表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/55

第1話 死んだ?

 目を開くと、真っ先に視界に入ってきたものは「赤」だった。

 赤、赤、赤、赤、赤。

 俺を囲む一面の壁がどくどくと脈打つ。

 赤といっても鮮やかなものではなく、こう、内臓っぽいどす黒い赤で。


 は?

 いや、なに?

 ここどこだよ?


 目覚めた俺はため息をつこうとしたものの、何故か上手くいかなかった。


 というか、あれ? 声が出ない?


 さすがに危機感を覚え、うすーい記憶を掘り起こし始める。


 んー、昨日の夜は……いつものメンツで一狩りしたんだよな。あーそうだそうだ、思い出してきたぞ。

 それで盛り上がって、最終的には一晩で五十三匹も狩って……そこから記憶が無いな。


 ……寝落ちしたのか?

 まあそれは置いといて、ここはどこだよ。


 もちろんこんな気持ち悪い空間が俺の部屋なわけがない。

 とりあえず周りを観察しようとするも、首が回らなかった。


 うーん、強い麻酔でも打たれてるのかな? でもなんとなく体の感覚はあるんだよな。拘束されてるわけでも無さそうだし。 


 てかなにこの壁、グロすぎだろ。悪趣味な部屋だなおい。

 きもっ。

 きもちわるっ。 

 しかも人がいる気配が全く無いぞ。


 あっ、もしかして俺監禁されてるのか?

 あはは、笑えねー。

 いや、俺を監禁する理由……もしかしてネトゲのアカ狙いか?

 馬鹿すぎるだろ犯人。

 そんなことで人生棒に振るとか。

 でも、それなら普通俺、殺されてるよな。


 あはははは、殺され……あれ、殺されてる?

 ん? あれ? なんだ? なにか、なにか近いような……。


 その時、俺の頭にズキッと鈍い痛みが走り、“その”記憶がよみがえってきた。

 

 ──っ!


 ……もしかしてさ?

 ……ひょっとしてさ?


 どす黒い血色の壁。脈打つ何かの管。不安を煽る薄暗い空間。


 まるでそこは、目をギラリと光らせ、口を歪めた無数の鬼達が死んだ罪人達に対してその暴虐の限り尽くすと言われている──



 ここって、地獄かな?



 ──そう、俺は死んだはずだった。

 寝ぼけた頭で朝の散歩に赴き、憐れトラックに轢かれお陀仏……のはずだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ