表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
lost19 虚構の歴史、真実の物語  作者: JHST
第五章 乱戦の末路
65/123

⑨最後の旅へ

「兄貴………」

 無意識に呟くカエデの頬に、一筋の道ができる。


「そういう訳だ。ギュード、後は頼む」

「………お前はいつもこれだ。自分が被ればいいと思ってやがる」

 タイサの言葉に、ギュードはタイサの頬を殴りつけた。

「頼む」

「自分勝手もいい所だ。請求は………タイサ、お前宛だからな。間違っても妹に払わせるんじゃねぇぞ?」

 ギュードが気絶したカエデを受け取る。


「あぁ、その内払うから、ツケておいてくれ」

「駄目だ、お前のその内は当てにならない。定期的に王都の教会とギルドに足を運んで確認してやる………妹《この子》と一緒にな」

 それ以上は何も言わず、握手も交わさず、ギュードは乗って来た飛竜で飛び上がって行った。



「………ボーマ。俺はずるい人間だ」

 多くの仲間や友人が死を避けられない覚悟の中で戦いつつも、自分の身内だけをこの戦場から逃した行為に、タイサが自嘲する。仮に生きて帰ったとしても、妹は泣きながらきっと自分を恨むだろう。タイサは付き合いの長い戦友に言葉を求めた。


「真面目に答えた方が良いですかい?」

 かつてルーキーを失った朝の会話を思い出し、ボーマが重たい頬を吊り上げる。

「馬鹿垂れ、それで十分だ」

 本当にそれだけで十分だった。タイサは彼の一番の言葉を受け止め、鼻で笑う事を彼への感謝とした。

 

 タイサは自分の右肩を左手で掴む。

 既に肩から先の感覚はない。体全体を通じて押されている認識はあるが、肌のどの辺りを触れられているかまでは分からない。

 だがそれでも右腕は脳の命令を受けて動く。タイサにとっては、右腕そのものが体から分離しているような不思議な感覚だった。


「さぁ、時間が惜しい。行くぞ」

 タイサは全員に出発を指示した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ