②聖教騎士団、再び
それはまるで街に着いた旅人のようであった。
少年少女達は道を歩き、そして門の前で足を止める。
「あれ? 魔王軍の幹部………に、しては人間も一緒にいるなぁ」
長髪の少年が首を傾げる。
「………あの時と似ているね、アイレン。ほら扉の前で戦った―――」
「あぁ、そうだった」
前髪で目が隠れているもう一人の少年が、小さな声で二人に説明する。
「細かい事はどうでもいいのよ。私達の敵だってことが分かれば十分!」
面倒臭そうに、顔の前で片手を左右に振るツインテールの少女。
羽飾りのついた兜から見える髪の色は全員白く、身に付けた鎧は空の青よりも清く、汚れのないその鎧は白銀よりも艶を見せていた。
「………聖教騎士団。ここまで来ていたのね」
フォースィが三人を睨みつける。
アイレンと呼ばれた長髪の少年が眉を上げ、タイサ達の顔ぶれを見る。
「紅の神官………と、そこにいるのは僕達と同じ聖教騎士団………ああ、理解したよ」
「どうやら、人間達を裏切ったという話は本当だったようね」
少女が彼の続きを話す。
「残念だけど、これも『お務め』だから。仕方ないね」
顔の半分を隠した少年が肩を落とす。
「さっきから『お務め』とか訳の分からねぇ事ばかり抜かしやがって」
一番短気なアモンが、三人の緩やかな会話に耐え切れずに拳の骨を鳴らす。
「テメェ達の顔は忘れねぇぜ………オセの仇、ここでつけてやんぜ」
「アモン。ヌケガケハ、ズルイナ」
バルバトスがアモンの肩に手を置き、負けじと前に出る。
だがシドリーは一歩も前に出る事なく、無表情のまま静かに事の様子を窺っていた。
「シドリー」
不意に彼女の名前が背後からかけられる。
タイサだった。
だが彼女は振り向かない。
「ここを任せる」
瞬間。
シドリーの姿をここにいる全員が捉えられなかった。
そして全員が彼女の姿に気付いた時には、アイレンが地面に叩き潰された後だった。
「こ、こいつ!?」「早い………」
残った二人の子どもが、シドリーの動きに驚き、咄嗟に左右へと飛び退ける。
「おっとぉ?」「ドコニイクツモリダ?」
だが飛び退けた先には既にアモンとバルバトスが挟み込むように待ち構えていた。
「オセの―――」「―――カタキダ」
アモンは前髪の男の子の腹部に拳を叩き込み、バルバトスは女の子の背中に、腕から生やした二丁のタネガシマをゼロ距離から放つ。
「魔王様………いや、タイサ」
シドリーが振り返る。
「感謝する。頼まれたからには、ここから先は任せてもらおう」
振り向き、自信に満ちた彼女の言葉に、タイサもまた強い表情で頷いて見せた。




