第５話 は・じ・め・ての『寄生』
えーと、ステイタスを確認してから、飯食って寝るサイクルを三回繰り返しました。
時間とかもうわからない。
体内時計狂ってる。
日の光、日光をください。
まさか引きこもり時代にあんなに鬱陶しがってた日光がこんなにも恋しくなるとは。
わからねぇもんだな。
さて、パラセクトサイクルを三回繰り返したわけだが、わかったことがある。
まず、俺達の食事は用意されているモノだった。
ということだ。
これについては、多分そろそろ来るはず──お、きたきた。
部屋の入り口に隠れながら、器用に顔だけを出している俺。
その俺の視界に映ったのは、廊下のような空間の奥からやってくる人型の青いモザイクだ。
そいつは2、3メートルくらいの大きさの蛇っぽいなにかの死体を引きずっていた。
青い人型モザイクは、俺達の部屋の前あたりにその死体を置き去りにすると、廊下の奥に戻っていった。
ちなみに、他のパラセクト達は皆寝ている。
俺は前回の食事を我慢して、この機を待っていたのだ。
褒めてもいいんだぜ？
これではっきりした。
俺達は上位モンスターの体内で養殖されているんだ。
はぁ。
このままここにいたら養分にされるんだろうなぁ。
でも死にたくないよなぁ。
はぁ。
……脱出するかね。
てか、それしかないよね。
うん、そうしよう。
それじゃあまず──
〔熟練度上昇 『暗視』1/30→2/30〕
なんだこれ。
ああ、熟練度が上がったのね。
言われてみればさっきより少し明るくなってる気がするな。
なるほど。
まあ、飯でも食うか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ぶへー。食った食った。
さて、俺の部屋に戻ってきたわけだけども。
脱出に必要なモノを考えようと思う。
まず第一に、強靱なステイタス。
今の、動きも遅くてスタミナも殆どなくてすぐに切れる俺だと、脱出とか無理。
あの青いモザイクに挽き肉にされるわ。
即挽き肉。
まああいつらが俺一匹の脱出に構ったりしないって可能性もあるんだけど、今の俺だと瞬殺だろうからな。
俺殺すのに労力とかいらないだろうから。
とりあえずステイタスの強化だね。
次に、体内の順路の確認。
まぁこれは説明する必要ないでしょ。
最後に、大きな隙。
上位モンスターの体内にあの青いモザイク一匹だけとは思えない。
もしかしたらもっと強そうなのがいるかもしれないし。
他の寄生虫やウイルスがが体内に襲ってくるとかあればいいんだけどな。
脱出に必要な要素はこんなもんか？
結論、詰み。
というか、即脱出とかは無理っぽいね。
いつかくる好機のために、堅実にステイタスを強化していくしかないな。
体内の順路の確認とかは後で考えるとして。
ステイタスを強化するには多分、レベルを上げればいいんだろう。
んで、レベルを上げるには経験値が必要だと。
経験値を手に入れるためにはモンスターを倒すしかないんじゃないかな？
さっきの『暗視』の上昇的にも、スキルの熟練度の上昇とレベルとは関係なさそうだし。
俺のスキル一覧を見る限り、目標の役に立ちそうなのは『寄生針』だけだ。
いや、『寄生針』もどんな効果かわからないし微妙だけど、他にアクティブなスキルがない。
モザイクに至っては論外だし、他はモンスター撃破の役に立ちそうにないし。
つまり俺は、『寄生針』に頼るしかないってわけだ。
ここでもう一度、『寄生針』の詳細を見てみよう。
ーー寄生針ーー
・針で刺すことで最大定員数3まで寄生が可能。
・熟練度が上がるほど効果上昇。
つまり、俺の尾針をなにかに突き刺せば、そいつに寄生できるってわけだ。
この寄生ってのがよくわからないけど、まぁやってみるしかない。
いくぜ……『寄生針』!!!
白い尾針を部屋の床に突き刺す。
〔熟練度上昇 『寄生針』1/10→3/10〕
〔SLv上昇 【寄生虫】 Lv1→Lv2〕
〔技能獲得 『傀儡操作』 1/30〕
うわっ!?
ちょ、びびったわ。
いきなり視界に出てくるのやめて。
心臓に悪いわ。
ふー。
とりあえずステイタスの確認するか。
ーーステイタスーー
名前：ダル
種族：ホワイトパラセクト 《詳細》
状態：寄生中 (1/5)
レベル：1
体 力：221/221 (+211)
精神力：450/460 (+445)
持久力：252/252 (+242)
攻撃：60 (+57)
防御：52 (+49)
魔力：114 (+109)
魔防：108 (+105)
敏捷：52 (+51)
〈先天的スキル〉
【寄生虫 Lv2】
・傀儡操作 1/30 《詳細》
・寄生針 3/10 《詳細》
・暗視 2/30 《詳細》
【転生者】
・言語翻訳 《詳細》
・ヘルプ(低) 《詳細》
・自己ステイタス開示可 《詳細》
【＊＊＊ Lv1】
・＊＊＊＊ 1/30 《詳細》
・＊＊＊＊＊＊＊ 《詳細》
〈獲得スキル〉
──なし
チートは存在したんですね……!!!
圧倒的T◯S感……!!!
