⑤各々の目的
「いいかしら?」
手を挙げたのは紅い神官服のフォースィだった。
彼女はこの作戦の事ではないと前置きし、しかし全員に関わる事だと言葉を続ける。
「最終的に、この戦いはどこで終わりにするるのかしら。私達の目的がそれぞれ異なる以上、戦う前にハッキリとさせた方が良いと思うのだけれど?」
戦いが始まれば、今のように十分な時間の中で話し合う事が出来なくなるかもしれない。そして互いに協力しつつも、目的は別々にある事をこの時点で共有し、明確にすべきだと彼女は主張した。
「人間と魔物との戦争を阻止する。そして新生派の魔王軍には自分達の国へ帰ってもらう。ここまでは全員で共通していると思いたいが………結構、ならそこまでは共通認識としよう」
タイサが代表して声を上げて周囲を見渡す。そして、誰も反論しない事から半ば強引に線を引いた。
「私達はクライルの計画を阻止します。そして戦力を蓄え、貴族派と決着をつける事になるでしょう」
アイナ王女がその先として、または今回の戦いの中での目的として口火を切る。
「我々は新生派の侵攻を阻止し、帰国後は大魔王様による統治を行っていただく」
シドリーが僅かにタイサを見たが、すぐに奥の大魔王に視線を向け直した。
「私は母の真実を調べるつもりよ」
フォースィは大魔王を睨むように、鋭い視線を送りつける。
そして表情を柔らかくさせ、タイサに向き合った。
「それで、タイサはどうするつもりなのかしら? 王国騎士団への復帰? それとも魔王として向こうの国で暮らしてくつもり?」
フォースィの言葉にタイサは即答せず、彼女の言葉を一度飲み込むように時間をかける。
そして彼女だけでなく、タイサは全員の顔を見た。
「俺は、どこかの街で静かに暮らすつもりだ」
気の知れた仲間と酒を飲み、大切な家族と共に過ごす。その為に戦っていると断言し、タイサは最後にエコーと顔を合わせた。
「………そう。分かったわ」
発案者でもあったフォースィは、タイサの言葉にそれ以上何も言わなかった。
タイサがテーブルから手を離す。
「シドリー。今まで明確に聞かなかった所でもあるが………全員の前で聞いておきたい事がある」
「………新生派の幹部達の事ですね」
シドリーの予想に、タイサが頷く。
「新生派で指揮を執っている者は誰だ? それと中心となって動いている77柱の情報も出して欲しい」
数で劣っている分、せめて幹部級とは情報のないまま戦う事を避けたい。前回のゲンテの街では多くの77柱と戦い、何とか勝利を収められたが、これからもそうなるとは限らない。タイサは一体誰を倒せばこの戦いが終わるのか、それを確認しておきたかった。




