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反董卓連合の快進撃は、わずか一人の武将によって止められた。作戦の変更を余儀なくされる。

「皆の者!呂布がいる以上、正面突破では被害が甚大になる!また、敵には華雄などの猛将もいる。誰か、戦況をどうにかする猛者はおらぬか!」

董卓討伐の戦の中で、はじめて袁紹が焦った。

「曹操。その、華雄と呂布っていうやつらはそんなに強いのか?」

勝利は二人に馴染みがないため曹操に聞く。

「強いわ。夏侯惇や夏侯淵でも、華雄はともかく、呂布には勝てないでしょうね。1日に千里をかける馬を持っていて、戦えば殺されることは間違いないでしょうね。」

勝利は思案する。横で声があがった。

「袁紹殿!私にお任せを!」

確か、公孫瓚軍の関羽という武将だった。並々ならない実力を持っていることは、黄巾軍討伐の頃から知っていた。

「なんだ、お前は!目立ちたいだけのやつが!引っ込んでおれ!」

袁紹はハナから相手にしていない。女子になんとかできるわけがないと思い込んでいる。

夏侯惇に匹敵する、あるいはそれ以上の武力を持っていると推測していた勝利は、袁紹に発言する。

「袁紹殿。策があります。」

反董卓連合の勢いを作り出した曹操軍の軍師であるため、袁紹は耳を傾ける。

「この関羽という武将に、華雄を討伐させましょう。彼女にはおそらくできると思います。」

袁紹は驚く。

「しかし、その間呂布はどうするのだ?」

「呂布について、詳しく知ってはおりませぬが、おそらく、一騎打ちを断る性質はないと思います。私が呂布と一騎打ちをして、時間を稼ぎます。その間に、関羽殿が華雄を討ち果たしてくれることと、思います。」

隣から曹操が発言する。

「何言ってるの!?だめよ!あなたが殺されちゃうわ!」

しかし、曹操の抗議は袁紹によって止められる。

「面白い!その作戦乗った!」

恐らく袁紹は、失敗しても良いと考えている。失敗すれば、勝利は死に、関羽も死ぬが、袁紹にとってはむしろ得といってよかった。

曹操は信じられないという顔になっている。今にも泣き出しそうだ。

「皆の者!それでは今すぐ、準備にとりかかれ!」

袁紹が叫び、軍議は終わった。



関羽が近づいてくる。他にも数人いた。

「勝利殿。礼を言おう。」

関羽が丁寧にお辞儀をする。

「いや。関羽なら勝てると思ってな。」

「ほう。おぬし、関羽の事をよく見ておるのう。関羽も、黄巾族討伐の時から、お主ことを何やら熱い目で見てたのじゃ。」

公孫瓚が茶化す。

「公孫瓚殿!勘違いさせるようなことを言わないでください!ただ者ではないと思って見ていただけです!」

関羽は顔を赤くして怒っている。どうやらそうとう短気みたいだ。

「まあまあ、関羽ちゃん。落ち着いて。それより、勝利さん。私からもお礼をいいます!ありがとうございます!」

確か劉備というらしい。武力があるとは見えないが、曹操と似たような、何か人を惹きつけるようなものを勝利は感じた。

「お姉ちゃんはすぐ怒るからなぁ。」

隣で呆れている。確か、張飛。関羽以上に敵を殺していたのを覚えている。

「いえいえ、お互い頑張りましょう。」

「そのことなんだけど…」

劉備がなにか言いにくそうにしている。

「?どうした?」

「失礼かもしれないんだけど、あなた呂布と戦ったら殺されそうで、それがちょっと…。あなたの事が弱いってわけじゃないんだけどね。」

なるほど。心配してくれたみたいだ。

「そうです、勝利殿。私はあなたのことを戦場で見ていて、相当な武力を持っていることは知っています。しかし、この間の敗戦の時に私たちも参加していたのですが、呂布は、私と張飛が一緒に戦って、ようやく互角か少し及ばないくらいなのです。」

「お兄ちゃん、弱いとは思わないけど…」

張飛も言葉を濁す。

「そうよ勝利!作戦を変更しなさい!」

曹操もついでに追い詰めてくる。

「大丈夫。死にそうになったら逃げるから。」

「逃げれないわ!1000里走る名馬を持っているのよ!」

「時間を稼ぐことに徹底するから、関羽が早く華雄を倒してくれたら大丈夫だ。そのあと軍勢で助けに来てくれたら良い。華雄を見たことないけど、関羽ならいけるだろ?」

関羽が張り切っていう。

「勝利殿!あなたのために、華雄をすぐに討伐してみせます!」

「あなたの為にだとは、関羽、お主やりよるのう!」

公孫瓚が茶化す。このおばさん、茶化すことしか頭にないみたいだ。

「関羽ちゃん、流石に大胆〜」

劉備も笑っている。

「姉上!そんなつもりはありません!勝利殿!勘違いするな!」

「勝利でいい、関羽。期待してるぜ。」

そういうと、曹操は勝利を引っ張って自陣に戻る。いつもより力がかなり強い。

「…ふん。」

「どうした?」

「初対面の女子と随分仲よさそうじゃない。勝利。必ず生きて帰りなさいよ!生きて帰って来て、説教してやるんだから」

なんの話かいまいちつかめていない勝利だったが、適当に頷いて、準備を始めた。


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