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lost19 虚構の歴史、真実の物語  作者: JHST
第三章 それぞれが描く未来
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④少数の戦い

「準備?」

 今頃部隊の再編かとデルが眉を上げたが、イベロスが『いえいえ』と穏やかに両手を小さく振る。

「新しい兵器の予備実験、と言った所でしょうか。まぁ、今はお気になさらずに」

「見てのお楽しみって奴だな」

 高笑いを続けるアモンの横で、イベロスがタイサに視線を送る。


「話を戻すぞ」

 タイサはフォースィを一瞥してから地図に顔を向け直した。

「さっきも言ったが、まずは両軍でがっぷりぶつかってもらい、数を減らしてもらう。イベロスの言うように、新生派の魔王軍は機を見て騎士団を挟み込むだろうが、騎士団も無能ではない。挟撃されてもある程度は持ち堪えられるだろうし、撤退しても、まだ戦うだけの数は残っているはずだ」

 そこで、とタイサは左右に展開した新生派の魔王軍の片翼に自軍を示す白石を近付けた。

「騎士団が挟撃されている間、俺達は新生派の片翼を背後から殴りつける」

 騎士団は囮になってもらう。タイサは、貴族派の騎士団を両翼に分かれた新生派の魔王軍の一方を抑える戦力として計算に入れた。

 単純計算で、五千の新生派の魔王軍を背後から強襲する。それが我々の戦いの狼煙だとタイサが言い切る。


「その場合、挟撃された騎士団が完全に撤退するまでに、俺達も撤退する必要があるな」

「その通りだ」

 貴族派よりも先に撤退しなければ、こちらが撤退線の殿を押し付けられる事になる。タイサはデルの言葉を肯定した。


「ならば撤退の合図はフォルカルと私で担当しましょう」

 イベロスが自分の胸に手を当てる。こちらもバードマンを利用して上空から撤退の時期を見極めれば効率よく行動できる。適材適所であった。

 タイサが話を続ける。

「先陣はシドリーを指揮官に、アモンとバルバトスの三人で指揮してもらう。戦力的には、どうしても魔物達(彼等)に頼らざるを得ないからな」

「了解しました」

 シドリーが頷く。


「デル達騎士団とボーマはこちらが撤退する際、シドリー達の援護を担当する。敵が追撃してきた所を再度攻める振りをして、その足を怯ませる」

 三個の白い石の内、二個を黒い石から離していく。

 そして相手の足が止まった所で、デル達も反転して後退。その動きをもって撤退の完了とする。タイサが最後に残った一個の白い石を、デル達に見立てて離れた二個の白石と合流する。


「何か質問は?」

 タイサが顔を上げる。

 一見して作戦に矛盾は見当たらない。この場にいる全員が静かに待っていた。

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