいいけど」
そう言うと、いつも同じ授業をとっている後輩の隣に、すとっとボブで、童顔な超タイプな女子が座っていた。思わず見つめていると、その子と目が合ってしまった。なんだろう、何故かこの子とはとても仲良くなりたい…
「こ、こんにちは…?」
「……こんにちは」
変な雰囲気が流れてしまい、とても気まずい。そうすると、後輩がその空気に気付き、なんとかしていい空気になるように、
「あ、あ〜!え、え〜と、そうだ!この子の名前はなんでしょ〜かっ!」
と気を遣ってくれたが、仲良くなりたいのにこれではさらに仲良くなりにくい気がする。
「初対面でわかるわけないだろ!」
「じゃ〜あ〜ヒントね!名前には恋がつくよ」
いや、むずくね…?
「かれんとか…か?」
なんだか、あの子が可愛すぎて、落ち着くことができない。これこそまさに一目惚れという奴なのだろうか…
「ぶぶ〜正解は、恋夏ちゃんでした〜」
「いや、むずすぎだろ」
名前すら可愛い…
「あ、初めまして。鐘宮 恋夏です。えと、お名前…」
「あ、五十嵐 葵です。よろしく」
焦る姿さえ可愛い。小動物かよ…
「五十嵐先輩…よろ「アオ先輩でいいよ〜」
深瀬がいいところを邪魔してくる…邪魔するなよと思わず声に出そうになるが、ここでいうのは大人気ないと黙り込む。
「別に、好きに呼んでくれて構わないからさ。」
「は、はぁ…」
完全に変人扱いされてしまった。
「え〜なに?もしかしてこの子に惚れちゃったの〜?
大丈夫よ、恋夏はアオ先輩みたいな人はタイプじゃないから。」
さっき彼女を見つめていたことに気がついたのか、深瀬がネタにし始めている。
そうだな。彼女と会って数秒で本気で惚れた。だが、変人と思われようが、タイプじゃないと言われようがどうでもいい。
だけど、今一つだけ決めたことがある
それは…
この鐘宮 恋夏を俺がこの学校に通っている間に必ず惚れさせて、彼女にする。
そう心に誓った。




