3.Awakening Hero
だんだんと、書きたいことが書けてきたと思うのですが、
伝わっているのでしょうか・・・・・・
でも、小説執筆するのってやはり楽しいですね。
僕の目の前で、凪が、電車に轢かれた。僕のすぐ近くで、目の前で、手を伸ばせば届いた距離で、人が死んだ。こんなことがあるだろうか。すごく辛い。助けれなかったことが辛い。ショックのあまり声が出ない。ただただ涙が出てくる。僕は、何もない一本道の踏切手前でしゃがみこんで、線路上の血を眺めていた。
「すみません……何をしているんですか?」
後ろから声をかけられた。振り向いてみると、身長がだいたい中学生くらいで、銀髪のショートカットの、男なのか女なのかよく分かりにくい人がこちらを見ていた。桃色の目は、僕に何を思っているのだろうか。変な人だとか、思っているのだろうか。その人は、僕をどう見ているか、よく分からない目をしていた。とりあえず、僕は立ち上がり、
「すいません……」
と言って、その場を後にしようとした。今の言葉は、ちゃんと声になっていただろうか。
正直、今は大学に行きたくない。だからといって、家に帰る気力も、歩く気力もない。あの場にずっと居たかったくらいだ。でも、僕はその場を後にしようとしている。一歩ずつ、そうしている。自分でもよく分からない。
「あの……もしかして、これから大学に行こうとしてますか?」
この声はさっき話しかけてきた人だ。
「まあ……そうですけど……」
「あの……よかったらついて行ってもいいですか? 道に迷ってしまったもので……」
この道を迷うということが、よく分からなかった。この一本道を、どうやったら迷うのだろうか。
「迷うって……この一本道をですか?」
思わず口にしてしまった。初対面なのに。失礼な人だとか思われてないだろうか。
「すみません、ここに来ることが初めてなもので……」
「そ、そうですか……あ、あの、ついてきて……いいんですけど……ちょっとだけ、すいません……」
僕は何故かそう言ってその場に膝と手をついて、
「うう……うああああああああああああああぁぁぁぁぁぁッ‼」
泣き叫んでいた。急に悲しみが込み上げてきた。寂しさが込み上げてきた。悔しさが込み上げてきた平然としては、いられなかった。
「だ、大丈夫ですか⁉」
「凪がぁ! 電車に轢かれてぇ! 死んじゃったんですよぉ!」
とにかく泣いていた。大学生とは思えない泣きっぷりだと思う。
「ちょ、ちょっと、落ち着いて下さい!」
さっきの人が、僕の隣でしゃがみこんで、背中をゆっくりさすってくれている。でも、僕はそれでは収まらなかった。涙が滝のように溢れ出るって、今みたいな感じを言うのだろうか。
「僕で良かったら話聞きま────」
そのとき、僕がはめていた指輪が眩い光を放出して輝き出した。
僕がはめていた指輪。それは、凪風花からの、初めてのプレゼントだった。
『いいの? こんな高そうなもの……』
『これは、私からの感謝の気持ち。憂汰君には、いろんなところで凄くお世話になってきたから、受け取って……ほしいの。』
高校生としての最後の日、僕は凪に、旧校舎の校門前に呼び出された。その一昔前のどこか懐かしい感じのする校舎には、色々な伝説があり、そのうちの一つに、
『最後ノ高校生ノ日、女子ガ男子ヘ贈リ物ヲ為。二人、永久ニ結バレル。』
というのがあったので、まさかとは思ったが、伝説にある、贈り物とはこれなのだろうと思った。とても、以外だったが、きっとそうなのだろう。
その時から、ずっと人差し指にはめていた指輪。それが、何故か、輝き出しているのだ。
ありきたりでしょうか。
でも、いつかありきたりじゃないって言わせたい。
読んでいただきありがとうございます。