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lost19 虚構の歴史、真実の物語  作者: JHST
第七章 決戦
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③デル達の戦い

 銀の槍が薄い皮膚に敗れる。

「そんなっ!」

「我が肉体は武器のみに非ず」

 バールは槍の合間を縫ってバイオレットの首元の鎧を掴み、もう一方の手で右手の籠手も掴むと、そのまま勢いよく半回転。前に屈んで彼女を自然と背負うように持ち上げた。

 そして、そのまま籠手を掴む腕を引いて彼女を縦に回転させて地面に叩きつける。

「ぐぅっ!」

「魔王新柔術、双手背負(もろてせおい)

 バイオレットの口が大きく開かれたが、息を吐く事も吸う事もできなった。まるで陸に挙げられた魚のように何度も口を開閉し、次の動作に移れない。


「終わりだ」

 倒れたままのバイオレットに、バールが拳を握り肘を天井に向ける。

 だが振り下ろされた拳が彼女の鎧に触れると同時に、その動きが止められる。

「むっ、またか」

「え、エクセル! 三番をか、解放!」『イエス』

 バイオレットの右足の装甲が光り、炎の矢が二本生み出された。

 直角に近い曲線を描く炎がバールに向かう。

「無詠唱魔法? この娘、魔法騎士か?」

 即座にその場を離れると、彼女は左右の拳を振り払い、一撃ずつ放った拳風で追随してきた炎を試算させる。


 その間にバイオレットが咳き込みながら立ち上がり、態勢を整えた。

「徒手空拳で、その実力………本当に恐ろしい相手ですね」

 生半可な攻撃では逆撃を受け、懐に入り込まれれば体の自由を奪われ投げられる。バイオレットは戦う手段は一つしかないと考えを切り替えた。

「エクセル、四番と五番を解放!」

 命令と同時にバイオレットの両手の籠手が青く輝き、左右合計四本の氷柱がバールへ襲い掛かった。


―――――――――


「見えました! 金竜騎士団です!」

 馬を走らせながらシエンがデルの後ろで声を張る。

 遠くからでも良く見える程の反射光。黄金の鎧を纏った騎士達の群れがデルの視界に入った。


「デル騎士総長! どうするつもりですか!?」

 シエンの背中にしがみついているアイナ王女が、向かい風に顔をしかめながら負けじと声を上げる。

「どうするも何も、作戦なんかありませんよ! 王女殿下!」

 既にドワーフやと77柱のアーバレストとの戦いで十名以上の騎士を失い、シュベットを含め、数名の負傷した騎士を魔法陣地に残している。ここまで来られた騎士の数はシエン、バルデック、フェルラントの幹部級と二十名に至るかどうかの騎士達しかいない。

 その程度の戦力で、千名近い金竜騎士団に勝つ方法などある訳がない。


「突破! 我々には前進しかありません! 止まればそれまでですよ!」

 デルが腰の剣を引き抜いた。

 それに合わせて、馬上の騎士が一斉に武器を掲げる。

「総長! 単純な作戦程、勝率が上がるというものです!」

「お先に行かせてもらいます!」

 フェルラントとバルデックが馬の速度を上げて、デルの左右につき、そして追い越していく。

「行くぞ! デル総長と王女殿下を司令部の下へ連れてさえ行けば、我々の勝利だ! 帰りを気にする必要はない! 王国騎士団と王女殿下に栄光あれ!」

 老将たるフェルラントの号令に次々と騎士達が速度を上げ、我先にと金竜騎士団の側面に突撃を敢行する。


「………済まない。皆、頼むぞ!」

「「「応!!」」」

 歯を噛みしめ、デルは先逝く騎士達の背中を馬上から見送った。

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