李儒
「なんで燃えてるの…一体、何が起こって…」
董卓は目の前の光景が信じられない。都、洛陽が燃えていたのだ。
命からがら洛陽から逃げて来た、董卓の部下がくる。
「董卓様…!李儒が、反乱を起こしました…!」
「そんな…」
李儒は、董卓が軍勢を連れて呂布のところへ行ったとき、反乱を起こす準備をしていた。
「王允!急げ!董卓が帰ってくるまでの間に、洛陽に火を放ち帝を連れて長安へ向かうのだ!」
「ハッ。」
「まさかこんなに早く機会がくるとは…。どうやって呂布を亡き者にしようか考えていたが、敵が倒してくれるとはな!」
そう。李儒は、呂布より勝利が強いことを見破っていた。そして、董卓が軍勢を連れて勝利を殺すと思っていたのだ。
「異世界からきたあの男の処遇をどうするか迷っていたが…まあ運がなかったというところだろう。」
「…異世界、ですか?」
王允の部下、貂蝉が言う。
「ああ、そうだ。奴は異世界からきた。何故そんなことを私が知ってるのかはどうでも良い。そもそも、あいつはもう死んだのだ」
それ以上の話を李儒は拒絶する。
速やかに火を放ち、長安への移動を開始した。
ー
董卓がいた。馬に乗って都の方を見ている。
「どうした?あれはなんだ?」
勝利が尋ねる。
「私の部下が、裏切ったみたいね。」
董卓にいつもの余裕はなかった。
「董卓。俺が匿ってやる。一旦俺らのところへ来ないか?」
「アホ!そんなんできるわけないやろ!お前が裏切らない保証、どこにあるねん!」
董卓の横にいる、小さいのが騒ぐ。
「賈詡。私たちにはどうすることもできないわ。坊やの力を借りるしか、他に道はないの。」
賈詡も納得したらしいが、それでも信じられないという目で見てくる。
「賈詡、大丈夫。何かあっても、私が盾になる。闘ってる間に、逃げて」
「ちょっと、勝利!なに私の許可なく話を進めてるのよ!」
「いいだろ?曹操。うちの軍にとっても、悪い話じゃないと思うぜ?」
「わかってるわよ!私が怒ってるのは、別のところ!」
曹操が怒ってるのを見て、董卓はクスクス笑う。
「若いわね。大丈夫よ。彼は私たちをそういう目で見てないわ。」
(そんなの、いつそういう目で見るようになるかわかんないでしょうが!!)
心の中に抑えつけた。
「董卓。とりあえずこれつけておいてくれ。董卓が曹操軍にいることは、誰にも知られたくない。」
董卓、呂布、賈詡に顔を隠すための布を渡す。
とりあえず自陣に戻り、董卓のことは伏せたまま軍議の招集を待った。