光明
「状況を説明するわ!今、黄巾党っていう、宗教団体が、国に向かって反乱を起こしているの!私たちは、それを討伐する軍ってわけ。」
どうやら、曹操は官軍の一部らしい。他にも官軍の将校はたくさんいて、何進という奴がリーダーみたいだ。
「曹操様…私は反対です!何処の馬の骨かもわからないやつを、軍師などと…」
夏侯惇はさっきの発言が余程許せないのだろう。勝利が軍師となることを認めていないみたいだ。
「まあ、姉者。軍師として役に立たなかったら、その時は斬ってしまおう。」
「そうね。斬るのはそれからにしてちょうだい。」
どうやら不穏な方で話がまとまったみたいだ。斬られたくないなぁ。
「とりあえず兵士達のところへ合流しよう。今、敵と膠着状態が続いていて、その状況を打破する為に手がかりを探していたところだ。」
ー
「曹操、どうだ?何か作戦は思いついたか?」
軍営に入ると、中肉中背のおじさんが話しかけて来た。
「はっ。もう暫くお待ちください、何進殿。必ずや敵を打ち果たしてみせましょう。」
「まだ作戦を立ててないと申すか。所詮は宦官の子か…」
そう言って、何進は不機嫌そうになった。曹操は一礼して、勝利達の待っている方へ向かった。
「無礼な…!曹操様、あいつ斬りましょう!」
「駄目よ、夏侯惇。彼は一応、私の上司。今は耐えるのよ。それより、勝利。敵の軍勢を見に行きましょう。」
軍営を出て、敵の陣形を見ながら、曹操は説明をしてくれた。
「味方の数は3000で、そのうち騎馬隊は200。残りは歩兵よ。そして、私の軍勢は300。対して、敵の数は5000。長いこと睨み合ってるけど、お互いに膠着状態。打つ手がなかったところなの。」
官軍とは言っても、整然としているのは一部のようだ。敵は、そもそも軍規すらないように見える。
「あなた、何かこの状況を打ち破る策を思いついた?」
「俺に、曹操の軍勢200を預けてくれ。」
「馬鹿な!そんなこと許すわけないだろう!お前が間諜ということを、私は疑っているぞ!」
「いいから、夏侯惇。それで?作戦は?」
「作戦は、こうだ。・・・・・・」
「面白いじゃない。乗ってあげる。」
夏侯惇は不満があるみたいだが、うまく夏侯淵がおさめていた。
軍営に戻り、曹操は何進に作戦を伝えた。
「その作戦、失敗したら責めはお前が負うのだぞ?」
「わかっています、何進殿。手柄は全て何進殿に渡します。」
どうやら、失敗した時の責任をこちらへ押し付け、手柄を奪うつもりみたいだ。総隊長として、褒められた人物ではないらしい。
「よし分かった。出陣は今夜、健闘を祈る!」
作戦がはじまった。