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lost19 虚構の歴史、真実の物語  作者: JHST
第五章 乱戦の末路
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①壊滅

「………八頸!」

 シドリーが足元の水面に大量の魔力を送り込む。大量の魔力を送られた水は、その場で大きな水柱を上げ、同時に打ち上げられた土と混ざり合いながら泥水となって落下する。

 その泥柱と共に、黒装束のフォルネウスが打ち上げられ、そのまま泥と化した地面に半身をうずめて動かなくなった。


「これで………二人目」

 全身を血と泥で汚しているシドリーは、息を切らしながら崩れそうになる右膝を手で押さえ、何とか姿勢を保つ。彼女の足元では珊瑚や貝殻の鎧の破片を散らしたまま、仰向けで浮かぶウェバルの躯もあった。

 シドリーは大きく息を吸い込み、泥と汗、額から流れる血が混ざったものを勢いよく吐き捨てる。

 序列的に格下とはいえ、相手の得意な状況と複数で迫られた事で、流石のシドリーも苦戦を免れなかった。幻影を含め、水の中に姿を消しては現れる連携攻撃に苦しめられたシドリーは、彼女達の源である水に魔力を流し込む事で窮地を脱する事に成功した。

 だが、魔力を伝導しづらい流動的な物質で、かつ広範囲に大量の魔力を流した事で、予想以上に力を消耗する結果となった。


「他の者達は………どうなった」

 呼吸を整え、泥から突き出た斧の柄を手に取ったシドリーは周囲を確認する。魔力によって生み出されていた水は、急速に地面に吸われ始め、ついには泥が固まった亀裂交じりの地面へと姿を変える。

 77柱同士の決闘故、一般の魔物達は近付いて来れなかったが、シドリーが振り返ると、やや離れた所でブエルとその横で立つ貴族の服を纏ったイベロスの後姿が見えた。


「ブエル、イベロス。お前達も無事だった―――」

 シドリーが言い終える前に、ブエルが真横に倒れる。

「ブエル!?」

 疲労した足で駆け寄った。

 ブエルの体は既に冷たく、シドリーが声をかける前に、息絶えていた事が分かる。全身を矢傷切り傷、全ての攻撃を全身で受け続けていたのか、金色の毛色よりも真紅に染まった面積の方が多かった。


「………褒めてやってください。司令官」

 膝をつき、ブエルの横腹を撫でるシドリーの横で、イベロスは傍に立ちながら弱々しく声を放つ。

 気付けばイベロスも全身に傷を負い、その小さな体だけでも三本の矢が突き刺さっていた。彼の白い毛並みは下にいく程赤く染まり、足元の黒い影を別の色が侵食して広がっていた。

「ブエルは我ら魔王軍の最後の一兵が息絶えるその時まで、回復魔法を維持し続けたのです。自身の回復よりも味方の回復を優先させ………ました」

 イベロスの口元から一筋の赤い道ができると、彼は後ろへと倒れた。

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