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第1話
「あの一件が起きなければ」
その日は、雲が空を覆っていた。
真っ暗闇の開けた視界に、色さえ判別できないほど見辛く、遠く、厚さの異なる雲が一面に張られていた。
時より雲の隙間からわずかな光が射し込むが、全体的に見れば、この一面を覆う雲の力に敵うはずもなく、弱々しいものであった。
「…いや、あれに出会わなければ」
闇に包まれた大地はただ静かに風を呼び、自然の恵みに打ち解けるようにして、わずかな音と鳴らしながら駆け抜けていく。普段と、何も変わらない光景。いつもの生活の中で味わってきた、何気ない光景。
冷えた空気が風と共に運ばれ、そして風と共にまた通り過ぎていく。
「きっと、あの人は…」
ただ、静かに、その人は、物語の語り手となった。
Space Fantasy Game
―すべての、はじまり―




