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ルーゼット視点 3

「笑えない。嘘を吐くならもっとマシな嘘を吐け、ルー」

「嘘じゃない。嘘を吐くならもっとマシな嘘を吐くよ、レオン」

「……………………どうして、今まで妹がいる事を隠していたんだ」

 あ、話反らした。全員がそう思ったが、あえて口に出さなかった。とりあえず現実逃避したいんだろうな。

「リリは産まれつき体が弱くてね、本当なら三歳まで生きられないと言われていたんだ。だけどリリは一生懸命頑張ってくれて、三歳の峠を越えてからは自分で食事や運動などに気を使い、少しずつ元気を取り戻していったんだ。まぁ、健康的な体を目指し過ぎて十歳には見えなくなってしまった事は、気にしないで。ははは」

「じゃあ、隠していたわけではなく、状況的に言えなかったという事?」

「察してよ、トーマス」

「あ、ごめん」

「マナーも完璧なように見えるがな」

「だから言ったろ。リリは頑張ったんだ」

「勉学の方は?」

「そうだね、体調のいい日は暇だと言って本ばかり読んでいるからね。結構物知りではあるかな」

 トーマス・マルロス・セルが次々に質問してくる。

 ……これで、レオンから隠していた事はバレないよね……。

「あ!」

 忘れていた。とっても大事な事を……。

 僕は友人との会話を中断し、父上に先程庭園で見たアーノック先生とリリとの様子を話した。

 因みにアーノック先生も攻略対象者だ。学校の教師になっていたはずが、何故かリリの家庭教師として紹介された時には驚いた。

 そして今日、悪役令嬢であるリリにあのような事をするなんて……まさか本気なのだろうか?二十歳の攻略対象者が十歳の悪役令嬢に?

「アーノック先生がまさか……そりゃあ、うちのリリちゃんは天使だけど、先生は二十歳のいい大人で……リリちゃんの可愛さは格別だけれど、先生はメルノー侯爵夫人の紹介で……リリちゃんは十歳には見えない色気があって、でもあくまで教職者が……そんな……リリちゃん、リリちゃん、リリちゃ~ん!」

 父上がひっくり返った声で叫ぶ。

 てててっと近づいたリリがコテンっと首を傾げる。

「なあに、お父様?」

「週明けから先生が変わるよ。アーノック先生は忙しくて……そうだ、学校の教師になるそうだよ。だからリリちゃんは他の先生を……ああ、丁度いい。この際、女性の先生を正式に雇って淑女教育を見直そうか。そうだな、それがいい。ははははははは」

 再び父上が壊れた。

 可愛すぎる天使の娘をもつと父親というものは、壊れてしまうものらしい。僕も将来気を付けよう。

「もし宜しければ、王室から良き先生を派遣いたしましょうか」

「!」「?」「??」

 レオンが壊れた父上の肩を掴んで、それはそれはとてもいい笑顔で言った。

 キラキラキラ。

 そんな効果音が流れそうなご尊顔に、バタバタバタッ! うちの使用人が使いものにならなくなった。あ、父上もよろめいている。て何ですか、その王族スマイル。夜会でも気が乗らないとほとんどしないレベルのキラキラ度じゃないですか~。

 だが、なめるな!

 伊達に十年以上も側にいた訳じゃないぞ。そんなエセ王族スマイル、僕には通用せ~ん!

 ガバッ!

「はっ、はっ、はっ、はっ、レオン様~、そんなお忙しいレオン様のお手を煩わせるような事、恐れ多すぎて出来ませんよ。ご配慮ありがとうございます。家庭教師はこちらで探しますのでお気を遣わずに」

 僕はレオンの手を父上の肩から外し、反対にレオンの肩を抱いて言った。とってもいい笑顔で。うん、レオンの笑顔にも負けない貴族スマイルで。

「どうした、ルー? 私達は十年来の親友じゃないか。親友の妹の家庭教師を斡旋するくらい、何も手間じゃないよ。安心してくれ。とびっきりの女性教師を知っているんだ。母上もお世話になった方なんだよ」

 うん、それ王族専用の教師だよね。もうそれ、王妃教育を始めましょって事だよね。

「レオ~ン!」

 とうとう僕は叫んでしまった。

 ちょっと待て待て。どういう事だ?

 どうしてやばいロリコン教師を辞めさせる話から王妃教育の話になっているんだ。

 困惑する僕達を掻き分けて、リリの傍に行ったレオンはリリの頬を優しく撫でる。

「リリは……十歳なの?」

「はい」

「そっかぁ……」

 頬を撫でる手の親指で、リリの唇を軽く押す。

 プニッ……プニップニッ

 あの~、レオンさん。家族や友人の前で何をやっているのでしょうか?

 プニップニップニップニッ

「ん」

 くすぐったそうにするリリの口から、少しかすれた十歳にあるまじき声が聞こえた。

 プチ~ン!!

「何やってるの、レオン!」

 我慢できずにレオンに飛びついた僕をするりとかわし、反対に僕の肩を軽く叩くレオン。

「問題ない」

 ……ありまくりです。

 そうしてリリの手をそっと握って、片膝をつく。

「リリアナ・フェル・ユーリック公爵令嬢。初めてお会いしたというのに、不躾な態度をお許し下さい。ですが、私は一目で貴方に心を奪われました。どうか私レオドラン・ブルーナル・リ・リーファルの婚約者になってはいただけないでしょうか」

 カッチーン!

 ……本当にそういう音がしたんだ。

 だって皆動けない。驚く暇もない。皆笑顔で固まって……

「イヤ」


 …………………


 笑顔で固まったレオンのお蔭で皆が解凍された。いや、リリのお蔭か?

 ……今、嫌って、言った? え? あれ??

 バッ!

 皆、一斉にリリを見る。

 リリは満面の笑顔で、レオンの手を振りほどく。

「イヤ!」

 二度目の拒否発言。

 ヒュオォォォォ~。

 レオンの笑顔からブリザードが吹き荒れる。寒い寒い寒い。

 リリの負けずのエンジェルスマイルが、怖い怖い怖い。

「ねえ、皆先程から何を言っているの? アーノック先生も違う先生もどうだっていい。今日はリクルの誕生日なのよ。リクルのお祝いをちゃんとしてあげて」

 天使は天使を抱きしめながら、全員を上目づかいで睨む。

 キュウ~ン。

 全員の心臓鷲掴み。もう誰も逆らえない。

「そうだね、リリの言う通りだ。今日はリクルの誕生日だもの。それ以外の話はナシ、ナシ」

 僕はリクルの目線まで屈み、手を取って謝る。

「ごめんね、リクル。改めて五歳の誕生日おめでとう」

 ガバッ!

 僕は両方から天使~ズに抱きつかれる。あ~、幸せ♡

「あああ、いいな~ルー。お父様も謝るからね。ごめんねリクル、リリ」

 僕の立場を羨ましそうに寄って来た父上に、素直に場所を譲る。

 いつの間に復活していたレオンが、僕の傍に寄ってくる。

「この話は後日また改めて」

 ……しなくていいです。

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