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カモられた少年


そして時は放課後。

友達に遊ばないかと誘われたが光一は適当に理由をつけその場から去った。

別にこれといった用はないのだが今は1人でいたい気分なのだ。

光一はこれからのことについて考えていた。

家事は前から自分でやっていたから問題無いとして、

本当の問題は俺があと10日しか生きられないことだ。

「はぁーあのくそおやじめ」とふいに口で出してしまう。

いろいろ考えながら町を歩いていると後ろから女の声がした。

「光一君。」

この聴き覚えのある声は・・とおもいつつ後ろを向くとそこには俺と同じくらいの目線の女の子が立っていた。

髪は黒のストレートで腰につくかつかないかの微妙な長さだった。

「なんだ松下か。どしたの?」

「今日授業中に本読んでたよね?あれってどんな本?」

脈絡の無い質問。誤魔化しをかねて返答した。

「え?」

「いやーこの辺であんま見かけない本だったから興味わいてきて追ってきたんだ」

「松下ってそんなに本好きだったか?」

「うん。週に五回は本屋の通ってる」

「うわ、絶対本屋のブラックリスト載ってるよ。」

「大丈夫よ、毎日違う本屋に通っているから。にして珍しい本ね。今日貸してくれない?」

「それは絶対ダメ!」

「なんで?」

「・・まだ買ったばっかなんだよ。終わったら貸してやるから」

「わかった・・・・」   

松下の声とほぼ同時に俺の肩にかけていたバックに松下の手が伸びた。

「なっ!?」距離をおこうと後ろへ下がるが足が絡まり後ろに重心がかかりこけそうになる。

とっさに何かに捉まろうとし、彼女の手を掴んでしまった。 ドサッ

「って!!」

ショックで一度目を閉じ、次に目を明けたときには俺と松下の顔は30cmくらいの距離だった。

転ぶ前と違うところは松下の左目がすごくひくついていたこと・・

だがすぐその顔も変わる。 急に黙りこんだとおもうと彼女はゆっくり立ちそのまま路地へ駆けていった。

「おい待てよ!」

当然止まるはずもなくそのまま彼女は駆けて行く。

「たく・・」

起きあがった少年にたいして周りの目は冷たかった。

「あの子町中で女の子を押し倒すなんて・・」

「あの子かわいそー」

「これだから最近の子は・・」

周りから非難の声が飛び交う。

「・・・・・・・・・」

光一はこの場にいては行けないと判断し松下を追いかけ路地に駆けていった。

周りの目とゆう理由もあったが光一自体まったく罪悪感がないわけではない。

向こうが原因ではあるものの松下の手を引っ張った俺にも非がある。

むしろああゆう場所であんなことになったら女の方が恥かしいんじゃないか?

それに松下の家はこの辺だと前にきいたことがある。

これはまずいなーなど考えて追いかけていく。

松下との距離は100mくらい。その後ろ姿を追いかけていくが追いつく気配がなかった。

珍しいことにこの路地はしばらく先までずっと直線だった。

右側に何か所か道があったが松下はずっとまっすぐ駆けていく。

おかしなことに左側には同じ塀がずっと続いていた。

個人の家のようだがいくらなんでもこれはでか過ぎだろ・・と思いながら走っていると松下が左に曲がるのが見えた。

どうやらあそこでこの塀も終わりらしい、と考えている暇もなく急がないと見失ってしまうかもしれない!

松下が曲がった所まで全速力で走る。そして曲がり角が見えたのでスピードを落とし弧を描くように角を曲がる。

そのまま加速し、次の道を行こうとした時後ろから声がした。

「ちょっとどこ行くの?」

松下だった。角をすぐ曲がったところで塀にもたれ手を組んでいた。

どうやら待ち伏せをしていたらしい。とりあえず追いかけてきた当初の目的を果たすことにした。

「さっきは悪かったな。」

「うん、いいよ。悪いのは私だし。それよりさきに逃げちゃってごめんね、、

 前にも言ったけど、私の家この辺だから近所でああゆうのはさすがにまずいのよ。あの後大丈夫だった?」

「ああなんとかなったよ。でもしばらくあの道通るのはよそうかな。」

「ははっそのほうがいいかもね」

「だな。にしてあんなに速く走らなくていいだろ?」学校の帰りにに全速力で100m走るのは並みの疲れかたではなかった。

それに光一は部活に所属していないためあまり体力がなかった。

「あれだけで疲れたの!?」

「う、うるせー・・・」

光一は思った。こいつは確か文化系の部活だったはず。

なのにこの体力。こいつに逆らうのはやめておこう。いろいろな面で『危険』だ。

「たるんでるわねー。そんなに疲れてるんだったら家来て休む?」

「は?」

「だから休んでいくか?って聞いてるの」

早速危険が迫ってきた。実際松下は学校ではかなりかわいいほうでこんなことを言われたら喜んでいくだろう。

だがさっきあんなことがあったばかりだ。それに間違いなくあの本のことをいろいろきかれる。

「返事は?まさか断るき?」」

松下は俺に考える時間さえもくれない。

「あーさっきの同じ学校の人に見られてたらどうしよっか?」

俺はすぐにこれが脅しだと感じ取った。

「ああなった理由なんて作ろうと思えばいろいろ作れるだけどなー」

ああもう駄目だ。俺は悪魔に捕まった。

「わかった、行くよ。」

「よし!やっぱ男はそうでなくっちゃね!」

松下は嬉しそうにしていた。

「行くのはいいけどここから何分くらい?」

「3分もかからないよ」

そういってまた左側に塀がある道をあるき続けた。

しばらく歩いていると長かったこの塀に門が見えた。

「さっきから思ってたんだけどこの家でけーなー。やっと門かよ。この家の人って大金持ち?」

と門を見ながら松下にきいてみた。目線を前に戻すと松下がいない。

あわてて回りを見るとさっきの門を開け松下が入って行く。

「!?」

松下と同時に目に入ったものがあった。

門の横に『松下』と書いた板が貼ってある。

「どうしたの?早くきなよ」

もうなにがなんだかわからなくなってきた。


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