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1.深夜の秘密
漆黒の闇の中、森のざわめきだけが聞こえている。
「今日も星が美しい……」
ミスティア・ノームは一人で森の奥に進もうとした。
「お嬢様、一人で行ってはいけません」
ミスティアの召使、ジーン・クライズが後ろから声をかけた。
「……分かったわ、ジーン」
ミスティアが引き返そうと思った瞬間、何かが視界の端で動くのが見えた。
「あら? 何かしら? ……人の手……?」
ミスティアがそっと、茂みから突き出したうごめくものに近づく。
「お嬢様、下がってください」
ジーンがミスティアの前に進み、茂みをかき分ける。そこには美しい顔をした青年が倒れていた。
「まあ、大丈夫ですか?」
ミスティアがジーンの後ろから顔を出し、青年に声をかける。
「……う……ん」
「ジーン、この方を屋敷まで運んでください」
「はい、お嬢様」
ジーンが青年を抱え立ち上がった。
青年の目がわずかに開いた。
「大丈夫ですよ……私の家はすぐそばですから……」
ミスティアがそう言うと、青年はそっと目を瞑った。