⑦最後の賭け
タイサは全員の顔を一瞥する。
「俺はこの機に乗じて街に乗り込み、残りの四人を倒しに行く」
77柱の新生派の幹部であるバール、ザガン、アスタロッテ、ヴァサーゴの名前を挙げる。
「シドリー達と合流する前だが、俺が大魔王に確認させた所、ブレイダスの街に強力な反応が同じ数だけある事が分かった。今は貴族派も新生派も混乱している。街に入り込む機会は今しかない」
タイサは腕を組んだままのフォースィに視線を落とす。
「私とイリーナもブレイダスに向かうわ。タイサがどこまで考えているのか分からないけれど、魔法が使えない人達だけで行って、どうするつもり? 魔法使いや魔法の知識に長けた人間がいないと困るでしょう」
彼女の言葉に、タイサが肩をすくめる。
次にタイサは大魔王を見上げた。
「一番の問題は、貴族派の騎士団、新生派の魔王軍の相手だ。どちらが勝っても、デル達が危険に晒されるし、あれだけの数が街に入ってくれば俺達だけでは対応できない………大魔王、お前ならやれるか?」
タイサの言葉に、大魔王は目を瞑りながら肩を上下に揺らして小さく笑った。
「愚問だな………余を誰だと思っている。たかだか万単位の小勢、余の力で足止めしておこう」
「頼む」
最後に、とタイサはシドリー達を見た。
「シドリー達はどうする?」
既に指揮すべき軍はない。タイサは彼女達に自由な選択を与えた。
アモンやバルバトスがシドリーに視線を向ける。全ては彼女の意思次第、そういう目であった。
「………私も街へ向かおう。元はと言えば、私が始めてしまった戦争だ。最後まで筋を通させて欲しい」
「なら決まりだな。俺達も街に行くぜ」
「アア、ソウダナ」
話がまとまった。
大魔王とその配下はこの場に残り、貴族派の王国騎士団と新生派の魔王軍、合わせて一万以上の軍勢を足止めする。そしてタイサとフォースィ達、そしてシドリー達は翼竜とケリケラの運搬でブレイダスの街へと突入。新生派の幹部である77柱達を撃破する。
誰一人失敗しても生きては帰れない。最も過酷な作戦であり、最後の戦いになる。
「しかし、全員を運べますか?」
エコーが疑問を口にする。
「それならある程度は問題ありません。ここに来るまでも、私がエクセルの力で重量の負担軽減をさせてきましたから」
バイオレットが自分の鎧に手を当てて前に出る。
「ですので、私も同行する必要があります」
彼女の力強い瞳と声に、タイサは小さく頷くだけだった。
「そういう事なら、バイオレットはケリケラに。そしてシドリー達とボーマも一緒に運んでもらおう」
「了解でさぁ。てっきり置いて行かれると、冗談でも言われると思いましたよ。いやぁ、はっはっは」
汗のついた後ろ髪を掻きながらボーマが安堵する。
「と、思わせておいて、やっぱりボーマを置いていく」
「隊長おおぉぉぉぉう!」
お決まりの流れに、周囲に小さな笑いが生まれた。




