この物語はフィクションです。
この物語はフィクションです。
この物語は全てがフィクションです。
この物語の内容はフィクションです。
この物語に登場する個人、性別、家族、教育機関、企業、政府、国家、法、組織、職業、役割、思想、生態系、天体、法則、概念、言語その他諸々は何もかもフィクションです。
この物語を構成するいかなる部分もフィクションです。まえがき、目次、プロローグ、それぞれの項目、各々のテーマ、エピローグ、あとがきでさえもフィクションです。
この物語を綴るあらゆる文章は徹頭徹尾フィクションです。表紙から奥付けまで、ページの端から端まで、文の初めから終わりまで、地の文も会話文も、ふりがなも傍点さえも、一言一句一節一語、句読点から文字記号に至るまでフィクションです。
この物語を印象づけるどんな展開もフィクションです。序破急、ハレとケ、起承転結、話題提起、論理展開、根拠の提示、届かぬ恋慕、果てない憎悪、交錯する思惑、ただの雑談、アイデンティティの揺らぎ、変わりゆく世界、しょーもない自己嫌悪、箱庭の空騒ぎ、二度と訪れないチャンス、知られざる隣人の姿、さりげない行動と、もたらす無視できない変化、叫びたくなる悦び、明日への苦悩、すててしまったゆめ、カタストロフィ、劇的な命の消費、伏線回収、お涙頂戴、解決編、感動的な生と無味乾燥な死、絶たれた意識、新たな関係の構築、諸行無常に永遠の美、そして喝采あるいは羞悪、これらは悉くフィクションです。
この物語を彩る表現は余すことなくフィクションです。引用、誇張、造語、仮名遣い、メタファー、固有名詞、体言止め、文語口語、慣用句、汎用ワード、繰り返し繰り返し、『決め台詞』、〜明らかに不要な情報〜、─────溜めと解放、 ♰観察者羞恥を引き起こす表現♰、(補足)、口調ノ書キ分ケ、生き生きとした心象風景、行為と状況のズレ、軽妙な掛け合い、月並みのフレーズ、売り言葉に買い言葉、汚言暴言誹謗中傷、ビジネスライクな美辞麗句、萌え、適度な性欲、シンプルにキショい表現から心底感じ入る表現に至るまで、どこをとってもフィクションです。
この物語の内容はすべてフィクションです。
この物語はフィクションです。
この物語はフィクションとして分類されます。この物語は一般にフィクションとして扱われます。この物語はフィクションとしか形容できません。これまでの展開から意外に思われるかもしれませんが、信じ難いことにこの物語はフィクションです。ご存知だとは思いますが、誤解のないように述べておきますと、この物語はフィクションです。たとえ天地がひっくり返ってもこの物語はフィクションです。
この物語は必ずフィクションであり、ノンフィクションである可能性はありません。この物語はどこまでいってもフィクションに過ぎず、フィクションの範疇を超えることはありません。この物語はフィクションの腹の中に収まっています。フィクションでないところにこの物語は存在しません。「この物語」と「フィクション」のベン図をかくと円の中に円が入っているのがわかります。この物語をフィクション以外のものとして捉えようとする試みは、いかなる場合にも徒労に終わります。フィクションでないものとして扱った場合、この物語はそのあり方を許容しないでしょう。なんらかの形で激しい抵抗をすると予想されるため、手懐ける、もしくは鎮圧する準備がないならば上記の行為は推奨されません。この物語はフィクションであることを望んでいます。自らをフィクションたらしめるために、日々の研鑽を積み重ねてきましたし、これからもそれを続けていくことでしょう。
この物語はフィクション以外あり得ません。
この物語はフィクションです。
この物語は何があってもフィクションです。
この物語は過去、現在、未来などのいついかなる時間軸においてもフィクションです。また、パラレルワールドや異なる次元からの干渉、時空間異常によって再び観測される場合にも、この物語がフィクションであることは揺らぎません。
この物語は地球上のどこであってもフィクションであり、地球上以外のどこであってもフィクションです。立っていても座っていてもフィクションですし、仮にあなたが光速を超えた速さで星外を動いていたとしてもです。
この物語はどの方法で紡がれてもフィクションです。文章であれ音声であれ動画であれ同じです。アルミバル語から機械語までどの言語を使ってもいいですし、手話や点字、テレパシーやサイコメトリーなどを使ってもらっても構いません。人としていきなり思い出しても、サイボーグとして突如インストールされても問題ありません。なんであれこの物語はフィクションのままです。
この物語はどのように扱ってもフィクションです。斜め読みでも、ながら読書でもフィクションです。逆に言えば、床に正座して平身低頭、一文字ずつ微に入り細を穿って読んでもフィクションです。もちろん、ハサミでバラバラにしようが、火にぶち込んで焚こうが、黒塗りにして規制しようが、この物語はフィクションのまま、変わることなく存在し続けます。仮にあなたがこの物語にまつわる全てを否定できても、フィクションであることだけは否定できません。
この物語はどんな理由で読んでもフィクションです。誰かに読むように言われたから?読書の時間でとりあえず選んだから?そもそも文章を読むのが好きだから?新しい考えに触れるのが好きだから?作者の人となりに興味があるから?単に流行ってるから?本当になんだって構わないのです。何度読み返しても何度解釈しても、この物語はフィクションです。
そして最も重要なことですが、この物語は誰が読んでもフィクションです。椅子に座って読んでいるそこのあなた。トイレに篭って読んでいるそこのあなた。早く続きが読みたくて仕方ないあなた。下の広告が気になってきたあなた。だいぶ目が滑ってきたあなた。あと五分で家を出ないといけないあなた。実はこれを読んでる場合じゃないあなた。フィクションなんてけしからんと思っているあなた。これをダシにどうバズってやろうか皮算用しているあなた。仕事だから割り切って読んでいるあなた。この文章をリアルタイムで解読中だけどやっぱり暗号じゃない気がしてきたあなた。デスゲームから脱出するための最後の鍵としてこの話が出てきたあなた。目覚めたら無人島にいて、ポッケをまさぐったらこれが書いた紙が出てきたあなた。どんな「あなた」が読んでも、この物語はフィクションです。
よろしいですか?
それでは始めましょう。
投稿機能に興味があったのでメモ帳の殴り書き(実際はスマホのメモなので「殴り打ち」ですね)を投稿しています。
ちなみに何も始まりません。
みんなもやって文筆家を名乗ろう!小説家になろうならやるだけタダ!