第1話 怨霊
これは、ぼくが小学6年生の時のことです。
ぼくには幼稚園からの付き合いになる親友がいました。しかし小6のある日、そいつは交通事故に遭い亡くなってしまいました。それからのぼくは日々悲しみに暮れていました。
親友が亡くなってから数日後のことです。その日からぼくのまわりでは、奇妙な出来事が数多く起こるようになりました。道を歩いていると背後から足音が着いてきたり、寝る前に閉めたはずのドアが朝起きると開いているのです。
さらには、夜になると携帯電話に必ず非通知着信があります。電話に出ると、ガリッ、ガリッという何かを爪で引っ掻くような音が聞こえてくるのです。
ある夜のことです。この日も携帯電話が鳴り、誰かのイタズラだろうと考えていたぼくは、今日こそ電話を掛けてくる者に苦情を言ってやろうと思い電話にでました。
「おい!あんたいいかげんに・・・」
そこでぼくは違和感を感じました。いつもなら、ガリッ、ガリッという音が聞こえてくるはずが、今日はいつもと違ったのです。
『もしもし。今、君の家に向かっているよ』
電話の向こうから声が聞こえてきました。その声はひどく擦れています。ぼくはその声を聞いた瞬間驚かずにはいられませんでした。その声は擦れていますが紛れもなく、亡くなった親友の声だったのです。
『もしもし。今、交差点を渡るところだよ』
交差点と聞きぼくは、あの日のことを思い出しました。
「あ、あれは事故だったんだ・・・。ぼくは、悪くないんだ!!」
必死で声を絞り出すぼくに、電話の声は言いました。
『親友だと、思っていたのに・・・。僕は、君を許さない』
ぼくは冷や汗が止まらず、もう喉はからからでした。
『君には、死よりも恐ろしい暗黒を味わってもらうよ』
そこで電話は切れました。
ぼくはその場に跪き絶叫していました。すると、ぼくの肩に何かが置かれた感じがしました。肩を見てみると、そこに置かれていたのは傷だらけの青白い手でした。心臓の動機が激しくなり、恐る恐る後ろを振り向くと・・・。
なぜ、こんなことになったのでしょう。あの日、交差点で親友の背中を押しただけなのに。ぼくはただ、彼を驚かせようとしただけなのに・・・。ぼくは今も、闇の中をさまよっています。