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シナリオ外で攻略対象と出会ってしまった

考えついた商品は

・ネックレス

・ぬいぐるみ

・おもちゃの剣


だった。


ネックレスは一番初めに作ったように二つの石を麻紐で結んだもの。

ぬいぐるみは手のひらサイズのぬいぐるみのお腹の中に石を入れて、光るぬいぐるみを楽しむ。

おもちゃの剣は剣の柄に石をはめ込み、光る剣にした。


この3つがあれば男の子も女の子も楽しんでくれるに違いない。


急いでアシルのところに行き報告するとアシルも喜んで賛同してくれたけど、光魔法は誰がかけるんだ?という当然の疑問をぶつけられた。

ほんの少しだけ光魔法が使えることと、他の人には内緒にしてほしいことを伝えると「わかったよ。お前の両親も魔法使えたし血筋なのかもな。」と納得してくれた。



そこから大急ぎでお祭りの準備を2人で始めた。

石の準備、ぬいぐるみのと剣の発注。毎日寝る間も惜しんで準備したおかげでたくさんの商品が出来上がった。




「準備完了!!」


ギルドの近くに出店を設営し、夜から始まる祭りの準備も完了した。


「マジで疲れたけどこれからが本番なんだよな。」

「そうよ!頑張りましょう!」


祭りの開催までもう少し。

しかしすでに人通りは多く、溢れんばかりの活気だった。


「ほんとありがとな。」


寝不足で喧嘩をすることもあったアシルが突然感謝を言葉にして驚いた。


「いや、そのお仕事もらった訳だしさ。当然だよ。こちらこそありがとうだよ。」

「それもそうか。祭り楽しみだな。」

「前はお客さんとしてしか来たことないからちょっとワクワクしちゃう。アシルはずっとお店だっけ?」

「まあな、家業的にしょうがないだろ。」

「そうだけどね。ちょっと遊びたいってことはない?良ければお店見とくから遊んでくれば?」


商人家業なので祭り事はずっと商売していたに違いない。今日くらいは楽しんでもいいと思う。


「いいよ、お前といたいし。」

「そんなに信用ない?」


おっちょこちょいなのは認識しているが、子供向けな屋台も任せられないくらいに思われていることに少し心外だった。


「そういう意味じゃなくてお前と…」


アシルの言葉を遮るように祭りの開催を知らせる音楽が鳴り響いた。


「ごめん、聞こえなかった。もう一回。」

「もういいよ、店開けようぜ。」


アシルは続きを言わずに出店を開店させた。




店は想像以上に大盛況だった。

ぬいぐるみは女の子、剣は男の子に売れたのは想像できたけど、ネックレスは大人に大ウケだった。

価格も子供用として安価に抑えていること、また物珍しいこともあり見かけた客の殆どが購入して行った。


「アシルー!お客さんが絶えないよー!」

「頑張れ!お前が作った商品だろ!笑顔でちゃんと売れ!」

「ひー!」

さっきまで優しかったアシルはどこへ…

厳しい言葉に押されるように次々と売り捌いていくがなかなか列が途絶えない。


と、思ったその時、急に列が捌けた。そしてそこに明らかに他の観光客とは異なる一団が現れた。



その中には攻略対象の1人、ルイ グルラン王子がいた。


「ここは何の店?」

整った顔にツヤツヤとした栗毛の髪、溢れんばかりの気品。どこからどう見ても王族にしか見えないルイは屋台を覗いて聞いてきた。


「あ、あの…い、石のお店です…」


突然関わりたくない相手が来たことと、綺麗すぎる顔立ちに驚いて吃ってしまった。


「グルラン様。魔法石の店です。子供用に加工されたものを売っています。」


ナイスアシル。

吃ってしまった私の代わりにしっかりと説明してくれホッとした。


「へー、魔法石のおもちゃか。珍しいね。ひとついいかな?」

「ええ、是非。どれにしましょう」

「僕は剣を貰おうかな。クロエは何にする?」


ルイ様が後ろを振り向き声をかけた先には婚約者であるクロエ ベルナール様がいた。

黒紫の髪に少し吊り上がった目、しかしその目を際立たせるように整えられた顔。全てがパーフェクトな美貌。


「私は結構です。このような平民の物を持つ必要がございません。」


クロエ様は不快な表情をし、ルイ様の誘いを断った。


「そう言うふうに言うものじゃないと思うんだけどな。ごめんね。じゃあぬいぐるみも貰おうかな。」


クロエ様の口ぶりに謝罪しながら剣とぬいぐるみを受け取ると多すぎるお金を支払った。


「ちょっと多すぎます。」

「お詫びだよ。不快にさせてごめんね。」


アシルはルイ様の言葉に押され、多すぎるお金をレジにしまった。


「視察ですか?」

「王族だから一応しないとね、と言いたい所なんだけど僕はこのお祭りが好きでね。個人的な楽しみの方が大きいかな。」

「そうでしたか。是非楽しんで行ってください。」

「そうするよ。クロエもついてきたいって言ったから一緒に来たんだけどね。終始こんな感じで。ごめんね。」


ルイ様は一通り謝罪すると光る剣を嬉しそうに振りながらクロエ様と一緒に人混みに消えていった。


屋台周辺は王族のオーラに当てられ皆一瞬時が止まったように思たけど、すぐさま時は動き始め屋台も元の活気に戻った。



突然の攻略対象の訪問に混乱する隙もなく、祭りが終わるまで屋台の活気は収まらなかった。

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