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攻略対象の好きなところ

どう思ってるとは?どう思ってるも何も、何の感情もない。

けどこの質問をするってことは狙ってるって思われてるということ?狙ってません!断じて狙っておりません!ぜひクロエ様と末永くお付き合いをされればいいなと思っています!

でもこんなこと言ったら印象次第では嫌味に聞こえる?聞こえちゃうかな?ど、どうしたらいいの!?


何を答えていいか分からず色々な考えが頭の中をぐるぐると駆け巡る。


「聞いてます?」


返答のない私にイラつきを覚えたのか、クロエ様が会話の確認をして来た。


「き、聞いております!」

「じゃあどう思っているの?」

「き、綺麗な顔だなと思っています!!!!」


やらかした。焦りすぎて吃っているし、振り絞って出た言葉が綺麗だと思うなんて王族に対して失礼すぎる。

不敬罪の前科一犯になってしまった。


回答を失敗し涙目になっている私の目を見つめるクロエ様。


「顔が好みということかしら。」


ひぃ!追い討ちで確認して来た。どうしようどうしよう。


「こ、好みと言いますか、とても綺麗なお顔立ちだなと思います!で、でもクロエ様もルイ様に負けず劣らずお美しいと思います。芸術品のようなお顔立ちに、それを際立たせる素敵な御髪、さらに洗練された身のこなし!全てにおいて完璧だと思います!!!」


追い詰められて思わずクロエ様に対して思っていることをベラベラと話してしまった。不敬罪2犯で死罪かもしれない。もういっそ自分で切腹するしかない。


ものすごい勢いで自分の褒め言葉言われ、クロエ様は目を丸くして驚いた表情をしたが、すぐに表情は戻った。


「ありがとう。よくわかったわ。」


クロエ様は回答に満足したのか目線が前を向いた。

会話が円満?に終わったことで、死罪を免れた事を実感でき、ほっと胸を撫で下ろした。



授業は専科と言っても初回の為座学のみで実技はなし。

クロエ様は真剣にメモを取り魔道具について学んでいた。


クロエ様は魔道具に興味がお有りなのかしら。真剣なお姿も本当に様になっていて、私が男だったら隣に来ただけで惚れちゃうと思う。

って、クロエ様ばかり見ていられない。私も集中しよう。


改めて気合いを入れ直し、授業に気持ちを戻した。



授業は本来の時間より少し早く終わってしまった。

内容が中途半端になってしまうとのことで、今日はもうおしまいらしい。


帰りも強引にライリー様に約束させられてしまったので少し待たなければならない。


時間を持て余したので今まで行かなかったカフェテリアに行く事にした。


学園のカフェテリアは原則学生は無料。居候の身である私も気軽に使える。


私は出口付近にあるカフェテリアに入ると紅茶を頼んでテラス席に腰を下ろした。


誰もいない1人の時間が平穏すぎて幸せを噛み締める。

ずっとこの時間が続けばいいのに。そう思っていたが、そんな時間は一瞬で終わった。



「こちらいいかしら。」

「!?」



クロエ様が話しかけて来た。



「ど、どうぞ!」

「ありがとう。」


クロエ様が同じテーブルに着いた。


なぜクロエ様が相席希望?さっきの回答がよくなかった?それとも今まで積み重ねた罪により死刑を言い渡しに来たのかもしれない。空気が重くるしくて辛い。


クロエ様は紅茶を優雅に飲むだけで何か話しかけてくることはなかった。しかしその無言がまた怖く私を追い詰める。


この無言は何!?どうしたらいいの?


緊張しすぎて動くことも出来ない。

恐らく数分のことだったと思うけど、辛過ぎて何時間にも感じた。


そして気がつくと他の生徒もカフェテリアに来ていた。他のクラスも授業が終わったみたいだった。


遠くから足早で近づくライリー様も見える。この時ばかりはライリー様の存在が嬉しかった。


「リサ、もしかして待たせちゃった?ごめんね。」

「いえ、授業が早く終わっただけなので少しだけです。」


体感的には1億年位お待ちした気分です。


「あれ?クロエ?」


ライリー様は私の隣にいるクロエ様の存在に気づく。


「こんにちは。」


クロエ様は落ち着いた声で挨拶をした。


「珍しいね、ルイは一緒じゃないの?」

「ええ、そうです。」

「そうなんだ。じゃあまた。行こうリサ。」


ライリー様は私を連れて帰ろうと私のカバンを持った瞬間、クロエ様がカチャンと音が鳴るようにカップを下ろした。


その音でライリー様がクロエ様の方を向いた。


「ライリー様。」

「何?」


「リサはルイ様のお顔がお好きなようです。それでは失礼します。」


クロエ様は爆弾発言を残して優雅に去っていった。


一瞬時が止まる。

そして時が動いたと思ったらライリー様は私の方を向いた。


「クロエの話、本当?」


ライリー様に少し睨むように見つめられ、あからさまに目をそらすことしかできなかった。

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