表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
lost19 虚構の歴史、真実の物語  作者: JHST
第七章 決戦
78/123

②志す道は異なれど

「隊長………副長。ここは私に任せてもらえませんか」

 バイオレットは足元の剣を掴むと、鎧に付いた埃を払って数歩前に出る。

「彼女が五人の内の一人ならば、残りの77柱は二人。恐らく最後に出てくるのが、今回の戦いの黒幕ともいえる存在でしょう。ボーマさんの言い方ではありませんが、私にも『盾』の矜持、その一片だけでも背負わせてください………もう二度と手放したりはしませんから」


「バイオレット………」

 タイサは彼女の決意に満ちた目を見た。だが、覚悟を決めた瞳に対して投げかける言葉を、出す事が出来ずにいた。

「バイオレット。また後で会いましょう」

 エコーが笑って彼女の言葉を受け入れる。


「はい。この戦いが終わったら副長からは色々と教わりたい事があります」

「ええ。分かったわ………隊長、先に行きましょう」

 エコーが先導する。

「………死ぬな。これは命令だ」

「それは魔王としてですか? それとも騎士団長としてですか? でも了解です。隊長」

 タイサがエコーに続いて中央の階段を上る。その際にタイサはバールの横を故意に通ってみせたが、彼女は何も反応せず、すれ違いの風を受けて黒髪をなびかせる。


「良いのですか? 貴方にとっての敵を通してしまっても」

 剣を構えるバイオレット。その姿は、未だ達人の域に踏み込めていないが、その決意だけは鋼鉄を切り裂く彫像であった。対するバールは、タイサ達には目もくれずにバイオレットを鋭く見据えると、膝を折り、両手の拳を中段にして構え、相手の僅かな動きを見逃さない猛獣の沈黙の様を維持する。

「構わない。我が闘争において、一対一の戦いは神聖なものとしている。故に、それ以上に優先される事情などはない」

 仲間の為に一人になってでも戦おうとする戦人としての気概。バールは相手から挑戦を求められる事を何よりも尊いものだと説く。

「我が国では、古来よりそれをブシドーと呼んでいる」

「私達からしてみれば、それは騎士道精神と似ていますね」

 生きて来た道は異なれど、精神的な部分では共通している世界があった。

 だが生き残るのは一人だけ。


「行くぞ。騎士の娘よ」

 バールがバイオレットに密着する程に接近していた。

「………目を凝らしても見えないっ!」

「これを縮地という。以後お見知りおきを」

 バイオレットが咄嗟に剣を振り上げる。

「やはり剣は遅いな」

「なら、槍はどうですか!?」

 バイオレットの銀色の胸当てから、無数の棘がバールを襲う。

 剣だけでは先程のように奪い取られる。ならばと彼女は鎧に擬態しているエクセルに、予め攻撃を命じていた。バールには、鋭利な攻撃を払う為の武器も耐える為の防具もない。自ら飛び込んだ事が災いし、姿勢的にも避けようがなかった。


「金剛」

 彼女の一言で、何かが変わった訳ではなかった。しかし、バイオレットの槍は彼女を確実に捉えたものの、その槍の全てが彼女の皮膚で止められていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ