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マリアンヌ視点 1

 いすれこうなるとおもっていたのよね。


 だって私、ユーリック公爵夫人こと、マリアンヌ・フェル・ユーリックは、王妃バネッサ・ブルーナル・リ・リーファルの幼馴染兼親友だったのだもの。


 バネッサは小さい頃から私の事が大好きで、特に顔は「超絶好み♡」と言って、一日中眺めていた。

 今でも不思議なのだけれど、この国では珍しく私達には婚約者がいなかった。

 お父様曰く「二人は三大美女に上げられてもおかしくない程の器量よしだ。この先何かあるか分からない。早くから決めて自分を安売りするような事をしてはいけないよ」とのこと。

 お父様は伯爵ではあったが、それほど野心があるわけでもなく、どちらかというとホンワカとした事なかれ主義だったはず。

 バネッサの父も侯爵で私の父と仲が良く、似た者同士、と揶揄われるような人物であったはず。

 それなのに婚約に関してだけは、このような威厳溢れる発言をする父上達を不審に思いながらも、婚約にさして興味のなかった私達はこれ幸いとして、日々を平和に過ごしていた。

 今思えば単に子煩悩な父達が、私達を早くに他家に取られるのが嫌だっただけだろうけど。

 

 そんな私がユーリック公爵に気に入られて追い回されるようになると、バネッサとのバトルが始まった。

 あくまで水面下で行われている為、私は知らなかったのだけれど、後に主人となったユーリック公爵が「あの時は何度死ぬかと思った事か……」と言っていたので、深く聞かない方が身のためだろうと、私は遠くを見つめた。

 結果、ユーリック公爵は、当時の王太子と言う最終兵器を使ってバネッサとのバトルに勝利した。

 いえ、ただ単にバネッサを紹介された王太子が、彼女を気に入って囲い込んだと言うだけの事なのだけれど。しかし、今でも彼女はユーリック公爵に私を取られたと思っているので、敵意はむき出されたままである。

「私を王太子妃という立場に追いやって、簡単にマリアと会えないように画策したのよ。あの腹黒~。だから反対だったのに、まんまとしてやられたわ。こうなったら二人の子供を結婚させて、繋がりをもちましょう。でないと二度と会えなくなっちゃう~」

 結婚後、バネッサは涙ながらに訴えてきた。

 ユーリック公爵はとても優しい人で、私は彼と結婚できた事をとても感謝している。

 だからバネッサの訴えは曖昧にしておいた。

 どちらにしろ家柄だけで考えれば、可能性はあるしね。


 同じ年に長男を産んだ。男同士であった事にかなりがっかりしたらしく、お祝いの手紙に恨み節も書き添えられていた。

 三年後と四年後にバネッサは子を産むが、両方男の子ですっかりひねくれたようだ。

 六年後、私に待望の女の子が産まれたと知るとすぐに使いを送ってくれたが、その子が瀕死の状態だと知ると、城の名医を惜しげもなく送ってくれた。

 それと同時に六歳になる息子を王子の遊び相手として、城に呼ぶようになった。

 リリの事で世話になっているし、何よりルーがとても喜んでいたので、私は傍観する事にした。

 けれどリリが三歳の峠を越えたあたりから、第一王子との婚約を再度仄めかす様になった。

 そうよね、バネッサが簡単に諦めるはずがない。

 それでも救いはレオドラン様が、リリの存在を知らないという事。

 仲良くなった五人の男の子達は、お互いの屋敷を行き来するようになった。

 少しずつ元気になってきたとはいえ、いつどうなるか分からないリリに王妃教育をさせるわけにもいかず、公爵家全体で必死にリリの存在を隠した。

 それなのに、こんなにもあっさり見つかり、その日のうちに婚約の申し込みまでされてしまうなんて……。

 こうなるともう、運命としか言いようがない。

 バネッサの執念……どちらだろう?

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