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恐怖確率未定  作者: 夢春
壱ノ部
2/19

第2話 犬が見たもの

 その日も、オレはいつもの日課でジョージの散歩に出かけた。


 その日のジョージは妙に落ち着きがなかった。それは何故か?理由は簡単、オレとジョージはいつもの散歩コースから外れた道を歩いていたからだ。好奇心旺盛なジョージは、いつもと違うコースにワクワクしていたのだ。

「たまには、違うコースを散歩するのも悪くないな。なぁジョージ?」

 オレの問い掛けに野太い声で鳴くジョージ。

 ジョージは、全身が真っ白な毛におおわれた大型犬である。一見シロクマのような犬だ。オレは半分ジョージに引っ張られる形で、散歩をしていた。

 ウォン ウォン

 すると突然、ジョージが鳴きだした。


「ど、どうしたんだジョージ?」


 ウォン ウォン ウォン ガルルルー

 オレの言葉に反応すらせず、今度は唸りだすジョージ。


「一体どうしたんだよ?」


 オレは驚いた。ジョージがいきなりこんな行動を起こすのは初めてだったからだ。

 どうやらジョージは、道端に立つ一本の電柱に向かって先ほどから唸っているようだ。オレはその電柱に近づいてみる。しかし特に変わった所はない。電柱の裏側も見てみるが、やはりそこにも変わった所はなかった。


「何もないぞジョージ?」


 しかし、ジョージは唸ったままだ。そして、そこから先へは決して前に出ようとしない。


「仕方ない。今日は帰るか」


 オレはジョージを連れ、来た道を戻ることにした。


*  *  *

 翌朝。

 オレはジョージの散歩に行くため、犬小屋の前までやってきた。しかし、いつもならすぐに飛び出してくるはずのジョージが一向に出てこない。おかしいと思い、小屋の中を覗いてみる。その瞬間、喉の奥から声にならない悲鳴がれた。

 小屋の奥で丸くなっているジョージの白い体に、黒い何かが巻きついていたからだ。

 オレはふるえる手で、ぴくりとも動かないジョージを小屋から出した。

 黒いそれはジョージの全身に巻きついていた。そして、その全身に巻きついていたのは、大量の髪の毛だった。髪の毛はジョージの口から体内にも入り込んでいたようで、オレが見つけたときにはもうジョージは絶命していた。



 あれから数年が経った今でもふと考えるときがある。

 あの散歩の日、ジョージは何を見たのかと。そして、あの大量の髪の毛は一体・・・。



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