恐怖
「流石坊やね。なかなかやるじゃない」
「褒めている場合ではありません、董卓様!どうするのですか?」
穏やかな董卓とは裏腹に、賈詡は焦っている。無理もない。連敗が続いているのだ。
「しょうがないわね。このまま負けるわけにもいかないし、彼女を出しましょう」
董卓がそう言うと、賈詡は驚く。
「彼女を出すほどなのですね…」
「ええ。仕方ないわ。本当は、争いには参加させたくないのだけど…」
仕方ない、というふうにため息をつく。しかし、決断は変えなかった。
ー
勢いに乗れた反董卓連合は、破竹の勢いで敵を倒していった。
「このまま、敵を殲滅するぞ!」
何もしていない袁紹が言う。基本的に敵を倒しているのは、曹操、孫堅、公孫瓚軍だった。
3000の兵を失ったのは痛手であろうが、しかし勝ち戦続きである。袁紹は元気だった。
「曹操よ!勢いに乗れたのは、お前のおかげだ!礼を言うぞ!」
しかも、袁紹は利用されたことに気づいていない。
「いえ、こちらこそ、兵を貸してくださりありがとうございます。」
曹操は敬語に慣れてないようで、棒読みになってしまう。しかし、苦笑いは隠せていない。
そうこうしてるあいだに、前線から報告が入る。孫堅からみたいだ。
袁紹が伝令を聞いて、叫ぶ。
「なに!?被害が大きく撤退するだと!?バカな!」
ー
「もう無理だ!くそ、撤退するしかあるまい!」
孫堅が言う。味方の兵は次々と殺され、完全に敗戦だった。敵の騎馬隊が恐ろしい程強い。
孫堅軍は、色々な戦法を駆使して戦っていた。有能な武将を数多く抱えていたし、孫堅自身も優秀だった。ここまで被害を受けたことはなかった。
敵の一人が追撃してくる。恐ろしい速度で、戟を一振りするだけで味方が次々と死んで行く。
味方の兵が叫ぶ。
「呂布だー!呂布が来たぞ!!」