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lost19 虚構の歴史、真実の物語  作者: JHST
第四章 三つ巴の戦い
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③奇襲に成功せり

 草原を歩くこと十五分。シドリーは腕を高く上げ、全軍に速度を上げていく合図を送る。

 既に戦場の音は大小様々なものを合わせて耳に入り、歩みを進める度に胸の奥で緊張が高まると同時に昂っていく。


「司令官。フォルカルから連絡です。『そのまま直進せよ』との事です」

 ブエルに跨るイベロスが、横で進むシドリーに報告した。

 同時に、新生派の上空部隊にも気付くかれた為、戦闘状態に入ると付け加えられ、フォルカル達はさらに上空へと編隊を組んでその姿を小さくしていった。


「イベロス。アモン達に、五分以内に突撃命令を出す事を伝えてくれ」

「畏まりました」

 イベロスがブエルと共にシドリーから離れて行く。


 既に上空からはこちらの動きを察知されている。フォルカルが空中戦を始めたが、相手との数の差は埋めようがない。だが、新生派の魔王軍は、王国軍を挟撃している陣形を変えるべきか否やを迫られる事になる。時間にしてそう長くはないものの、その間だけでも優位に立ち、可能な限り相手の出血を強いる事が出来る。

 そして退却の見極めを行い、王国騎士団よりも早く撤退を終える。シドリーは何度も打ち合わせした事を心の中で反芻する。


 戦場の音も草原には似つかわしくない焦げた匂いも、はっきりと感じられるようになる。平原であるこの場所では、既に新生派の魔王軍の影が見えていた。王国騎士団を挟撃している五千の片翼は、シドリー達に背を向け、未だ迎撃の体勢を整えていない。


 シドリーは白銀の斧を持った腕を前方へと振り下ろした。

「ここが勝機だ! 全軍、突撃ぃぃぃぃ!」

 シドリーを先頭に千に及ぶ魔王軍が、(やじり)の形を維持したまま、全速力で草原を駆け抜けた。


「はああぁぁぁぁぁっ!!」

 最前線にいたシドリーが、右手の斧を外へと振り払い、背後を見せたまま驚き戸惑う魔物達を空へと薙ぎ払う。王国騎士の撤退に合わせて配備されていた後詰の重装オーク達は、その装甲を粘土の様に凹ませ、体を直角に折られていく。さらに左手からも呼び出した白銀の斧は地面を削り、タネガシマを構えていた数匹のゴブリンを、まとめて地面に埋没させる。


「食い放題だ! 暴れるぜぇ!」

「アイテハ、コンランシテイル。トニカク、ウチツヅケロ」

 アモンが敵軍の中に飛び込み、視界に入ったものから順々に両手の黒爪で刻み続ける。内部で暴れられ、さらに混乱をきたした新生派はどこを向いてよいのか分からず、バルバトスの背中や腕から生えたタネガシマによって体の一部を打ち抜かれていく。その一撃による悲鳴が、相手をさらなる混乱の渦へと追い込んだ。


 奇襲は完全に成功した。

 いかに五千の大軍でも、その数の多さが反って部隊運用や情報統制の遅延を招き、シドリー達は木に穴を穿つ鳥のように敵陣の一点を崩し続け、その穴を広げていった。

「よし、このまま傷口を広げていくぞ!」

 最初の一撃を与えた敵部隊は既に半壊し、シドリー達に向かうどころか戦意を失いその場から潰走しようとしている。魔物達は、単純に自分自身が逃げる為に何も考えず、そして混乱したまま右往左往を繰り返していた。

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